JA東京中央会では、飲食業者、市場関係者などの皆さんを対象に「江戸東京野菜を、まるごと体験しよう」を実施しているが、2017年度の東京都予算を受けて今年1月に2回実施している。
江戸東京野菜の栽培地を見る、江戸東京野菜を収穫する。そして、江戸東京野菜の歴史文化を学び、料理にして食べると云う企画で。
今年1月の2回は、三鷹の冨澤剛さん、練馬の渡戸秀行さん、今年度としては、8月に国分寺の小坂良夫さんに協力をいただいてきた。
これまで、発着場所は、新宿駅南口を出て甲州街道を下った、南新宿ビルの「JA東京アグリパーク」前からで、今回は央高速で八王子に向かった。
主催者のJA東京中央会の水口均さん、江戸東京野菜コンシェルジュ協会の福島秀史理事に川並三也理事と一緒に新宿から乗り込んだ。
今回は、初めて南多摩で、中でも江戸東京野菜の高倉大根を栽培している八王子市石川町の立川太三郎さんのお宅に伺った。
立川さんとは、コンシェルジュ協会の福島理事が日程調整から視察内容についても打ち合わせをしてきたが、丁度台風24号が来たころにお願いしたことから、
高倉大根の苗が吹き飛ばされるなどの被害もあり、暫らくその後の様子を見てから引き受けたという。
地元開催と言う事で、JA八王子からは、4名の担当者が参加された。
我々が伺ったとことから、高倉大根を愛用の機械で洗って見せてくれた。
白い泡がブクブクと後ろから出てきたので、「洗剤で洗ってるんですか!」の質問。
違うんです、大根の皮に傷を付けながら洗うことから白い泡が出る。
高倉大根の最盛期の頃は、どこの家でも洗ったから、多摩川が白い泡で覆われるのが、12月の風物だったと言う。
立川さんは自家採種を行っているが、3年に1度100本から1本の割で選んだ大根で採種しているという。
立川さんの好みは、干しあがりが良く、抜きやすい長さで、ふっくらした大根の方が、軟らかいので、そのような大根を選んでいるという。
高倉ダイコンは、洗い終わると、縛ってハウスの中で干し大根に仕上げられる。
干すのは1週間から10日。
今年は異常なほどの暖冬で、北風1番が吹くようになれば乾燥も早いが、まだ吹かない。
湿度が無いからいいが、湿度があるとカビが生えて商品にはならない。
干し大根は、夜になると下ろされ、莚の上に寝かされて、朝になると再度、干される。
夜になると、寒さで凍ることを防ぐ効果と、「芯が抜ける!」という。これは芯まで柔らかくなるということ。
皆さん初めて見る光景と、朝晩の上げ下ろしなど、重労働を驚いていた。
映像8O2(はちオーじ)の高橋陽さんが撮影した貴重な写真はここから。
葉は、漬け込むときに使われる。
自宅の前を流れる谷地川の南の台地に、高倉大根などを栽培する畑がある。
東京都庁の食堂で「江戸東京野菜をたべよう」シリーズを企画していただいた西洋フードコンパスグループの森川洋一顧問もお見えで、高倉大根の収穫体験をしていただいた。
高倉大根以外にも、聖護院大根、お袋大根、青首大根が栽培されていて、これらは生のままJA八王子の直売所で販売される。
畑では、立川さんがつくった、甘いさつま芋を蒸かして、1本ずつ全員に配っていただいた。
会場を、八王子駅近くの「八王子アミダステーション」に移し、佐々木昭理事がパソコン等を準備した1階会場で、「知る」として、
「江戸東京野菜には物語がある」。
車内で自己紹介をした折に、江戸東京野菜の謂れなどについても知りたいと云う方が何人もいた。
江戸東京野菜とは、から始まり、
高倉大根の親に当たる練馬大根のルーツと、高倉大根の現状。
また、八王子の野菜として、川口エンドウ、八王子ショウガと、
お隣の日野市の東光寺ダイコン。
今回お料理で使う伝統小松菜、滝野川ゴボウについても説明、
「食べる」は、同館の2階で、コンシェルジュ協会の上原恭子理事(写真)、松嶋あおい理事、江戸東京野菜コンシェルジュの八幡名子さんに対応を頂いた。
試食としては、高倉大根の生と干し大根の食べ比べ。(右下)
高倉大根とチリメンジャコのかき揚げ。(右上)
干し高倉大根汁(下中)。
焼き高倉大根の煎り酒おろし添え。
立川さんが自宅でそば汁に漬けた干し大根(下左)を持参してくれた。
いずれも干し大根の甘さが際立っていた。
お弁当は、江戸東京野菜を積極的に使ってくれている八王子の「けいの家」で作っていただいた。