第8回 和食アドバイザー検定実技講習会「東京会場」が、10月7日(土)〜9日(月祝)の延べ3日間で、京王線千歳烏山駅、西口下車3分のアグリタウン千歳烏山で開催された。
開会に当たって、和食アドバイザー検定協会の澁谷襄会長は、最近の若いお母さんが、朝食を菓子パンやスナック菓子、中にはジャンクフードを子供に与えて済ませているという現実がある。
一方、昔から郷土に伝わる郷土食を伝える者が少なくなっている現実もあり、
郷土食、いわゆるバランスの取れた和食文化を後世に伝えるアドバイザーの育成が、喫緊の課題になっている。と、開催の主旨について挨拶をされた。
与えられたテーマは、郷土食材と云うことで「江戸生まれの郷土食材 江戸東京野菜」。
「江戸東京野菜とは」、から入った。
郷土食を生み出した野菜は固定種の野菜だった。
東京では現在45品目が復活しているが、全国を見るとまだ取り組んでいない県も多い。
伝統野菜は、今や時間との戦いで、今まで栽培していた人や、作物の歴史などを知っている方々が高齢化し、絶滅の危機にある伝統野菜が全国各地にある。
これは澁谷会長が危機感を感じている郷土食にも言えることで、地域の伝統野菜と郷土食は同じ立ち位置にある。
しかし、地域によっては伝統野菜はなくなり、郷土食はレシピレベルになってしまったところもある。
江戸東京野菜としては、この季節の代表的な、早稲田ミョウガ、亀戸ダイコン、滝野川ゴボウ、内藤とうがらし、奥多摩ワサビについて紹介した。
午後からは、加工実習として「江戸前の佃煮と白米を極める」
講師としては、柳ばし小松屋四代目の秋元治講師と、吉田屋五代目・五つ星お米マイスター小林健志講師。
江戸の砂村には摂津の農民がネギを持ち込んだが、漁師も摂津の佃村から家康が呼び寄せ、隅田川河口の佃島に住まわせている。
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秋元講師は、タブレットをテレビモニターに接続し、大きな画面で写真を表示させ佃煮の歴史、江戸前の魚介類を使っている佃煮の特徴、食べ方などを説明した。
利尻昆布を使って佃煮づくりもおこなわれた。
また、吉田屋五代目・五つ星お米マイスター小林健志講師。
お米の歴史、研ぎ方、銘柄、そして東芝の炊飯器を持ち込んで、
美味しい炊き方などについて実習を行い、昆布の佃煮でいただいた。
季節の食材を使用した献立で
押上よしかつの店主 佐藤勝彦講師、
同協会の武藤俊史さんが写真を撮って送ってくれた。
まず、佐藤講師が料理をしながら説明、
江戸前白身魚のカマスを下ろして、江戸時代の料理本「素人包丁」
(享和3(1746)−文化2(1805))にある「おらんだなます」を作る。
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佐藤講師が使った食材は江戸東京野菜の
早稲田ミョウガ、亀戸ダイコン、滝野川ゴボウ、内藤とうがらし、
奥多摩ワサビ、青茎三河島菜、八王子ショウガ、
東京産食材としては、椎茸、金胡麻、青柚子。
江戸前のホンビノス貝と、カマス。
ホンビノス貝は、1998年以降東京湾で繁殖した外来種。
飯:
わさび農家のもてなし飯 奥多摩わさび飯
(山間地におけるもてなしの味。食材・奥多摩わさび)
汁:
江戸前ホンビノス貝の味噌汁
(ひな祭りなどをイメージ。食材・ホンビノス貝)
主菜:
江戸前白身魚のおらんだなます
(食儀礼的主菜となる酢を使用した料理。
食材・カマス、三河島菜、内藤とうがらし)
副菜:
さくら玉子の玉子焼き 塩麹味
(花見などの行楽時の花形。食材・八王子ショウガ)
副菜:
滝野川ごぼうとしいたけの醤油 麹きんぴら
(日本固有の食材の料理。
食材・滝野川ごぼう、内藤とうがらし、椎茸、金胡麻)
香のもの:
亀戸ダイコンの浅漬け
(東京ならではの野菜・江戸東京野菜の一品。
食材・亀戸ダイコン、早稲田ミョウガ、青柚子)
江戸東京野菜をはじめ東京都産食材で構成する一汁三菜は、
日常の中にあるハレのシーンをイメージした品目。
受講生は2班に分かれて料理したものを味わった。
追伸 @
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日本農業新聞の藤川千尋記者が取材に訪れ、翌日掲載された。
追伸 A
初日に学んだ、早稲田ミョウガ、亀戸ダイコン、滝野川ゴボウ、
内藤とうがらし、奥多摩ワサビを使って、2日目に佐藤講師が料理し、
3日目は、佐藤講師が使った食材、ホンビノス貝と
調味料は横井醸造の赤酢、キッコーゴ丸大豆醤油、浅草丸王の胡麻油を
お魚かたりべ・料理研究家の宮内祥子講師が引き継いだ。
追録
会場となった「アグリタウン千歳烏山店」の1階では、
新鮮野菜が販売されていたが、間引き菜がたくさん出ていた。
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