2018年11月16日

第2回 江戸東京食文化研究会が、全日本・食学会の東京地区の会員を集めて虎ノ門にあるヒューリック神谷町ビルで開催された。


全日本食学会理事長代行の三國清三シェフ(オテルドゥミクニ)は、東京地区の会員を集め、学会事務局が置かれているヒューリック神谷町ビル3 階のTOW 会議室において、江戸東京の食文化について研究会を開いている。

第1回は、10 月 24 日(水)和食文化学会佐藤洋一郎会長を招いて「江戸前料理とは何か?」の講演が開かれたが、

13 日(火)、第2回として、森枝卓士先生(大正大学/食ジャーナリスト) を招いて「カレーライスと食の近代」についての勉強会が開催された。





1-1.JPG

熊本県水俣出身の同氏は、水俣病の取材に訪れた世界的な写真家ユージン・スミスの影響でジャーナリストを志し、1970〜80年代にカメラマンにたと云う。

上の画像をタップする

師匠だと、ユージン・スミスとのツーショットの写真で自己紹介をした。

各国を取材しているうちに、その国を知るには、何を食べているかを知ることなので、食をテーマにするようになった。




2-1.JPG

明治時代の西洋料理指南(復刻版)に、カレー製法に付箋が入っていた。

カレーの製法は、葱一茎、生姜半個、蒜少許・・・

森枝先生の講義は「カレーの文化史」

カレーとはどういう食べ物か?
何故、誰もが外来と知っているカレーが国民食となったのか?


「洋食」として入った日本のカレー

◎19世紀後半、明治維新、文明開化の日本には、イギリスからカレーが紹介された。
だから、インドの料理としてではなく、洋食として受け入れられた。天皇の肉食解禁。鹿鳴館、皇居の洋食。

◎明治の終わり頃、今のかたち、肉とタマネギ、ジャガイモ、ニンジンという組み合わせが出来上がり、広がる。






3-1.JPG

◎もともとはなかった、ということだ。
◎そもそも、「カレー(=Curry)」というような料理はなかった。

◎インドの、様々なスパイスを使った香り高い料理(特に汁気のあるようなもの)を、外国人が勝手に総称して、カレーと呼ぶようになった。
インド人(や、他のもともとのカレーの地域の人々)もそれにつきあっているというようなものなのだ。

◎【カレー粉】黄褐色で粉末状の、辛味の強い混合香辛料。ウコン・コエンドロ・コショウ・ショウガ・トウガラシ・カラシ・オールスパイス・チョウジなど多種の香辛料を配合して作る。インドが主産地。カレー。カリー。

◎ カレーーライス【Curry and rice; Curried rice】 肉・野菜などをカレーの風味をつけて煮込み、飯の上にかけた料理。
本来インドの料理であるカレーが、日本独自の料理として定着したもの。ライスカレー、

 
スパイスは漢方薬

◎シナモンは肉柱。ナツメグは肉豆く(にくずく)。ターメリックは鬱金(ウコン)の漢字名があるのは、スパイスが漢方薬でもあるから。
◎殺菌や防腐の作用があったりするということ
◎ 肉など焼いたり煮たりする時に、香りの強い植物を一緒にしたら、腐りにくくなったとか、時間の経ったものでも食べて大丈夫だった、というような経験則から、使われるようになったか?
◎インダス文明(四千年ほど前)の遺跡からも、スパイスをすり潰して使っていた跡が。

 カレー粉の世界はイギリスに始まる

◎18世紀末、インド、東のベンガル地方(今のコルカタ=カルカッタからバングラデシュのあたり)を植民地にした。
◎ベンガルが最初の植民地であったから、米とスパイシーな煮込みというその地域の食が、イギリスにも紹介される。

 
何故、受け入れられたのか?

◎ 1)西洋人は大きい!彼らの食べるものは体に良いに違いない、というような栄養思想。
◎ 2)文化を上下に見る発想。見上げるようなら受け入れる。
◎ 3)肉食は受け入れたいが、血がにじむようなステーキには抵抗があるが「漢方薬」で包まれたカレーには比較的抵抗がない。加えて、食べ慣れている米と一緒の料理である。
◎ 4)学校の寮、あるいは軍隊では一皿で済み、肉も野菜も入る栄養バランスもよいところが合理的と受け入れられ、それで味を知った人々が「地方」に持ち帰り、広まる(肉じやがも同じ)。
 

カレーから考える和食とは?

「洋食」や「中華」の伝来により、「和」、日本料理という存在を意識するようになる。
それ以前は京料理や江戸料理。

そこで具体的に意識するのは江戸時代、文化文政のあたり?
かくして、それ以降に伝来したものは和の分類に入れられず・・・・・・。


追伸
講演後、名刺交換をさせていただいたが、
大正大学客員教授をされていて、授業で江戸東京野菜に
注目しているので話が聞きたいとのことだった。


posted by 大竹道茂 at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 三國シェフと江戸東京野菜
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。

この記事へのトラックバック