9月初めに新宿区教育委員会の主催で栄養士の皆さんに新宿区の伝統野菜についてお話をしたが、西新宿小学校(清水仁校長)の鈴木富雄副校長が栽培したという内藤カボチャを持参されたことは、当ブログの追伸で報告した。
今年、内藤カボチャが、江戸東京野菜に決定したこともあり、新宿区内で栽培をしてくれる小学校を探そうと思っていた矢先なので、西新宿小学校で栽培していたことに驚いた反面、嬉しかったのを覚えている。
鈴木副校長は、わたしの話を聞いて、固定種と交配種の違い、伝統野菜の由来など江戸東京野菜にはそれぞれ物語があることなど、もっと知りたくなったというから有り難い。
そこで、同校で、内藤カボチャの歴史や特徴、調理方法、また新宿の伝統野菜について、5年生に話してほしいというので、26日に伺ってきた。

8時40分からの授業と云うことで、30分前に同校にうかがったが、鈴木副校長は、授業までの時間、栽培している様子を見て欲しいと、案内してくれた。
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しっかりとしたボール避けの構築物を利用して、カボチャは幾つもの実をつけていたし、まだ花も咲いていた。
しかも、ネットには、内藤カボチャについての説明板が取り付けられていて、雄花、雌花の説明などもあり、同校の思いが伝わってくる。
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今年、柏木小学校が取り組んだ鳴子ウリの栽培も行っていて実っていたし、玄関には収穫した、内藤カボチャ、鳴子ウリ、内藤トウガラシとして、展示してあった。

5年生は、内藤カボチャを栽培し研究をしているが、わたしの話を聞いて、疑問点を整理して、30日から10月5日まで新宿四谷区民センターで開催される「新宿内藤とうがらしフェア」の中で、活動の内容を展示すると云う。
また、これらのタネの出所を聞いてわかったが、新宿のまち興しを推進している、成田重行先生(NPOおいしい水大使館代表)が、1昨年、新宿エコギャラリーに託したものが、同校に手渡されたものだということがわかった。
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総合学習「地域への発信!!」が行われる教室には、折角の機会だからと、鈴木副校長の計らいで、PTA会長の広川剛秀氏をはじめ、新宿エコギャラリーの関係者等も教室の後ろで聞いていて、地域と一体となった教育をされている学校だ。
また、廊下には、生徒たちが勉強しやすいように、学校図書館支援員の小野里尚美さんが、江戸東京野菜の関係書籍や、カボチャ関係の本が集めてくれていた。
授業では、内藤カボチャについて重点的にお話をした。
同校は、甲州街道沿いの角筈地区で、内藤地区の市街化によって産地は角筈にも移り、角筈カボチャとも言われていたこと。
西洋かぼちゃが主流で、ゴーヤなどウリ科の作物が近隣地で栽培されていることが多く、交雑しやすい環境にあること。
交雑すると、本来の形や肉質が変わることなどをわかりやすくお話しした。

授業が終わった後、教室の後ろで聞いていた皆さんと、別室で意見交換ができた。
社会福祉法人・東京都社会福祉協議会の東京ボランティア・市民活動センターから池田明彦主任、小野明子さん、
エコギャラリー新宿の松田丈志さんと小山裕三さん、新宿区地域文化部角筈特別出張所・松浦美紀所長、曽山桂子コミュニティー推進員の皆さんと、名刺交換をさせてもらった。
同校の5年生は内藤カボチャの調べ学習を実施していて、栽培指導は、用務職員の田ア修男さんと小笠原秀二さんが苦労されたようだ。
カボチャ栽培にしろ、うり栽培にしろ、初めての経験だったので失敗しながらこれまでになったと・・・。
カボチャの親蔓は摘芯して、子蔓、孫蔓を増やすことで、雌花が咲くことや、
雌花には最初から実が付いているので安心していると落ちてしまうことを何度も経験して、雄花の花粉を付けることで結実することが分かったとか、
鳴子ウリは、孫蔓に実が着くことまで体験の中で分かったという。
また、伝統野菜を栽培する意義について、十分に分らずに悩んでいるという方がいたが、今後、新宿で伝統野菜を普及していくうえで重要なことなので、
新宿の伝統野菜は、江戸の昔からタネを通して命が今日に、伝わってきた固定種で、1代限りの1代雑種の交配種とは違うこと、
伝統野菜は、貴重な遺伝資源を持った希少植物であり、食べないと絶滅してしまう不安のある作物であること、
内藤カボチャや鳴子ウリなど、新宿区内の名前が付いた野菜は、新宿の歴史文化を今に伝える生きた文化財であること、それを次の世代に伝えていくことが、この時代に新宿で暮らす者の使命であること、などをお話してご理解をいただけたようだ。
同校は、デング熱を媒介する蚊のいた新宿中央公園が目と鼻の先で、当日はJR新宿駅から同公園の脇を通って来た。
中央公園は当時閉鎖されたが、同校は窓を開けないなどの対策がとられて、授業を続けているそうだ。
当初、代々木公園で発見された時に、蚊の飛ぶ範囲は狭い範囲だから、農薬散布で駆除すれば広がることがないと云っていたが、蚊の事しか考えなかった専門家の判断はお粗末だった。
刺された人間が全国各地に移動することまで考えなかったので、今や、全国に広がりつつある。