2014年11月26日

「群馬県すき焼きシンポジウム」が下仁田町文化ホールで開催された。


下仁田では、前日の22日(土)から、「全国 ねぎサミットin ぐんま下仁田 -2014-」も開催されていて、その模様は当ブログで紹介したところだが、その関連イベントとして23日13時30分から、「群馬県すき焼きシンポジウム」が、開催される。

下仁田とんかつで腹ごしらえをしてから、同シンポジウム会場の下仁田町文化ホールに席を移した。


「群馬県すき焼きシンポジウム」は、群馬県・笠原寛企画部長の挨拶で始まった。

挨拶では、6月に、富岡製糸場と絹産業遺産群としてユネスコの「世界文化遺産」として登録され、下仁田町の荒船風穴も遺産群の中に入っている。
今、全国ばかりか海外からも群馬県が注目されていて、4月から富岡製糸場の来場者が100万人を超えたという。

これらの方々をどう「おもてなし」をしていくか、

群馬には、全国に誇れる食材がたくさんある。

それを生かせる料理として、「すき焼き」をおもてなしの食のツールとして生かしていくという取り組み、「すき焼き応援県」として、すき焼き文化を支えていく意味からも、当シンポジウムを開催したと挨拶した。





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基調講演は、向笠千恵子先生で、フードジャーナリスト、食文化研究家と紹介されたが、群馬観光特使との紹介もあった。

演題  「“食財”” の王国・群馬県の食文化」
上州の光と水と人、そして群馬県の食材について・・・・。


テーマの“食財””は、 食べる材料ではなくて、食べることのできる財産が群馬県にはたくさんあるが、地元の方々は気が付いていないのではないか・・・・・と語りかけた。

日本の「和食の文化」が、世界無形文化遺産に登録されたが、群馬県は自然環境に恵まれ「和食の文化」を育む風土がある。
農林省の農山漁村の郷土料理百選に、群馬県はおっきりこみ、蒟蒻料理が選ばれているが、
それ以外にも、下仁田のネギ、水沢うどん、嬬恋村のキャベツ、ソースかつ丼、下仁田コロッケ、安中市の磯部煎餅、など同県を代表する食べ物は多い。

野菜は、殿さまネギと云われる「下仁田ネギ」、伊勢崎には「下植木ネギ」、前橋の「石倉ネギ」、国分人参、国分白菜、原木椎茸、・・・・。

果実も色々生産されていて、梅の生産は和歌山に次いで全国2位。リンゴの生産量も多い、ブルーベリー、ブドウなどの生産量が多い。

群馬の蒟蒻は、全国の9割を占めている。刺身コンニャク、しらたき生産の現状。
群馬の食材の主役が、肉で、赤城和牛、上州和牛、榛名山麓牛、新田牛等、また、群馬の豚、軍鶏系統の上州地鶏、卵も、乳製品・・・・、小麦の話から発酵調味料の、醤油、味噌と、地域のレアな情報も盛り込んで話されたが、

最後に、群馬には全国に誇る下仁田ネギ、春菊、キノコ類、国分人参、しらたき、そして群馬の牛肉と、これらを使ってできるのがすき焼きです。

すき焼きの最後の〆には、県民の皆さんが大好きな、県産小麦で作ったうどんがすき焼きには、ぴったり合います。

すき焼きは平成の群馬の新郷土料理なるものだ!、と締めくくった。
フードジャーナリスト、食文化研究家として、面目躍如の講演だった。



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「GUNMA Sukiyaki! ACTION」


笠原企画部長が挨拶の中で紹介したのが、県公認のキャラクター「ぐんまちゃん」。

何でも「ゆるキャラグランプリ2014」で年間グランプリで1位を獲得したと紹介し、

上の写真をクリックする
県の宣伝部長の任にある「ぐんまちゃん」を、「好き好きーすき焼き大使」に任命したと云う。




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パネルディスカッション
テーマ 「ぐんまのすき焼きとは」

コーディネーター
 藤井浩氏(上毛新聞社論説委員長)


群馬県がなぜ「すき焼き」なのかについてお話を戴く。
2005年から5年間、群馬の伝統食キャンペーンをやっていた担当と云うことで、コーディネーターを引き受けた。




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パネリスト
向笠千恵子氏(フードジャーナリスト、食文化研究家)


旅から帰ってきて記憶を整理するとき、また行きたいという気持ちにさせるのは、その土地の人が土地の言葉で、自分の故郷を篤く篤く語る言葉や表情が、記憶に強く浮かび上がってくるところに、又行きたいと思うところだ。

おもてなしの心として、群馬の皆さんは、故郷の食材について篤く語ることが少ない。
素晴らしい食材がたくさんあるわけで、県を上げて皆さんで取り組ん行けば、素晴らしい可能性を秘めていると思う。

外食としてのすき焼きは、良いお肉を戴くことがあるが、家庭で食べるときは、切り落としを戴くのが賢明だ。また、お肉を主役にしないで、お肉は味出しで野菜中心のすき焼きがあってもいい。すき焼きは、野菜を美味しく食べる料理でもある。





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鳥山真氏(鳥山畜産食品(株)代表取締役社長)

