先日、「土佐によみがえる牧野野菜」のセミナーがあったことは、当ブログで紹介したが、
「牧野野菜」を栽培している “Team Makino” の熊澤秀治代表の話を興味深く伺った。
当日、牧野野菜以外に、関係資料も持参されていて、土佐最古の農業書『物紛(ものまぎれ)』も展示されていた。
江戸東京野菜の多くは、江戸に集まり、江戸の気候風土の中で固定化された野菜は、江戸から地方に江戸土産として持ち帰られただけに、手に取ってパラパラと数ページ開いて見た。
興味深い本なので、アマゾンから検索してみたが、見つからなかったので、高知県で農業のジャーナリストとして活躍している友人の石川清彦さんにメールで、手に入らないかとお願いした。
この本、230年前の天明7年に土佐の岡本又左衛門高長によって書かれたもので、昭和57年に発見され土佐では大きな話題になったようだが、末久儀運氏によって平成3年に土佐史談選書第13巻として発行されたもの。
全5巻からなり、第1巻は『物紛乾』として、百姓に対する教訓的な内容で、「農家の主人の心がけ」「百姓の心得べきこと」「子の育て方」、等
第2巻は『続物紛巻之上』とあり、稲と麦の栽培について記しているが、稲の二期作についての記述もある。
第3巻は『続物紛巻之中』で、茄子や胡瓜をはじめ園芸作物等60数種類の作物の栽培方法が記載されている。
茄子種、胡瓜、ささげ、いんげん、小豆、芽赤芋、夏大根、ねりま大根、三月大根、生姜、小黍、蒟蒻玉、越瓜、夕顔、ぼうぶら、南瓜、小豆紅豆、夏大豆、里芋、大芋、唐芋、ほん大根、田大根、大根種取よふ、牛房、高黍、
綿、くわい、稗、むかご、芥子、秋葉、煙草、胡麻、二番稲、人参、ゆんぎく、錦大根、ほつきん菜、葱、藍、夏粟、畔植、粉豆、かぶら、弐番稗、水菜、ほうれん草、菜芥子、分葱、にらにんにく、あさつき、くわんぞう、ふき、ちさ、そらまめ、うど、蕎麦などが掲載されている。
第4巻は『続物紛巻之下』、これには害虫の駆除と肥料のこと、味噌・醤油・酒の遣り方等も、
第5巻は『続物紛附』では、正月から12月までの、月々の年中行事、主として神仏の祭祀を中心に記述せられている。
石川さんは、私からのメールで、さっそく高知市内の大きな書店を訪ねてくれたようだが、書店には置いてないことが分かると、発行元の高知県立図書館内の土佐史談会にまで足を運んでいただいた。
運良く、一冊だけ残っていたので購入して送ってくれた。
石川さんも欲しかったようだが買えなかったと残念がっていた。
大学の同期とは言え、素早い対応で入手できたもので
石川さんには感謝だ。