2016年03月24日

熊本大学で在来種研究会のオープニングイベントとして、フォーラムが開催された。


くまもと在来種研究会設立オープニングイベントとして、第1回 在来種フォーラムが、先日、熊本大学大江キャンパスの薬学部総合研究棟2階多目的ホールで盛大に開催された。

平日の午後からの開催にも、一般市民、生産者を含めた農業関係者、行政関係者、大学教職員、学生など、会場は200名からの方々が集まり、熊本県外からも来ていただいた。

小野泰輔熊本県副知事も出席され、最初から最後まで、最前列で聞いていただいたが、
会場に集まった方々の熱気からは、熊本大学薬学部の威信が伝わってくるものだった。





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小野副知事とはしばし、熊本の農業振興について親しくお話をさせていただいた。

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開会前に、熊本大学薬学部附属薬用資源エコフロンティアセンターのセンター長 渡邉高志教授のはからいで、
主催者の熊本大学薬学部の甲斐広文学部長に、ご挨拶に伺った。

右から、渡邉教授、講師の田中伸幸先生(国立科学博物館陸上植物研究グループ研究員)、甲斐学部長、左端が、リストランテミヤモトの宮本けんしんオナーシェフ。

甲斐学部長から「熊薬ものがたり」を頂いた。

フォーラムの協力として、野菜ソムリエコミュニティ熊本代表の持田成子さんは、5年前に伺った時にもお世話になっている。

また、都市農地活用支援センターも協力組織で、今回は「農」のあるくらしづくりアドバイザーとして派遣されたもの。



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主催者を代表して、熊本大学薬学部の渡邉教授から、挨拶があり、
昨年、高知工科大学から熊本大学薬学部へ、冨吉特任准教授も昨年金沢大学から熊本大学に来られたことで熊本の地で実現したというもの。

熊本大学で、冨吉先生の社会学的な知見と、薬用植物の研究をしてきた分野と融合して、新しい在来種というとらえ方の幕開けを熊本から発信したいと述べた。

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引き続き、熊本大学地域創生推進機構特任准教授の冨吉光行先生から、在来種フォーラムについてのねらいなどについて説明があった。

大学の研究者だけでなく、農家の方々を含め色々な立場の方々が集まって情報や意見交換、守るための実践的なことも含めて議論できる場を作っていきたいと述べた。

お2人ともよく存じ上げていて、渡邉教授には高知市で、冨吉特任准教授には金沢市で、江戸東京野菜の話を聞いていただいていることから、お招きいただいたようだ。
光栄の至りだ。





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2011年に九州農政局等の招きで来たことがあるので、今回は2011年以降、更に発展した江戸東京野菜について・・・。

「次世代に伝統野菜を継承するために」〜江戸東京野菜の事例にみる〜

まず、昨日ご案内いただいた、水前寺菜の生産者山下啓四郎さんと古荘俊夫営農指導員、水前寺のりの丹生慶次郎さん、熊本赤茄子組合の西村光男会長にお会いした写真を、パワーポイントに挿入して紹介した。

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江戸東京野菜は、大名が持ってきたものなど、素性ははっきりしているが、いわゆる在来種は早稲田ミョウガなどを分類している。





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田中先生は、高知県立牧野植物園で、牧野富太郎博士の植物分類を検証する仕事をしてきたそうで、現在は、国立科学博物館で植物研究部陸上植物研究グループの研究員をされている。

田中先生の話は興味深く、在来種とか伝統野菜は曖昧な表現で、農学は、植物学が基礎になっているだけに、これら研究に植物学サイドからの研究が加わる必要があるという。

「植物学から見た作物」について講演された。
維管束植物総数は618科13000属、約27万種から35万種で、その3分の2が熱帯に分布している。
植物分類学、有用植物は5千種、その内、食卓に上るのが200種から300種、
「ダイコンの品種の多様性が高い日本列島」では、練馬大根、三浦大根、亀戸大根なども事例として説明してくれた。

練馬大根は、尾張から取り寄せられた種を、練馬の地で播種したところ関東ローム層に適応して、大きな大根が出来た。これらを栽培植物の第二次分化というと。
栽培植物化のプロセスとしては、野生種から選抜により半栽培し、交配により栽培植物になっていく。

栽培植物の特徴は、@ほぼ同時に発芽する。A成長速度に個体差が少ない。B結実がほぼ同時。C果実の脱硫性がない。これに対して野生種は、個体差があるというもの。

植物の学名は、属名と種形容語から成っていて著者名が
Zingiber officinale Roscoe(和名ショウガ)
属名        種形容語      著者名

栽培品種の定義では、栽培品種(cultivar)とは、ひとつの特定の属性または、属性の組み合わせのために選抜された植物の集合であり、それらの特性が明確で、均一で、かつ安定して、さらに適切な方法により、繁殖される時にそれらの特性を維持する集合体。(ICNCP第2条2項)

野生植物は絶滅と云う言葉を使うが、栽培品種は野生種よりは弱い、栽培品種は消失と云う言葉を使う。栽培品種は人が栽培しなくなれば、簡単に消失する。

在来栽培品種は、ランドレースとか、ローカル・カルティパーと云い、植物分類学では地方栽培品種
トラディショナル・カルティパーは伝統野菜を意味する。

くまもと在来種の研究会を支援したいのは、遺伝子の多様化を地域品種でも行わないと弱い物しかできないからで、地域的遺伝資源としての多様性の保全と云うのは大切だということを皆さんにわかってもらいたいからだ、とも。