自社ブランド「赤城和牛」昭和村で一貫生産を行って、自社加工もしている。
また、どのような肉が好まれるかという肉質の改善にも努力している。

群馬県の平成25年の統計では、肉牛は4万頭、全国では16位、内黒毛和牛は22千頭を飼育、1年間に12千頭で月千頭が出荷される。肉にすると1日当たり12tで、内500キロを鳥山畜産がまかなっているという。

全国的にも優秀な技術を持っていながら、群馬の肉牛の情報を発信するのを流通に携わる立場からも怠って来たのかと反省している。
生産者は飼料価格が高騰していることで、価格の良い県外に出してしまい、生産はされているが、牛肉の消費量は少なく、買い戻しているのが現状だ。

すき焼きの肉は、抽象的だが割り下に敗けない、口当たりが優しくて、自己主張をしてくれるお肉が向いている。 群馬の肉牛の特徴を一口で云えるまでには至っていないのが現状だが、すき焼きには、霜降りが美味しいのではなく、各部位、赤身なども食べてみて皆さんが試してもらって、様々な感想をもらったところからが始まりだと思っている。

群馬の身の丈にあった「すき焼き」を、自由の発想の中から生み出してもらいたい。、




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田中芳重氏(下仁田ねぎの会会長)

下仁田ネギは古い歴史を持っている。
江戸の頃、殿さまから全国の大名に贈答用にするのですぐ送れ、値はいくらでもよい、との書面が残っている。
戦中戦後の食糧増産の中でネギは生産できなかったが、自家用に栽培したものを都会の親戚などに贈って口コミで評判が高まっていった。
昭和30年代、農研が品種改良を重ねて、今の形が出来た。それをわれわれが引き継ぎ栽培に励んでいる。
特質は太くて短い根から葉先までが50センチを推奨している。一般のネギと比べて15ヶ月と云う長い期間かかる。乾燥には強いが長雨には弱く腐ってしまう。
煮るとトロリとして甘いが、生では辛い。

下仁田では味の良い昔からの品種で栽培を継続しているが、夏の一番暑い時期に定植をするのが大変だ。。 
このようなことから県の指導は省力栽培。品種改良した長くて重く、病気に強いねぎを勧めているが、味は落ちてしまうので、下仁田では取り入れていない。

我が家のすき焼きの主役は、下仁田ネギと、下仁田の生ずりのしらたきで、食べるのが一番好きだ。
群馬のすき焼きは、消費者の皆さんの意見を反映したものを、群馬のおもてなし料理にしてもらいたい。





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小金澤定夫氏(群馬県蒟蒻協同組合副理事長)
 
下仁田町宮室で蒟蒻を生産している。コンビニ弁当月23万個、デパ地下の惣菜屋、業務用に96%、海外に50か国 200〜250tを輸出している。国内ではヨークマートで販売している。

蒟蒻業界は、生産農家と粉屋業者、ねり屋業者がいる。
蒟蒻の歴史は仏教の伝来と共に日本に入ったもので、日本の独特の食文化の中で、蒟蒻・しらたきが食べられてきている。
食の多様化から蒟蒻・しらたきが売れなくなってきている。県では、赤城大玉、妙義豊、榛名黒、三山優、を推奨していて、在来種は1%もない幻となっている。

中でも赤城大玉が70%のシアーだが、三山優のシェアーも増えつつある。
ねり屋業界が全国に販売しているのは、品質の良い下仁田産を販売している。
又、輸出の需要は、圧倒的にしらたきで、野菜の上に乗せて、サラダ感覚で食べている。

すき焼きの中で、しらたきはアルカリ食品として、牛肉をたくさん食べるためにも、健康的に中和させる食材だ。
お肉がメインだが、されど蒟蒻・しらたきだ。、主役を脅かすしらたきを作りたい。味わい深い食材、思いを込めた食材を群馬県として作っていきたい。




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住吉史彦氏(浅草すき焼き店「ちんや」代表取締役社長)

浅草雷門ですき焼きやを営業、江戸時代に「チン」のブリーダーをやっていたことから「ちんや」の名を今に伝える。牛鍋屋になってから6代目になる。

すきや連を、2008年から初めまして、各地のすき焼き屋、生産者とお付き合いができ、これまでの体験や知識がお役に立てばと・・・
商売として、おもてなしをしているが、品物、食材についてへの篤い思い入れに尽きると思う
ご馳走が、思い出づくり、食べ物はただお腹を満たすものではなくて、心を豊かにし、幸せにするものが、おもてなしにつながる。

格付けが最高級でも美味しくない牛がある。そのような牛は買わない。
肉は熟性が大事で、すき焼きにおいては、割り下とアミノ酸のバランスが大切だ。
ネギとしらたきは絶対必要だが、遊び心が必要で、色々なすき焼きがあってもいいのではないか。

以上文責・大竹道茂



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シンポジウムが終了後、ホールを出たところで、前橋の「牛や清」社長の藤井紀美江女将が料理した、県産食材で仕上げた「すき焼き」を、試食として参加者全員に配っていた。

【赤城和牛リブロース】有限会社鳥山牧場 (利根郡昭和村)
【下仁田ねぎ】小金澤章文(甘楽郡下仁田町)
【原木生しいたけ】松浦保(甘楽郡下仁田町)
【しらたき】山口商店(前橋市)



追伸

第19回すきや連例会はこちらから






posted by 大竹道茂 at 13:21| Comment(0) | TrackBack(0) | 全国の仲間の話
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