今年の2月、足立の内田農園の畑で千住一本ネギ焼きがあった時に、取材に見えていた向笠千恵子先生(江戸東京野菜コンシェルジュ協会顧問)から「今度のすきや連例会を大阪で開催するので、卓話の講師に「なにわの伝統野菜」の普及をしている方を紹介してくれません!」と相談された。
すき焼きだから難波ネギの会の事務局長が適任と、その場で難波りんごさんに電話を入れた。
りんごさんには、昨年難波ネギの畑をご案内いただいている。
2月は、丁度、難波ネギの最盛期だが、5月の開催だと難波ネギは無い。
『でもその時期にある「なにわの伝統野菜」を何か紹介します。』と云って承諾していただけた。
その後、りんごさんから向笠先生を始め皆さんが会場の「はり重」で事前打ち合わせをされたと報告のメールがあった。
りんごさんは難波ネギの生産者上田隆祥さんと一緒行かれたようで、上田さんが栽培した難波ネギを皆さんに持って行った。
向笠先生を始め播重藤本稔社長と有吾専務も喜んでいただいたようだった。
「第29回 すきや連」の例会は、5月30日(水)18時、大阪道頓堀のすき焼き屋の老舗「はり重」で開催された。
開会は、恒例で住吉文彦事務局長(浅草「ちんや」社長)、の木が入って始まった
まず、この会の旗振り役をされているフードジャーナリストの向笠先生が立って・・・
『すきや連も今年で10周年を迎えますが、初めて大阪を代表する「はり重」さんで開催することが出来ました、今宵は、なにわの味を堪能してくださいと』喜びのご挨拶。
また、『卓話として「なにわの伝統野菜」を掘り起こし継承に日々励んでいらっしゃる方々を特別ゲストとしてお招きしています』と紹介した。
住吉事務局長のご配慮をいただき、りんごさんの紹介のご指名をいただいた。
難波りんごさんは
阿倍野育ちで、結婚後も阿倍野住まいと云うことで阿倍野研究家。
平成元年にタウン紙の阿倍野区版編集長を引き受けたのをきっかけに、郷土史の調査・研究を始める。
平成12年、『もうちょっと知っとく? 私たちの阿倍野』(新風書房)を出版。
日本一高い「あべのハルカス」創業に向けて、阿倍野・天王寺の魅力発信アドバイザーとして関わる。
平成7年、「天王寺蕪」が「野沢菜」のルーツであることを発表。以後、大阪の伝統野菜の復活普及活動を始める。
現在「天王寺蕪の会・事務局長」として野沢温泉村と友好交流をはかっている。
平成21年、難波葱の存在を知り、普及活動を始める。平成29年、難波葱が「なにわの伝統野菜」として認証され、現在「難波葱の会・事務局長」として普及活動に尽力している。
『「農」に親しむライフスタイル推進府民会議』の会長されており、昨年10月に開催された大阪府農業委員会大会で、消費者を代表して「新たな農業委員会への期待」を述べていることも紹介した。
難波さんから
道頓堀辺りは、江戸時代には、大阪中の芝居小屋が集まっていたところで、大変賑わったところで、文化が発展し、日本最大の食のまちとして栄えたところです‥‥
すぐ隣の、なんば駅は明治18年に出来ましたがネギ畑の中に駅ができ、50丁と云うから、東京ドーム10個分の広さでてした。
ですからなんばと云うのは葱の事です。鴨なんばは、鴨肉と葱の入ったと云う意味なんです。・・・・・
難波葱は、九条葱(京都)、岩津葱(兵庫県)、観音葱(広島県)、砂村葱・千住葱(江戸)、結崎根深(奈良県)と各地に伝わった。と、
天王寺蕪は、信州は野沢温泉に伝わり野沢菜になった。とルーツについて話された。
りんごさんは、難波ネギ栽培の第一人者の上田さんを紹介した。
イベント用に作った、ネギの帽子をかぶって挨拶。
難波ネギの生産を代々行ってきたが、ある時、難波の市場で漬物屋をやっていた石橋明吉さんに食べてもらったのがきっかけで、森下正博先生はじめ、りんごさんにも伝わり、伝統野菜にぜひとも加えようと尽力していただいた。
認証には10年ほどかかったが、りんごさんの熱意で昨年認証された。と紹介。
当日は、季節ではなかったが難波ネギと天王寺蕪を持参してくれた。
すき焼きの食材として出された難波ネギは、6月24日に開催される「淀川でしじみ獲り」イベントがあり、
そこで振舞われる「しじみ汁」に難波葱を使いたいと毎年依頼されていたのが生育していたので、一部を提供して頂いた。
難波ネギは葉ネギだから空洞の緑の葉が刻まれた。
美味しい難波ネギをできるだけ長い期間味わいたいというご希望が多く、上田さんも試験的に育てているが、寒い時期の美味しさには至りませんが、葉のやわらかさ、香りのよさ、甘みなど、お伝えできればと上田さん。
当日の参加者は、北海道でゴボウ生産をしている和田政司さん、九州は熊本のすき焼き「加茂川」の山下美希さんと、日本全国から60名が集まった。
続いて、貝塚市で大阪泉州「水なす」を作っている北野忠清さんを、りんごさんが紹介。
北野さんとは,2015年3月に、外国人記者クラブでお会いしていて、当ブログでも紹介している。
栽培している、最高品質の水なすと貝塚早生玉ねぎを持ってきてくれた。
若さと情熱で栽培していることが、言葉の端々から感じられた。
5月末は、泉州水茄子、そしてなかなか手に入らない幻の泉州黄玉葱が旬を迎えている。
写真左前・水なすの生産者北野忠清さん、後ろ東京は千住葱雅の岡本健司さん。
立っているのは、 柚餅子総本家中浦屋の中浦政克社長(石川県輪島市)