「野菜と文化のフォーラム」のメンバーで、江戸東京野菜コンシェルジュの高橋芳江さん(果菜里屋の女将) から、奥多摩ワサビの勉強をしたいから案内をしてほしいと依頼いされていた。
何でも、同フォーラムが主催する「野菜の学校」で講師を務めるメンバーの皆さんのようで、お世話になっている方々なので、早速、奥多摩のわさび園・千島国光さんに連絡をして了解を取ってから、
26日、11時にJR鳩ノ巣駅まで来てくれれば、車で案内すると伝えていた。
皆さんが来る前に、打ち合わせをと早めに千島わさび園に伺うと、奥さんが、「昨日電話が来なかったし、今日は午後から天候が崩れるようだから、来ないんだろうと、ワサビを収穫しに早く山に行ってしまった」という。
生憎、携帯も持って行っていないから連絡も取れず、どの山に向かったかはわからないという。
皆さんには収穫体験もさせたかったが、千島さんがいないことには勝手に抜くこともできないので、とりあえず千島さんのワサビ田を見に行くことの了解を奥さんにとった。
鳩ノ巣駅に到着した皆さんは、高橋芳江さんと、フードコーディネーターの領家彰子さん、食生活ジャーナリストの脇ひでみさん、そして高橋さんの子息・航さん(青果商・果菜里屋の営業担当) が降り立った。
向かったワサビ田は、4月に、江戸東京野菜コンシェルジュ協会が皆さんを案内した多摩川の支流・西川沿いのワサビ田を目指した。
4月に来たときと違って草木が茂って景色は変わっていたが、西川線林道を車で行ける所まで行くと、見馴れた軽トラが林道脇に止まっていた。
やっぱり、千島さんはこの上のワサビ田に来ていたんだ。
車を降りて、杉林の中の細い道を登って行った。
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傾斜のきつい杉林の中をしばらく歩いていたら、上から千島さん(84歳) が20キロのワサビを背負って降りてきた。
千島さんは「先に戻るが、採り残しのワサビがあるから、そこなら抜いていい・・・」と、
「雨が強くなったら山道は危ないから、抜いたら早めに下山するように」と言い残して降りて行った。
「若い頃は、40〜50キロのワサビを背負ったものだ」とか言っていたが・・・。
ワサビ田までいく最大の難所、山側にロープが張ってあって、ロープを伝わりながら歩いていく。
前回来た時、ここでメンバーの1人が足を滑らし10m程滑落、かろうじて木につかまり事なきを得たが、40〜50mの谷底だ。
ようやく目的地に着いたが、小雨が降り始めていた。
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上流部の取り残しのワサビを1人1本収穫して、帰路についたが、
ワサビ田では、伊豆狩野川の伏流水を利用したワサビ栽培、信州安曇野で穂高の伏流水を利用した大王わさび園と大きく違う奥多摩ワサビ栽培の特徴などについて解説を行った。
高橋さんは、お弁当を用意してくれていて、ワサビ田で戴く予定で持って行ってくれたが、千島さんが「山道が滑って危ないから、雨足が強くならないうちに戻るように・・・」とのことだったので、車の所まで戻って木陰で雨を避けて戴いた。
千島ワサビ園に戻った一行はここで、千島さんに取材、栽培上の技術的なことを質問していた。
果菜里屋の高橋さん親子は、千島さんのワサビを仕入れていて、電話でのやり取りはしているが、初対面の挨拶をしていた。
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写真左上の左から、高橋さん、領家さん、脇さん、千島さん。
収獲してきた1本のワサビを、不要な葉を茎からもぐなど出荷用に調整していくが、
親根から分けつしているものもあり、それらも無駄にしないで、粕漬け等の材料になる。
ワサビのソフトクリームも戴いた。
皆さんをJR青梅駅まで送り別れたが、貴重な体験だったというのが皆さんの感想だった。
千島さんの話だと、来年の春には西川線林道からワサビ田までの間に、モノレールを設置すると云っていたから、今度は楽になるようだ。
尚、同圃場見学は「農」のある暮らしづくりのアドバイザーとして(一財)都市農地活用支援センターから派遣された。