今年の8月だったか、埼玉県川越市の「NPO法人 土と風の舎」の渋谷雅史代表理事から電話をいただいた。
話を伺うと、「NPO土と風の舎」の皆さんは、川越市内の農地を活用し、世代や障がい、立場を越えて誰もが農業や自然と触れ合うことのできる場づくりをしていて、
練馬区の白石好孝さんのアドバイスを受けながら、親子、障がい者、市民、更生を目指す方等の農業体験を実施するほか、障がい者の就労就農支援にも取り組んでいるのだと云う。
しかもまた、福祉施設、病院等において農園芸活動を行っていると云う。
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数年前より農業体験活動の一つとして固定種の栽培に取り組み始めたそうで、現在は参加者が楽しみながら栽培していて、
今後は伝統野菜の栽培を通して市民の健康づくり、コミュニティーづくり、地元の食文化の継承などに繋げていきたいと考えていて、
伝統野菜の江戸東京野菜を例に、固定種の歴史、文化、種類・特徴、生産や流通の状況、地域活動への展開等について、教えていただきたいというので、喜んでお引き受けした。
会場は川越市南公民館と云うので伺ったが、通称は「ウエスタ川越」とかで、竣工1年足らずの立派な施設、前庭では翌日の19日−20日に開催される川越市産業フェスタの準備作業が行われてた。
11月18日15時から、講座室に、30名ほどの方々が集まられた。
テーマは、「伝統野菜を考える〜江戸東京野菜から〜」というものだが、東京近県の事例として、鎌倉に伝わる伝説の野菜、鎌倉大根を探しあてた話から入った。
ちなみに、本日22日10時からテレビ東京で紹介される。
同会の皆さんも、固定種の栽培を実施しているようだが、「江戸東京野菜とは」について説明した後で、復活した江戸東京野菜は45品目になっていることを説明した。
徳川家康(初代)、秀忠(二代)、家光(三代)、家綱(四代)、綱吉(五代)と家康直系の将軍がらみで江戸東京野菜の物語を構成した。
江戸に集まった野菜は、江戸の気候風土の中で、大きく育った練馬大根や、滝野川ゴボウなどは、全国に伝わったが、
五代将軍綱吉が尾張から取り寄せた大根の種から生まれた「練馬大根」。
五代将軍綱吉に仕えた柳沢吉保は、川越藩主。
川越藩領というと一番石高の大きい時で、現在の川越市、ふじみ野市、三芳町、富士見市、狭山市、入間市、所沢市、新座市、坂戸市、東松山市、毛呂山町、越生町などに及んでいたが、川越市は大正11年12月1日に市制施行した。
江戸で栽培された野菜は鮮度を重視するものが多いが、川越(川越藩領)からは新河岸川を使うと、浅草往復に1週間ほどかかったというから、サツマイモや、カボチャ、マクワウリなど、日持ちのするものは川越藩領からでもよかった。
地元では、「富じゃ唐茄子(カボチャ)、永井じゃ 薩摩(サツマイモ)、日比田、亀ヶ谷 真桑瓜」と唄われていた。
家康、秀忠の命令により、美濃の名人を呼び寄せて作らせた真桑瓜を、子供の頃から食べていた、家光、その子の家綱、綱吉は、真桑瓜が大好きだったから、吉保は、綱吉からもらって川越藩領で作らせたとしてもうなずける。
それ以外にも、東京杉並で始まった「井荻独活」は、川越藩領(所沢)から独活芽を取り寄せている。
七色唐辛子の口上にある「武州川越の名産黒ゴマ」については、黒ゴマが名産だったのか、皆さんに事実確認を依頼した。
一時間半を使って、お話をしてきたが、夕刻、渋谷代表理事からメールがあり
心から御礼申し上げます。
伝統野菜一つ一つに物語があることを
驚きをもって聴かせていただきました。
メンバー一同、
大変有意義な時間を過ごさせていただきました。
本当にありがとうございました。」
とあった。
皆さんありがとうございました。
川越市には「農」のある暮らしづくりアドバイザーとして
(一財)都市農地活用支援センターから派遣された。