江戸東京野菜コンシェルジュ協会では、特別講演「ベテラン農家指導者は語る」で渡邉和嘉さん(江戸東京・伝統野菜研究会副代表)が、「伝統野菜を守るって?」をテーマで話された。
特別講演を渡邉和嘉さんにお願いした経過は、コンシェルジュ協会の理事たちが、渡邉さんの話は皆さんに聞かせる内容だとして、内部的にまとまった。
渡邉さんは、更科堀井の四季の会に毎回出席していて、渡邉さんと話し込むうちに江戸東京野菜への思いや、固定種に対する知識の豊富さなどから、お願いしたいとの結論になったようだ。
お爺さんは、酪農家、お父さんは育種家で、練馬早太り大根や、
渡辺早生ゴボウを育種している。
昭和50年代、渡邉さんが大泉農協の職員の時代からの付き合いだが、
農業振興や農家指導の部門畑を歩まれた。
地域振興や経済事業部門の常務理事を2期、
信用事業部門の常務を1期務め、6月に任期満了で退任された。
任期中は公にしていなかったが、ライフワークで
江戸東京・伝統野菜研究会の副代表として江戸東京野菜の
復活普及にご活躍いただいた。
前半は、これまでの取り組みについて話された。
父渡邉正好氏が渡辺早生ゴボウ、練馬早太り大根を作り出した。
固定種の練馬大根を守ることから、渡戸章氏を中心に、
白石好孝氏、五十嵐透氏で母本選定を行った。
2007年、渡邉さんと取り組んだ「練馬大根引っこ抜き競技大会」は、10年を経過した。
2011年から雑司ヶ谷ナスの復活が始まった。
板橋地区での伝統野菜の復活は「志村みの早生大根」で始めた。
金子ゴールデンビールの復活等、
これまでも江戸東京野菜の復活普及に尽力をいただいてきた。
ここで、休憩で試食会となった。
寺島ナス (練馬区平和台 渡戸秀行さん)
雑司ヶ谷ナス(練馬区石神井 野坂亮太さん)
【試食】は上原恭子理事が自宅で調理してきた。
*寺島ナスのキャビア風
(この時期江戸東京野菜のゴボウはまだ収穫が始まっていないですが、今回お話に江戸東京野菜の渡辺早生ゴボウが登場するので、滝野川ゴボウ系の宮崎産夏ゴボウを使いました。)
佐々木昭理事、福島秀史理事、松嶋あおい理事、川並三也理事、
水口均監事。

後半は、より興味深いものとなった。
育種目標については、事例を紹介しながら語られた。
近代の育種では、
どういった改良を加えるか予め目標を立てて育種計画が作られる。
環境適応性の改良
栽培地の環境により適応した性質を持つようにする。
耐病性・耐虫性の改良
病気や虫の被害がない性質、
あるいは被害がより少ない性質を持つようにすること
経済的特性の改良
収穫量を増加させる、
収穫物の味・香り・食感や成分などの品質を高めるなど・・・
栽培・収穫作業管理上の特性の改良
栽培、収穫、種苗管理などで好ましい性質を持つようにすること。
最後に今取り組んでいる日本ミツバチへの愛を語った。
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カボチャ栽培の脇で西洋ミツバチも飼っていた。
会場には、福島理事が畑から抜いてきた、
抽苔した滝野川ゴボウと寺島ナスを持参してくれた。
石神井の野坂亮太さんは雑司ヶ谷ナスを持参してくれた。
農場職員手島英敏さんが、寺島ナスと、雑司ヶ谷ナス、
白黄キュウリと白ナスができたと展示してくれた。
白黄キュウリは自然農法センターの種子を購入したそうで、
バングラディシュの固定種の野菜とか。