食べていくことを続けていく、
薬学は機能性、農学は栽培法、民族植物学としては潜在的有用品種は包括的に記録しておく、系統分類学、栽培植物起源学はバックラウンドランドを明らかにする、これらが合わさって・・・・。
いろんなものを食べましょう、農家が栽培したものを、料理人が料理し、我々が食べることで、インサイチュ、オンザべーションが可能になる。(文責・大竹)


綜合討論
ファシリテーターは、渡邉教授が担当された。

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在来種に興味を持ったきっかけは、10年前店を持った最初の年に、お正月用のお節をつくる食材として熊本長人参とか、水前寺もやし、熊本京菜が売られているのを見て興味を持ったのが、最初のきっかけだという。

料理人は、味わもちろん形、デザイン性などに強く惹かれる。以後県内を歩いて、生産者の方々と親しくなったとか、スライドの五木村の赤大根は、他の地域で栽培すると、大根の中心のこの赤い色が出ないという。

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料理を作るだけでなく、生産者や在来野菜の情報発信もしている。

熊本日日新聞が連載した「ひご百果菜」に、宮本シェフが家庭で出来るレシピを紹介していた。
それが昨年、「食の大地くまもと」〜火の国は野菜の王国〜 熊本日日新聞編 宮本けんしん企画協力・料理創作、として発売され、





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渡邉先生が、熊本に来る前に、2013年に無農薬栽培に挑戦してもみた。

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現在は、環境保全型農業「荒木いちご農園」を経営。
熊本農業経営塾を卒業、付加価値のあるものをつくろうと、(株)九州ブランド農業を農家グループで立ち上げた。

ファシリテーターの渡邉教授から田中先生に、「在来種」について
私は「在来種」と云うよりも、植物学的には地方に根差した「地方品種」「地域作物」の方が適していると思う。と述べられた。

渡邉教授は、どなたかに云われたらしいが、熊本は九州のヘソになる。トップにならなくても、熊本の貴重な遺伝資源を内在した在来種の多様性や機能性を発信していくと、

そこで、レンコンの生産者から、質問があった。
熊本のレンコンは栄養繁殖でむかしから今日まで在来種を栽培し、販売先も自分で見つけてきた。
東京や大阪での、商談会では、売るのに有利な情報として、「他産地との違い」を求められるが、しかしそれが苦手・・、と云う。

ステージからは、生産者の思いを伝えていくという、少し精神論のようなことを言ったが、
昨年の9月に錦糸町のテルミナで行った事例を紹介すればよかったかとも思った。

江戸東京野菜コンシェルジュ協会のソムリエさんが料理の仕方などを紹介もした。
地下の九州屋では、販売もしてくれた。

このイベント、今年も出来ないかとの引き合いが来ている。

手前味噌となるが、当ブログでは、ソムリエさんのレシピや、和食、フレンチ、イタリアンの料理人の料理も紹介しているから、それらを生産者には切り取って使ってもらっている。





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閉会は甲斐学部長で、パワーポイント会場でつくって、それを使って挨拶をされた。
第1回だが大勢参加されて、これをきっかけに熊本ばかりが九州、日本が元気になればと思っている。と・・

地方創生に必要なことは多様性を認めることで、植物ばかりか教育も一緒、子育ても同じで均一ではだめだ。と・・・。
同薬学部の取り組みが16日の日経新聞に掲載された紹介された、また、薬草園のイベントなどについてもご






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前日の夜にお会いした、阿蘇地域振興局園芸産地づくり支援班の永井泰弘班長(顔がぼけているが右から2人目)が、仕事の関係でフォーラムには行けないと云っていたが、阿蘇たかな漬(新漬)をお土産に持ってきてくれた。

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何でも今朝、阿蘇神社に7名の、阿蘇たかな漬協同組合の皆さんが、奉納したのだという。

この阿蘇たか菜は寒冷地の阿蘇に10月に播種し、3月下旬まで霜雪に耐えて育ったことから、漬け込むと味と香りが抜群で、素朴な味は昔から広く好まれているという。

永井さんありがとうございました。

今回、江戸っ子の職人の正装として、しるし半纏を用意した。
家紋は丸に橘。背に籠文字の橘、半纏全体に篆書体の橘の文字がデザインされたもの。
開会前に、渡邊教授の了解が得られたので、着用した。

追伸


前回来たときにお会いした、天草の食育指導士馬場照昭氏も来ていただいた。
また、有楽町交通会館で行われた「伝統野菜フェスタ」でお会いした、清正農園 西孝弘園主もお見えになっていて、当ブログでも写真掲載している。

新しい出会い

今回も新たな出会いがあった。
宮崎県総合農業試験場 薬草・地域作物センター堤省一朗主任研究員、下関の永沼自然薬園の永沼明信代表、熊本県農林水産部の前野拓也主事、園芸アドバイザーの田崎正光氏、(株)うきうき森田農場森田良光社長、無化学肥料・減農薬栽培 おても会梅野久吉代表、河合興産(株)辻口孝志氏、(株)HEIRSの松崎光紀社長、東海大学阿蘇キャンパスの本田憲昭技師補、(株)九州ブランド農業の木山勇志取締役、熊本大学大学院 久恒昭哲特任准教授、熊本大学くまもと地方産業創生センター池崎健介氏、熊本日日新聞社の猿渡将樹記者の皆さんと名刺交換を行った。

当日、写真を撮っていただいたのは、熊本大学大学院薬学教育学部の瀬沼聖輝さんに撮っていただいた。

熊本大学薬学部のネパールからの留学生。デブコタ ハリさんがスタッフとして活躍されていたがお世話になった。

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渡邉教授が熊本大学に来て取り組んでいるひとつ、薬学部の薬草パーク構想を熱く語ってくれた。



posted by 大竹道茂 at 00:30| Comment(0) | TrackBack(0) | 全国の仲間の話
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