先日、江戸ソバリエ協会のほしひかる理事長と一緒に、深大寺 張堂完俊住職から、お招きをいただいた。
深大寺で、お蕎麦をいただいたのは、2011年の「夏そばを味わう会」にお招きいただいていて、その後、何度もお招きいただいている。
張堂住職は、昭和60年代から深大寺蕎麦の歴史文化を後世に伝えるべく、地元農家(檀家)の協力を得て、そば栽培に取り組み始めた。
さらに蕎麦文化を広めるために、栽培からそば打ち、食べ、語る同好の市民を中心に「一味会」を結成して、年末には「深大寺そばを食べる会」を開催し、32回を数えている。
また、平成22年には「夏そばを食べる会」が始まり、大分県豊後高田産、埼玉県三好産、鹿児島県志布志産
福島県川内村産、長野県木島平産など、他産地のぞばを紹介、みんなで味わっている。
深大寺では、平成21年からは一味会の協力により、檀家や市民を対象に「深大寺そば学院」を開校しているが、お約束の、水神苑の入り口に、今年のそば学院、受講生募集!! の案内が張ってあった。
昨年は、講師として「江戸東京野菜と蕎麦料理」をテーマにお話をさせていただいたことは当ブログで紹介している。
深大寺には、国分寺崖線が通っていて豊富な湧水が境内から流れ出し野川に注いでいる。
今年は、雨が少ないからと、湧水の量は少ないようだ。
張堂完俊住職(写真上左)と一味会の林田堯瞬事務局長(写真下左)、深大寺一味会の浅田修平副会長(写真下右)と、ほしひかる理事長(写真上右)、お料理をいただきながら、親しく懇談をさせていただいたが、光栄の至りです。

月食席御献立
令和元年五月十七日(金)
日本料理 深大寺 水神苑
先 附
針魚昆布〆と白子茎 吸酢
新蓴菜 蛇腹胡瓜 落し梅
前 菜
一、五三竹粉節煮 木の芽
一、緑豆彩り羹/茗荷寿司
「スナップエンドウ山葵漬
一、新丸十、蚕豆白和え 干し葡萄 枸杞
一、手長川海老艶煮
御 椀
清汁仕立て
蓬真薯 矢羽根海老
新蓮根 明日菜 花の袖
造 里
鮮魚三種盛り
妻芽物彩々 山葵 土佐醤油
お椀を開けたら、明日葉が入っていた。
明日葉は、伊豆諸島に自生しているもので、今では各島で栽培していて、2016年に江戸東京野菜に認定されている。
勢力の強い植物で、今日葉をむしると明日には葉が伸びているところからその名があると島の長老に聞いたことがある。
張堂住職が、明日葉を庭に植えたいと、おっしゃった。
友人の畑の脇に、自然に生えているのを思い出したので、今度お持ちしますと、約束をした。
煮 物
鰈煮おろし
占地 菖蒲麩 絹莢 艾生姜 分葱
焼 物
諾威鮭味噌漬(木の芽)焼
酢取り杭茗荷 針絹筍
独活明太和え
江戸時代に発行された、江都自慢の番付表に、「深代寺そば」と読める一行がある。
そこには、「業平の蜆」(江戸本所の隅田川の支流にかかる業平橋の付近でとれる蜆で、春の季語)。(沢庵)ねりま大根、(長命寺)桜もち、谷中せうが(谷中ショウガ)、小松川の菜(小松菜)、と、食材が並んでいて、下段には蕎麦屋の「更科そば」がある。
揚 物
金頭青海苔天婦羅
茶筅茄子 グリーンアスパラ 天出汁
酢 物
蒸し鶏と春甘藍
紫玉葱 木耳 赤パプリカ糸切
芥子酢味噌ドレッシング
ほし理事長に、これ「深大寺そば」ではないでしょうかと、前にお聞きしたことがあった。
星理事長は、「・・代寺そば」のつく蕎麦は、ほかに聞いたことがないし、昔は発音で書くケースが多いから「深大寺そば」でしょう、とのことだった。確かにこの番付も江戸ではなく「江都」となっている。
食事
深大寺蕎麦
そばつゆ、薬味一式
水 物
季節の果物
そこで、張堂住職にスマホに取り込んである番付をお見せして、伺ったところ、昔の書物にそのように書いたものが多数、お寺にも残っているとの答えだった。
胸のつかえが、すーと取れたような気がした。
話が遅くなったが、今年の3月、江戸東京の農産物の一つとして、深大寺のそば「深大寺在来」が認定されたことは、当ブログで紹介した。