公益財団法人東京都農林水産振興財団と東京都産業労働局が主催した「農業者のためのGAPシンポジウム」に出かけた。
東京都農林水産振興財団では、地産地消・オリンピツク・パラリンピツク関連事業推進課を設置して、GAP(Good Agricultural Practice)の推進に伴う、農林水産物認証取得支援事業を行っている。
東京都農林水産部が主催する生産者会議などに出席すると、必ず主催者の挨拶の中でGAP認証について理解を求めていたが、オリンピツク・パラリンピツクを間近にして、先日、国分寺労政会館に農業者等を招いてGAPシンポジウムが開催された。
東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会では、物品等の調達方針として、環境負荷の最小化など持続可能性に配慮することが求められている。
東京2020大会を契機に環境保全や農業経営の効率化を目指すGAPを推進することとし、
認証取得に取り組む都内在住の農業者及び農業者で構成される団体に対して、認証取得、コンサルタント及び認証維持更新に要する費用を、平成28年度から平成32年度(5年間)の助成など、積極的に支援を行うとしている。
「GAPの取得と活用」講師藤井淳生氏(安心農業株式会社社長)
「GAPと国際労働基準のつながり」講師田中竜介氏(ILO駐日事務所渉外・労働基準専門官)
2部 パネルディスカッションは、GAP実践農業者による意見交換
藤井社長の進行で始まり・・・
始めに、アジアGAPを取得した清瀬市の小寺良治さんがパワーポイントで報告した。
認証を売り込みの道具にしたい。
農場内を整理整頓したい。
生産履歴をキチンと記帳した。
まず作業場の整理整頓からで、代々のたまっていたものを思い切って処分した。
親父さんの慣れ親しんだやり方を変えることも発生し、理解が必要で、後継者の代で行わないとできないようだ。
クリーンな野菜は、クリーンな畑から生まれる。
「持続的な農業をするためのツール」と語っていた。
シンポジウムは、藤井社長、小寺さん、西東京市の矢ケ崎宏行さん、小平市の小野幹雄さんで・・・・。
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小寺さんは市場出荷が中心でASIAGAPを取得している。
江戸東京野菜を栽培している矢ケ崎さんは、スーパー等や庭先売りが主体で、グローバルGAP(国際基準)の審査を受け、4月ごろの認証を待っている状況。
小野さんは、東京ウドの生産の他、一般野菜は直売を行っていて、J−GAP(日本基準)を申請中と、三者三様。
今まで問題なく、考えもしなかったリスク。
農薬から農業機械まで事故を起こさない農業で、
持続可能な農業が求められる。
2月に、矢ケ崎さんのお宅に伺ったときに、
グローバルGAPが求めている現場を見せてもらったが
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作業場に「調整・洗浄・荷保管」。
扉には「来訪される方へ」注意書き
@ 農場に入る前に靴の土を十分に落としてください。
A 圃場や施設に入る場合は、農場関係者と同伴で入ってください。
B 農場内の立ち入り禁止区域へは入らないでください。
C 収穫・調整関連用具等、農場内にあるものに触れないでください。
D トイレ使用後は、石鹸で手を洗ってください。
E 農場では、所定の場所以外での飲食、喫煙はご遠慮ください。
圃場でのルール。4Sは、整理、整頓、清潔、清掃
@ 敷地内は禁煙です。喫煙は所定の場所ですること。
A 作業前に、作業台、包丁、はさみ、コンテナの清掃・点検を行う。
B 作業に入る前、作業中にトイレに行った後は、
必ず石鹸で手を洗ってから作業を行う。
C 圃場内では、飲食しない。休憩は、決められたところでする。
「圃場内、関係者以外 無断立ち入り禁止」になっていた。
作業場の中には、
「収穫・輸送時のルール」
「ガラス・プラスチック破片飛散時のルール」
「農産物取扱施設でのルール」が張り出してあった。
最初は、今までやってきたことを否定されたようで、
イライラしたと云う矢ケ崎さん。
しかし、今では環境保全や農業経営の効率化の為の実施で
理解ができるようになったと云う。
これまでGAPについて農業者の間では、金がかかることばかりが話題になっていたから、十分な認識のない中で、やらないための言い訳に使われていたが、今回のシンポジウムは説得力のあるものだった。
グローバルGAP、ASIAGAP、 J−GAPの限られたコンサルタントは、今引っ張りだこの状況だという。
遅くなればなるほど受けられなくなる状況でオリパラに間に合わない。
4月から東京都GAP認証制度の運用が始まるが、先ずは、チェックシートを参照するといい。
岸野昌さんにもお会いしたが、申請を早くしたいと話しておられた。
早く認証取得することが、需要者からの信頼・信用を得る、先行者メリットになると云う。
後日、日本農業新聞に紹介された。