11月の始めに、練馬区学校給食栄養士会の渡邊実枝会長(練馬区立光が丘第八小栄養職員)から、同栄養士会で江戸東京野菜の話を聞きたいと連絡を頂いた。
これまで、練馬では、区民大学講座や、生涯学習講座などではお話したことがあるが、栄養士会の皆さんには話したことがなかった。
今年、光が丘秋の陽小の佐藤綾子栄養教諭に招かれて同校の6年生にお話をしたことは、当ブログで紹介したが、その佐藤先生が、渡邊会長に口添えいただいたと伺った。
渡邊会長の挨拶に続き、佐藤栄養教諭がプロフィールを紹介してくれた。
ご出席の皆さん、若い栄養士の方々が多かった。
導入では、東京23区内での各教育委員会が江戸東京野菜の勉強会を開いていることを紹介し、栄養士の皆さんの意向で江戸東京野菜を給食に取り入れている事例等を紹介した。
練馬区にある、江戸東京の農業説明板「ビール麦の金子ゴールデン」を紹介したが、
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JA東京あおば大泉地区振興センターの、園畑厚子係長から、ビール麦茶を、提供してもらったので、栄養士の皆さんに、話のタネに配布させていただいた。
今回の話は「次世代に伝えたい、江戸東京野菜」で、お話をさせていただいたが、
練馬区では初めて田柄小学校が1998年から地元の農家・吉田茂雄さんに給食用食材を依頼して始まった地産地消の取り組みで、同校は2003年、文部科学大臣賞を受賞している。
現在、吉田さんは練馬区で7校、板橋区で4校に野菜を供給している。
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今回は、練馬大根をはじめ、亀戸ダイコン、三河島菜、品川カブ、伝統小松菜について、お話をさせてもらった。
第五砂町小学校の銭元栄養教諭の、種の贈呈式の事例や、それが足立区にまで広まったことなど、次世代に伝える命の授業をご紹介した。
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世田谷の大蔵大根を栽培していた、大塚信美さんが、固定種の大蔵ダイコン(伝統大蔵ダイコン)に切り替えた事例を紹介したが、大塚さんは昔の味だと喜んだことを紹介した。
下仁田ネギの田中芳重氏(下仁田ねぎの会会長)も、交配種になったら味が落ちたと云われたことから、昔からの固定種を引き続き栽培していると云う事例を紹介した。
これは、キャベツ栽培に取って代わっていた練馬の生産者の間では、練馬大根は絶滅したと思われていたが、練馬区田柄の橋本又市さん、登さん親子が先祖代々栽培してきた練馬大根の種を守っていることがわかり、平成元年練馬区が、それを引き継いだ。
このことは、平成4年発行の「江戸東京ゆかりの野菜と花」(農文協)に、橋本親子を掲載している。
しかし、平成18年に「練馬大根伝来種保存事業」をスタートさせて、橋本親子の種をこの事業に移し替えている。
そして、これまでの「練馬大根育成事業」では、新たに交配種に切り替えたようだ。なぜだか、わからない。
揃いが悪いというなら、それが伝統野菜、固定種の特徴だから理解しなければならない。
練馬区から栽培を依頼された生産者に聞くと、品種は「タキイ交配・干し理想」や「柳研交配・秋まさり」などを勧められたという。
練馬区では27年度20軒の生産者に生産を委託しているという。
練馬区の資料によると、この「練馬大根育成事業」で収穫した大根を練馬区では「練馬大根」と呼び、
直売所やJA農業祭で販売
区内レストランやホテルの料理に・・・
沢庵漬けにして販売・・・
区が実施する収穫体験や練馬大根引っこ抜き競技大会などのイベントを通してPRしている。と云うのだが、練馬大根でないものを練馬大根と呼ばせるのは無理があるし、競技大会の主旨を捻じ曲げていた。
このことは、今年、京都で開催された伝統野菜の会議で、練馬区の浅井葉子参事が発表したことから、聞いた時には頭の整理ができなかったが、事実を知った栄養士会の皆さんも同じで、驚いていた。
改めて、皆さんに、練馬の食文化のレガシー、固定種の練馬大根を給食に使う運動を展開しましょう!!、と語りかけた。
今回、新たな出会いがあった、練馬区教育委員会施設教育課の寺田明子栄養士、練馬区立小中一貫教育校 大泉桜学園の日高耕佑栄養教諭にもご挨拶をした。
尚、この勉強会「農」のある暮らしづくりアドバイザーとして派遣された。
固定種の練馬大根は、練馬区が伝来種と云っている種以外にも、日本農林社の長嶋誠一さんに伺うと、「当社では練馬大長尻大根を採種して販売しています。」との返事で、平和台の渡戸秀行さんが栽培していた。
また、野口のタネでは「練馬中長大根」を販売している。