武蔵村山にある叶i藤総合園芸センターの進藤進社長を久しぶりに訪ねた。
進藤社長は、お仕事柄関東を始めとする農家の方々とのお付き合いも広く、世代交代の中で、思いのこもった貴重な農具の保存を託されることが多いそうで、別棟の倉庫2階には、コレクションがびっしり保存されている。
農の生け花愛好会東京グループ(浜中洋子会長)に、紹介したことから、「東京発表会」が行われたことは当ブログで紹介した。
進藤社長は種苗販売に伴って、貴重な種子の絵袋コレクションも行っていて、当ブログでも紹介してきたが、先日、進藤社長に、種が見つからない「砂川牛蒡」の、ことを聞こうと伺ったら、古い資料の入った段ボールを出してきて、探してくれたが、その中からいくつか江戸東京野菜が出てきたので写真に撮らせてもらった。
砂川牛蒡の絵袋は探しておいてくれることになった。
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「早太り超耐病性、葉の色濃く立葉
根身二尺(60p)内外にて光沢ある雲白色、
85日位にて立派な大根になる。
乾燥し易いので沢庵漬として、此の上ありません。
肥料は堆肥、人糞尿、油粕、過燐酸石灰等を用います。」
肥料として人糞尿が記載されていることから、昭和30年代までの絵袋
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「東京練馬の原産。
純白の根身は75pあまりになり、尻は細長く尖り美事です。
品質軟らかく甘味高く、特に外皮がうすく肉が緊り水分少なく
乾燥し易いので沢庵漬として此の上ありません。」
青首大根と異なり、水分が少なく、
干しダイコンにした場合乾燥しやすい
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「「秋づまり」より改良作出されたバイラス病に強い新品種。
純白の根身は40p内外、径11〜12p位の長円筒形で
尻部迄同一の太さで1本の重量は2.3〜2.8kg内外、
品質上等でス入少なく漬食に煮食用として優良種です。」
大蔵大根は1953年(昭和28)に、石井泰次郎氏が品種登録したものだが、その後、交配種として復活したが、2016年大塚信美さんを中心に母本選定が行われ、今日固定種として復活している。
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「練馬細尻と「みの」との交配固定種、耐病性の高い練馬型の大根で、
特に大根栽培上恐るべきバイラスに対し抵抗力強く、
栽培困難な地帯に向く種類です。
長さ75p内外、味良く漬減りしないので沢庵漬に最適。」
八王子の名産高倉ダイコンは大正10年に、原善助さんが育成したもので、
栽培者は立川太三郎さん1人となっていたが、福島秀史さんが昨年から栽培を始めたことから2人となった。
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「連作は不可、なるべく3年位休栽する事
最極早生種で、早太りで肉付良く長さ75p位、
早春蒔、播種は普通3月下旬から5月下旬。
8、9月には既に新牛蒡として収穫します。
秋蒔しても抽苔する事がなく
外皮薄く肉しまり軟らかく空洞なく風味宜しい。
土地は良く深耕し畦巾60pに条蒔し・・・」
渡辺早生ゴボウは、故渡邉正好先生が作出したもので、ご健在の時に都立園芸高校にご案内したことがあった。
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「茎身長大にして軟白2尺(60p)の高さとなり
厳寒に堪ゆる良質なり。
本畑は深く耕転し、畦巾を2尺乃至3尺に深溝を堀り
元肥として堆肥、人糞尿、米糠を施し、
株間3寸位に植付け苗の成長を始むると共に
人糞尿を興へ栽培をなし冬春の間に採取すべし。」
現在、江東区立第五砂町小学校で栽培しているが、
砂村ネギが盛んに栽培されていた時のものだ。
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「青首種の改良種で根身は40〜45p位、先端は尖っています。
品質上等で味良く漬食、切干として賞味されます。
性強健寒暖何れの土地にも良く生育します。」
練馬ダイコンのルーツは、宮重大根と云う説があるが、この説は練馬区春日町に昭和16年に建立された「練馬大根碑」に、宮重と記載されていることに起因する。
綱吉が右馬守時代に、尾張から取り寄せた大根の種。尾張にはたくさんの大根の品種があるが、宮重の名は伝わっていない。
宮重は、青首大根として有名で、江戸には青首大根は栽培していなかった。
近年、白首が改良されたことから、尾張から一歩踏み込んで宮重と書いてしまったようだ。
改良種の白首宮重長太大根は根身が40〜45p位と、60〜70p台の練馬大根と比べると短いダイコンだ。
以上、進藤進コレクションを撮らせていただいた。