2005年9月だったか、JA東京中央会の加藤源蔵会長から、退任時に配布したいので、これまでの自叙伝を纏めたいと云う相談があった。
三大都市圏の都市農業を引っ張ってきた加藤会長の活躍は、常にそばにいて指示を受けていたし、写真も持っていたので、大竹に任せればと信頼していただいたようだ。
経費は心配せずに良いものをつくってほしいと言う事なので、A4判240頁、見開きには必ず写真を掲載するなど、思い切ってできた。
会長の思いもあり、常に聞きながら、仕事の関係の原稿は、私が書いた。
掲載した人は、200余名に上り、掲載した内容は、私にとっても思い出に残るものばかり、都市農業史と云っても過言ではないものになった。
出来た時には、喜んでいただけた。
発行後、鈴木俊彦さんが日刊・協同組合通信15589号に書いてくれた。
◎金曜論弾・ 都市農業一筋の人生航路 鈴木俊彦
東京都農協中央会長や全中副会長などの要職を歴任きれた加藤源蔵氏が自叙伝『都市農業一筋に』を家の光出版総合サービス鰍謔闃ァ行された。
一般に見られる鹿爪らしい自伝ではなく、A4判オール上質紙のグラフィッタなライフヒストリーである。
大正十五年、当時の豊島郡下練馬村に生まれた加藤氏は、戦時下に立教中学、日本大学に学ぷ。中学時代の柔道着姿、大学時代のマント姿やゲートル姿など、昭和初期の腕白奔放な青春像が頬笑ましい。〃フジヤマの飛び魚〃古橋広之進選手は大学の後輩。日大法科を出て農業を継ぎ、練馬農協の理事となった。
加藤氏は全指連(全中の前身)の長期研修を受講。懇切に対応してくれた職員が大神田啓二朗氏(のち全中国際部長)で、加藤氏にとっては、これが協同組合学習の出発点となった。
以来、加藤氏は農協のリーダーとして、練馬キヤベツの産地興しと販売促進。園芸センターや市民農園づくりなどで実績を重ね、都市農業の存在価値を強力にアピールし続ける。東京都農協中央会会長としては、宅地並み課税攻勢に体を張って反対し「農と住の講和したまちづくり」を目指して献身的に貢献。
海外との交流にも情熱を注ぎ、韓国のソウル特別市農協と練馬農協とは姉妹農協〃の協淀を結ぶ。本邦初の国際姉妹農協を実現させたのだった。また、日中農業農民交流協会の会艮として、上海市や大連市などとの農業交流にも目覚ましい成果を挙げる。
このユニークな自叙伝には、田中角栄、三木武夫といった歴代総理から、亀岡高夫、渡辺美智雄などの歴代農相、さらには美濃部亮吉、鈴木俊一、青島幸男などの都知事、野中広務、.鈴木宗男といったラツ腕政治家も華やかに登場「政」と「農」を結ぶ激動の裏面史としても興味深い。
本書の企画・編集には、元JA東京信連常務の大竹道茂氏が当たり、加藤氏ならではのユーモラスな語り口をまとめたのが『家の光』記者だった荷見明子さん。元全中会長の荷見安氏のお孫さんである。家の光出版総合サービスも史上に残る、示唆に富んだ本を刊行したものだ。その労を多としたい。
平成18年9月15日発行 日刊・協同組合通信15589号
尚「都市農業一筋に」は、国会図書館、都立図書館、そして練馬区立図書館にも納めさせていただいた。