1月に高知県から招かれて、伝統作物活用研修会で、江戸東京野菜の普及について、その現状を、お話させていただいた。
その時に、我が国を代表する高知出身の植物学者・牧野富太郎博士に関わる伝統野菜の物語を伺った。
教えてくれたのが、高知工科大学地域連携機構 補完薬用資源学研究室の竹田順一主任研究員で、
何でも、同氏の父・故功氏(元高知県立幡多農業高校教諭) が牧野博士の教え子で、戦後、高知に帰る際、東大駒場農場で栽培していた野菜の種を何種か持ち帰っていて、高知で採種保存をしてきたと云う。
現在、その野菜のひとつは、「潮江菜」と名付けられ、高知市新田町で葉物野菜を栽培する熊沢秀治さんが、東京の伊勢丹に納入していて、味が良いから好評のようだ。
また、最近播種した「葛西菜」の芽も出たという。
竹田先生は、これら野菜を東京に戻したいので、相談に乗ってくれと云う。
ありがたいことだ。
先日、竹田先生からメールを戴き、今度、農林水産省に申請に行く用事があるので、会えないかと云う。
丁度その日は、私も補助金の審査を頼まれていて、農林水産省に行くので、午後から同省屋上に設置された喫茶店でお会いした。
上の画像をクリツクする
伝統作物活用研修会でお会いした、高知工科大学地域連携機構 補完薬用資源学研究室長の渡邉高志教授もご一緒で、しばし、伝統野菜談義をしたが、先生方のようなアカデミックな話はできないが、竹田先生は東京農大の後輩とかで、こちらに合わせていただいた。
参勤交代などで全国から野菜の種が江戸に集まり、江戸の気候風の中で育った優良な野菜の種は、全国に江戸土産として伝えられた。
そこで、在来・伝統作物を、お江戸を中心にゆるくまとめた研究会を発足できないかと云う。
素晴らしい話しで、諸手を挙げて賛成した。
その後、竹田先生から写真が添付されたメールが届いた。
「東京でお会いしましたとき、藩主土佐山内家が尾張から持ってきました大根があり、その種が我が家に残っています。
その形は、高知で最も長く続いている八百屋【竹七屋】が80年くらい前に作りました、看板の大根です。
江戸や尾張に残っている大根の同じ系統ではないかと思っています。」
色がわからないが、白首だとすると、尾張の方領大根に似ている。
方領大根が、練馬大根の原種ではないかとの説もある。
むしろ私はカボチャに興味がある。
「江戸東京ゆかりの野菜と花」(農文協)では、
居留木橋カボチャと内藤カボチャの交雑種が、千葉県富津に導入されて黒皮の富津カボチャとなった。
その後、このカボチャ、九州、四国に導入されて各産地で品種改良がされて、高知では黒皮2号、6号が生まれている。とある。
このような情報のやり取りは楽しいものだ。