Facebookをやらないから知らなかったが、友人がFacebookの早稲田みょうがプロジェクトに早稲田大学の早田宰教授が食文化論の高正晴子先生の論文を紹介していると教えてくれた。
日本家政学会誌に、梅花短期大学の高正晴子先生が「将軍の献立」〜11代将軍徳川家斉の献立にみる特色〜と題した論文が掲載されているというもので、将軍家斉が、ミョウガタケとミョウガノコを食べていたことが記載されていると云う。
家斉と云うと50年も将軍を務め、子どもが53人だか55人だか、いたと云うから、食事の研究は興味深いものだ。
日本家政学会誌 Vol 45 No10 1994で掲載とあったので検索すると、国立国会図書館デジタルコレクションにヒットした。
家斉の文化文政時代(1804〜30)は、遊芸,芝居,絵画,料理など、町人文化が栄えた時代。
文政6年(1823)の記録「調理叢書」には11代将軍家斉の食事が15冊に掲載されているそうで、それを詳細に分析している。
論文では、掲載してある食材1年分を、穀類、いも類、菓子類、種実類、豆類、魚介類、鳥卵類、野菜類、漬物類、果実類、に分類していて、
魚介類が一番多く80、野菜類が38、菓子類22、漬物19となっている。
「木のめ(木の芽),山椒,しょうが(生姜),たで(蓼),唐がらし(唐辛子),みょうがたけ(茗荷竹),わさび(山葵)などの辛味野菜が多用されているが,
これらは料理を引き立たせると同時に,食あたり防止や解毒食品として用いられたようである。」「ショウガと、ハショウガを区分・・・」ともあり、新せうか(新生姜)の表示もある。
論文には「葉山椒」の表示もあるが、現在、木の芽は山椒の若葉のことで,山椒は山椒の実で、実をすりつぶしたものだ。
表6「・・・一時期だけ出現する食品」は勉強になる。()は出た月。
1カ月だけ使われる、旬の野菜は
若わらび・長な(1)、小菜・紅梅花(2)、菜の花(3)、葉山椒(4)、新はす(6)、菊の葉(10)、大かぶ(11)、白梅花・干しそ・八重成もやし(12)
贅沢の禁止令が何度か出されていたが、将軍には当てはまらず、わらびは3月からだが、1月の「若わらび・長な」は、促成栽培をした高価なものを使ったようだ。
将軍家には神田市場に入荷したものから納められ、産地名が無いから分からないが、いずれも江戸や、周辺で栽培されたものを使っていた。
漬物類で、2月に味噌漬みょうがたけが、食膳に出ているが、神田市場にも近い産地、早稲田のミョウガであろう。
また、6カ月間出される野菜として
みょうがたけ(1-6)、茄子・みょうがの子(4-9)、小かぶ・芽うど(9-2)、干し大根・みつばぜり(10-3)、木の芽(12-5)
みょうがたけと、梅酢漬みょうがたけは、1月から6月まで使われているが、みょうがたけは「つまもの」の他、どのように料理にされていたのかは、調べて見たい。
漬物としては、、1月から6月まで梅酢漬みょうがたけが使われ、2月だけ味噌漬みょうがたけが食膳に上った。
また、みょうがの子は、4月から9月までとあるが、みょうがには早生種と、晩生があるが、早生種でも4月は早いので促成栽培が行われていたと思われる。
早稲田で発見したミョウガは晩生種で、9月から10月に収穫されているが、地球の温暖化が影響しているのだろう。