夏の頃に、江戸東京野菜の生産から消費に至る現状について、お話したことがあったので、ようやく掲載スペースがとれたようだ。
この時期、江戸東京野菜を収穫している農家で思いついたのが、小平市の岸野昌さんで滝野川ゴボウを収穫していると聞いていたので、電話をすると、東京都農業祭に出展するのを掘るから来てくださいと了解を戴いた。
西武新宿線の小平駅で待ち合わせをしたが、岸野農園は小平駅から南へ旧青梅街道沿いに在り、徒歩で10分ほどだ。
カメラマンと、ライター、そして編集部でも東京の農家を見ておきたいと3人でやって来た。

岸野さんは、滝野川ゴボウに魅されて3年前から栽培に取り組んでいるが、昨年、ごぼうを掘るために大型のトレンチャーを購入してから、トレンチャーによって楽に深く掘れるようになってから、良質の滝野川ゴボウを生産できるようになっていた。
トレンチャーでゴボウの脇を掘り起し、次に鉄の棒(ごぼう棒)をゴボウの脇に突き刺すことで周りの土を崩してゴボウを抜き取ると云う、その一部始終をカメラに納めていた。

他に、江戸東京野菜は何かありますかと云う、ライターの問いかけに、しんとり菜と品川カブが植わっているところに案内してくれたが、まだ、収穫までの大きさに至っていないということで、岸野家に280年の昔から伝わる「土垂(どだれ)」を掘ってくれることになった。
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一昨年だったか岸野農園に来たら、親父さんが「家の土垂は特別美味いんだ!」と自慢していたが、旧家に伝わる土垂には、そのようなものが多い。
今後、東京の農家の中で「家のが一番美味い」という土垂を探して、生産者限定で「江戸東京野菜」に指定していきたいと思っている。
「土垂」も次の「江戸東京野菜」として、候補野菜だ。
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因みに、東京都農林総合研究センターでは、平成9年度から形質や収益性等に優れたサトイモの株を選抜し、平成20年に「東京土垂1号」と命名し、平成22年度から都内の生産者に資源配布している。