練馬区大泉で江戸東京野菜をはじめ地元の野菜を使ったお店「小料理石井」を開店した石井公平さんは、開店1周年を記念して、旬を食べ尽そう!! 「早稲田茗荷尽くし」を開催した。
早稲田茗荷の食べ尽し会は昨年実施して、好評を得ていたが、今年はさらに、研究されていて参加者の期待が高まって、新たなお客様が、お見えになっていた。
同会は、店主の石井さんから、1周年を迎えた感謝のあいさつの後、講座に移った。
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「江戸東京野菜と早稲田ミョウガの発見」についてお話をさせていただいた。
当日は、生産者の井之口喜實夫さんも参加されていた。
2009年の夏、足立区興野で伝統野菜の 本田(ほんでん)ウリが発見された。
このことは、伝統野菜を復活しようとの思いを、いっそう強めた出来事だった。
農家にこっそりと栽培されている野菜が、他にもあるのではないかと・・・・。
そして、江戸の特産として有名だった「早稲田ミョウガ」が早稲田の地に生えているかもしれないと・・・。
物語
2009年9月に、「早稲田ミョウガを探しませんか」と、ブログで仲間を募ったが、その反応は冷やかしばかりだった。
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・蛸と茗荷の博多 梅肉がけ
ミョウガと、蛸が酢に反応してピンクがきれいで、
晩生の早稲田ミョウガには、花のつぼみがぎっしりと詰まつている。
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同店は、出汁にこだわる店。
カツオの血合い抜き本枯れ節(左)と、メジマグロの血合い抜き本枯れ節を、絹ごし豆腐で味わった。
本枯れ節の食べ比べがお料理の前に出るのが、この店の売り。
物語
ある講演で、早稲田ミョウガを探している話をすると、講演後、主催者の代表だった元東京農工大の学長をされた梶井功先生から、いい人を紹介しようと、早稲田大学の堀口健二副総長(当時) を紹介していただいた。
先生からは、学生を紹介していただき、7月に政治経済学部4年の石原光訓さんを隊長に「早稲田ミョウガ捜索隊」が結成された。
揚浸しの上に、早稲田ミョウガの花が乗っている。
当日、井之口さんが咲いていた花を持ってきてくれた。
市場には出ない貴重なの花だから、生産者との信頼関係で、
入手できるもので、お客様はみなさん驚いていた。
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穴子と茗荷の煮こごり
ミョウガの輪切りが煮こごりに透けて美しい。
口に入れると、
煮子ごりが溶けてミョウガの香りが口いっぱいに広がる。
物語
捜索隊の努力で、30数か所でミョウガが発見されたことから、ミョウガ栽培の経験者を探していた。
東京都農林総合研究センターの友人に聞いたところ、練馬の井之口さんが10年前まで出荷していたことを伺い。
井之口さんにも、捜索活動にも参加いただき、明治26年からこの地に住んでいるお宅の庭で、早稲田ミョウガを発見した。
この様子は、NHKテレビ・ニュース7で、放送された。
井之口さんは翌2011年春から栽培に取り組んでくれたが、このことは早稲田大学内でも評判になっていた。
2011年3月11日東北の大震災が発生した。
その年は、地下茎に力がなくて、十分なものができなかったが
2012年、井之口さんが苦労されて、早稲田ミョウガ本来の、晩生で、香りが強く赤みの美しいミョウガが生産された。
鰹たたき サラダ仕立て
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焼物
新秋刀魚 塩焼 酢取り茗荷
物語
早稲田大学の早田宰教授から東北支援として気仙沼の戻りカツオに早稲田ミョウガを添えて食べようという、企画が提案された。
「鎌倉の 波に早稲田の 付け合わせ」の川柳も伝わっている。
新丸菜とミクスキヌアのサラダ 茗荷ドレッシング
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揚物
茗荷肉巻きフライとかき揚
物語
井之口さんは、早稲田ミョウガの「ミョウガタケ」栽培にも取り組んでくれた。
ミョウガタケは、東京ウドと同じ要領の、軟化栽培だ。
霜にあたって休眠した早稲田ミョウガの地下茎を、半地下で日光を当てないで栽培する技法により、
秋のミョウガの子、そして春のミョウガタケと、早稲田ミョウガは、年2回収穫かることで、喜んでいただけるようになった。
江戸東京野菜の握り寿司
早稲田ミョウガ、シントリ菜、滝野川ゴボウ、雑司ヶ谷ナス、
上の画像をクリックする甘味
早稲田茗荷のシャーベット
石井さんが、このシャーベットを味わってくださいと出してくれた。
レモンの酸味で赤く発色させて、早稲田ミョウガの
色と香りをさっぱりと楽しめた。
物語
地元新宿区教育委員会の計らいで、区立小学校27校で、ミョウガタケが給食に出され、今月には、ミョウガの子が給食で出される予定だ。
銘々にお土産として、早稲田ミョウガが手渡された。
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石井さん、井之口さん、ありがとうございました。
尚、今回は「農」のある暮らしづくりアドバイザーとして(一財)都市農地活用支援センターから派遣された。