練馬大根の事を調べていたが、どうしても古い資料で確認したいことがあったから、練馬区立図書館の蔵書を調べてもらうと、同館にはないが北区と荒川区の図書館と、都立中央図書館にあるという。
そこまで調べることが出来るんだー・・・・・。
「取り寄せますか! 」と親切な対応に、早く調べたいので明日北区立中央図書館に行ってきますと、お礼を言って電話を切った。
事前に、google mapで図書館の場所を調べて印刷した、
JR十条駅で下車して、自衛隊の十条駐屯地に沿って10分、そこに図書館はある。
地図を見ると図書館の近くには、名主の滝公園があり、調べが終わったら寄ってみようと思っていた。
古い資料とは、昭和4年に北豊島郡農会の北豊島郡園芸研究会が発行した「北豊島郡の園芸」で、練馬大根を始め滝野川ゴボウや滝野川ニンジンなどの栽培法などが掲載されているものだ。
農会は戦前の農業団体。戦後は農民による民主的な協同組合が出来た。
図書館からは5−6分のところに、名主の滝公園があった。
図書館は台地側にあり、崖に沿って坂道を5−6メートルぐらい下っていく。
名主の滝公園は、 嘉永年間 (1848〜1854 )王子村の名主畑野孫八が屋敷につくった庭園。
王子駅前の飛鳥山から続く長い崖地は、マンションなどが建っているところもあるが、長くつながって鬱蒼と木々が茂る公園は、都会とは思えない。
男滝は、奥に一段あって、二段目が幾つもの滝が筋となって流れ落ちていた。
滝野川ゴボウに滝野川ニンジンの発祥の地、滝野川は石神井川下流の別名のこと、一説には石神井川はこの付近は渓谷の様になっていて轟々とした滝のような音がしていたことから滝野川と呼ばれるようになったとか。
台地は、火山灰土が深く積もっていたことから、根菜類が良くできた。
江戸の頃、王子不動の滝と云うのがあって、歌川広重の版画にもなっている。
広重は、景色や人物はうまく表現しているが、この作品はいただけない。
滝が1本の棒となっていて、滝の飛沫など表現されていないからつまらない作品に仕上がっている。
そこにいくと葛飾北斎の富嶽三十六景「神奈川沖浪裏」の波の動的表現は素晴らしい。
不動の滝は、昭和33年(1958)の狩野川台風の被害を受けて、護岸工事をしたことで滝は無くなってしまった。
同園の滝は、湧玉の滝のほか、独鈷の滝、女滝などもあるが、枯れてはいないが染み出るような滝になっていた。
辺りにはセミの鳴き声が輪唱のように聞こえていた。