今年の2月だったか、東京すし和食調理専門学校に伺ったことは紹介した。
同校の2年制課程には和食調理科で和食料理人コースとすし職人コースとがあり1年次の共通カリキュラムの中で、江戸東京野菜の知識を学びたいということだった。
前回来た時には、「江戸東京野菜とは」の基本的な部分を、渡辺勝学校長と長谷川哲也和食調理科科長にお話したが、10月末頃には実施したいということだった。
生徒さん方に直接お話しする前に、講師の先生方に江戸東京野菜を認識していただく必要があることから、先日時間を割いていただいた。
授業の終わった17時からと云うので伺ったが、ご担当の講師、菊地和久先生、水野陽先生、志田由彦先生に江戸東京野菜についてお伝えした。
現在50品目にもなったことから、50品目の映像と資料を用意したが、2時間以上かかりそうなので大幅にカットしたが、”江戸東京野菜とは” からはじまって、「練馬大根」「伝統小松菜」」「寺島ナス」「東京ウド」については詳細に紹介した。
また、利用店についても知りたいと云うので、代表的な老舗などを紹介した。
実は同専門学校を紹介いただいたのは、元禄12年(1699)創業「にんべん」の高津克幸社長で、江戸東京野菜の復活普及を始めた頃からお世話になっている。
その後、同社「日本橋だし場」のイベントで、江戸東京野菜の伝統大蔵大根を使っていただいたことがある。
かつて、2009年1月、東都のれん会東若会の新年会に、呼んでいただいて、江戸東京野菜の話をさせていただいていて、
天保元年(1830)創業のあんこう鍋の「いせ源」が東京ウドを、
寛政13年(1801)創業の「駒形どぜう」では滝野川ゴボウの笹がきが
そして、寛政元年(1789年)創業の更科堀井は昨年230年、
千住ネギをはじめとする江戸東京野菜を
明治13年(1880) 創業のすき焼き「ちんや」も千住ネギを
元禄5年(1691)創業の笹乃雪にも伺っている。
東都のれん会は、江戸時代から明治初年に創業された老舗の会で、戦後の昭和26年にこのままでは古き良き伝統が失われてしまうと、危機感を持った老舗の皆さんが伝統の継承と発展を共に目指すために結成されたととかで50余店で構成されている。
江戸から東京(明治)という時代を表現するのに、江戸東京の4文字では長すぎるということなのか、江戸と東京を一語で表すため『東都』と名付けたという。
東都が表す通り『老舗』の集まりだが、当時は自ら老舗を名乗るのはおこがましいので『のれん』としたと云うから、当時の皆さんのおくゆかしいセンスが伝わってくる。
江戸の昔から今に伝わる和食の基本は「だし」だが、
江戸から命を伝えてきた江戸東京野菜は、貴重な生きた文化遺産だ。
高津社長が、同校生徒に教えたいと思った意図が伝わればいいのだが。
追録
今回、都市農地活用支援センターが実施する
「農の機能発揮支援アドバイザー」として伺った。