高円寺のうおこう寄席は毎年開催されているが、今年も立川流の二つ目立川吉笑さんの一席と二席の間の時間を利用して、2015年から、江戸東京野菜の説明をする時間をいただいている。
落語が終わると、吉笑さんを囲んでの懇親会も行っていて、そこでは江戸東京野菜のお料理を食べると云う企画を実施している。
先日、江戸東京野菜の生産者のお宅を巡ったことは、当ブログで紹介している。
吉笑さんも、2年前に「立川吉笑の『現在落語論』」を執筆してからは、二つ目の中でもテレビやマスコミに追いかけられるグループに入ったようで、立川談笑一門会やユーロライブ(東京・渋谷)での落語会は勿論、
『デザインあ』(NHKEテレ)のコーナー「たぬき師匠」でレギュラーを務めたり、水道橋博士のメルマ旬報で「立川吉笑の『現在落語論』」を連載等依頼されるようで、噺の枕がそれを物語るような広がりがある。
松井つるみ女将の挨拶で始まった「うおこう寄席」。
一席目は、古典の「子ほめ」、
「灘の酒」をご馳走になった話を、タダの酒を飲ませると早合点して訪ねて来た男に、人を褒めてタダ酒を飲む方法として、 相手に年齢を尋ねて相手の年齢より若く見えるとおだてりすれば一杯ぐらいおごってもらえると・・・。
顔見知りの伊勢屋の番頭に会ったから早速おごって貰おうと声をかけると、「町内の色男」と逆に褒められてしまう。そこで今度は赤ん坊をほめることにする。
数え年一つの赤ん坊に『一つにしちゃあ大変お若い、どう見てもタダ同然』の下げで終わるのが、江戸だが、
「子ほめ」の下げは上方では違う、今朝生まれた赤ん坊に向かって、「今朝とはお若う見える、どうみても」として生まれる前で終わる。
一席目が終わったところで出番となったが、始める前に吉笑さんに何分ぐらいもらえるかを訪ねると、「何分でも、どうぞ!」と云うので、江戸東京野菜については初めての方が多かったので、少し細かく話すことにした。
最初は、伝統小松菜で、田無の矢ケ崎宏行さんと井之口喜實夫さんが栽培したものを紹介した。
女将の松井さんが、比較するうえでと、F1の小松菜とチンゲンサイを用意してくれたので、葉の違いなどを見てもらった。
矢ケ崎さんのシントリ菜と、東久留米の横山姉妹が栽培した青茎三河島菜。
江戸から仙台に渡っていた青茎三河島菜は、伊達藩の足軽が江戸で有名だった漬菜の三河島菜を持って行っていたと云う物語を紹介した。
写真左上の左から、市販のチンゲンサイと小松菜、隣が井之口さんの伝統小松菜と矢ケ崎さんの伝統小松菜。
早稲田ミョウガタケは井之口さんが切ってくれた。
秋の早稲田ミョウガの子と、早春の早稲田ミョウガタケと、年2回出荷される。
今月末には、新宿区立の小学校でミョウガタケの卵とじが、給食に出されることになっている。
立川の石川公一さんが出してくれた内藤カボチャは、内藤清成が徳川家康から賜った屋敷地、現新宿御苑で栽培されていたもの。
品川カブは、現在品川区の小学校などで栽培がおこなわれていて、毎年、品川神社で品川カブの品評会が行われていることも紹介。
東京ウドも、テレビで見てどのようなところで栽培しているかは知っているが、栽培する前の1年間についてお話しした。
そして、江戸東京野菜ではないが、鎌倉野菜の鎌倉大根の話も加えた。
吉笑さんをご贔屓にしている方々が見えていた、高円寺でみちくさ隊を主宰している田中みどりさんを始め
女将の高校のご学友の石黒正義さん、大学の同級生田口修さん、高崎健康福祉大の教授をされていた原善先生はお土産に小松菜うどんを持ってきていただいた。
江戸東京野菜の説明の中で、女将が、試食用の内藤カボチャの安倍川、品川カブの一夜漬け、乾燥練馬大根、それと市販の小松菜と伝統小松菜の食べ比べのセットを持ってきてくれたので、一通り説明が終わった時点で、皆さんに食べていただいた。
江戸東京野菜コンシェルジュ協会でフードマイレージの講義をしていただいている、中田哲也先生と、協会理事の佐々木昭さんが見えていた。
練馬大根、亀戸大根、伝統大蔵大根、の3人の売り子が、
大根を売るために奮闘する様子を面白可笑しく描いた噺で、
江戸東京野菜コンシェルジュの女将が頼み込んで作り上げたものだ。
写真右から、
井之口さんが栽培した練馬大根、中が伝統大蔵大根、左が亀戸大根。
会場は爆笑の中で、吉笑さんの二席目が終わった。
吉笑さんを囲む懇親会はここから