地下鉄の北大路で下車、そこからならタクシーで鷹峯へ。
方角的には、金閣寺の北北東だが、佛教大学の方から鷹峯街道を上ってくださいと、樋口さんから伺っていたので教えていただいた通りですぐわかった。
樋口さんは忙しい中、時間を割いてくれた。
「種から種へつなぐ・西川芳昭編」に、京都府立桂高校の松田俊彦先生が京の伝統野菜の保全・利用促進活動について書いているが、京の伝統野菜を栽培している農家は限られていて取材すら受けてもらえないし、タネの譲渡は難しい状況。
それでも生徒の粘り強い交渉と研究班の継続した活動が認められ、樋口昌孝氏(北区)から「鹿ヶ谷かぼちゃ」「鷹峯とうがらし」「辛味だいこん」、林光男氏(山科区)は「山科なす」、荒木稔氏(左京区)は「もぎなす」「青味だいこん」、大八木弘次氏(西京区)は「桂うり」などを譲っていただき、現在11種類の固定種の栽培・採取・保存を行っている。とある。
その点を、樋口さんに聞いてみた。
「学生たちが、次の時代にも残したいと研究しているのに協力しなくては・・・」タネは校外不出を条件に、他の生産者も紹介する等、提供したと・・・。
樋口さんのお宅には、京都を中心に20人ほどの和食やフレンチなどの料理人が、農園にやってくるのだという。
中には、1年のうち、330日通ってくる料理人も居るという。
料理人とは、買ってください!、売ってください! の関係ではなく対等の信頼関係で結ばれているから、逆に無理な注文も聞くような関係だという。

ハウス内は整然としていた。
九条ねぎや、鷹峯ねぎは、収穫期をずらすようにタネが播かれていた。
上の写真をクリックする
壬生菜、小松菜、春菊、ラディシュ、からし菜、トマトの定植も終わったようだ。

舞鶴のカワハギにソティーされたほうれん草をいただいたが、これだ。
上の写真をクリックする。
水菜も抽苔して、これも戴いたものだ。
三つ葉、ほうれん草、奥様が樋口農園人気のイチゴを出していただいた。
もいできたばかりのイチゴとは、贅沢だ。
今野シェフは、事前に注文していた野菜は、揃えて置いていただけるが、ハウスに入って料理に使いたくなるものも多いという。
作業場の近くに、九条ネギは出荷できるようになっていた。
上の写真をクリックする
金時にんじん、聖護院だいこんも・・・
樋口さんの話や、ハウスを見せていただいて、学ぶこと等、収穫が多かった。
樋口さんありがとうございました。
帰りはお宅前の鷹峯街道を歩いた。
樋口さんのお母さん・久子さんは、京都の有名人。
京都で平安時代から続くといわれる、野菜を歩きながら売る伝統的な行商「振り売り」を60数年続けられていた。
数年前「鉄腕ダッシュ!」にも出演、大八車を引いて振り売りを元気にされていたが、ご高齢で今は控えているようだ。
この街道、京の町へは下り坂で、樋口さんのお母さんは息子さんが栽培した野菜を積んで下り、帰りは売り切って軽くなった荷車を引いて戻ってくるという。
情景が目に浮かぶ。

ご近所の、農家は玄関の前に、新鮮なお野菜が並んでいた。
上の写真をクリックする
情緒を感じる光景だ。