2019年12月25日

2020年の東京オリンピック・バラリンビック競技大会をイメージし、江戸東京野菜、東京食材を意識した献立です。と三國シェフ。


オテル・ドウ・ミクニから小冊子が送られてきた。
毎年暮れに、お客様に送られているもので、

35周年記念メニュー
2020年の東京オリンピック・パラリンピック競技大会を
イメージしてメニューを考えました。
江戸東京野菜、東京食材を意識した献立です。
ご期待ください。

とあった。

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料理人人生50年、オテル・ドゥ・ミクニ35周年に寄せて
今年で65歳になった。15歳から料理人を続け、50年。16歳で札幌グランドホテル青木料理課長に拾われ、18歳のときに青木さんの伝手で帝国ホテル村上総料理長に出会い、2年間パートとして洗い場を続け、20歳でジュネーブ軍縮日本大使館に推薦された。2年の約束が、気に入られて4年間になり、20歳から28歳までスイス・フランスで神様と呼ばれるオーナーシェフたちに出会った。

最後の一年で当時もっとも神様に近い料理人であり、「厨房のダ・ヴインチ」と称されたアラン・シャベルに出会い、良い意味で僕白身が日本人であるという意味を思い知らされた。これ以上フランス本土で修業をしていく無意味さを実感し、日本に帰国をすることを決断した。




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1985に発表し、絶大な人気で四ツ谷名物になりました。(左)

フランスのキッシュと日本の茶碗蒸しをあわせた、
まさに”キュイジーニュ、ジァボニゼ”。


自家製サーモンマリネとイクラ、赤身マグロとキャビィア、
ワサビマヨネーズ合え。


サーモンマリネにイクラ、マグロの漬けにはキャビアと
ワサビマヨネーズで合わせてお召し上がりくたさい。


本当の意味で、フランス人にしかフランス料理は創れない。技術、創造力、表現力、フランス人的な味覚が圧倒的に優れているフランス人しか創れないのだ。そこで日本人にしか創れないフランス料理を目指そうと決めた。28歳でまずジラルデのスボンタネ(偶然なひらめき)を模写したが、当時の日本の料理人には理解されず、スタッフは全員辞めてしまった。





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韓国産特大エゾアワビのステーキ、カリフラワーライス添え(左)

特大アワビのステーキをバター醤油で味つけし、
そのアワビの肝ソースで、
お米と同じテクスチャーのカリフラワーとともに。


江戸前穴子のグリエ、茄子のジュレ添え、キュルキュマ風味

東京湾の穴子をグリェにし、
茄子のジュレ寄せとカレー風味で 味わってください。



そして40代に入って、アラン・シャベルの古典をベースにした地産地消を取り入れ、オーケストラのように指揮者を演じ(これもシャベル氏の模写からはじめた)、少しずつスタッフが育つようになった。それから3年目にシャベル氏が四ッ谷に来られ、食事の後、君の料理哲学は「ジャボニゼ」だと言ってくださった。





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秋川牛ヒレ肉とフォアグラのポワレ、江戸東京野菜温製六種と
トリュフとクルミオイルビィネガーソース合え(左)

東京産黒毛和牛とフォアグラのポワレを
江戸からつながる野菜とともに。

フロマージュ ”天空の一品”

長野県松本にある清水牧場のお父さんとお母さんが
二人でつくっている究極のチーズです
北アルフスの山奥で、たくましく、健康に。
アニマル・ウエルフェアそのものです。


「ジャボニゼ」とはフランス人が日本に影響され日本化することを意味する。神様のその言葉が有り難かった。それ以前のモヤモヤがパアーッと消え、青空が見えてきた瞬間だった。その3ケ月後、シャベル氏は本当に神様の元へ旅立たれた。最後のメッセージである「ジャボニゼ」は、僕にとって生涯の料理哲学の道しるべとなった。





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江戸産 内藤栗のモンブラン、
東京苺のバルフェ、東京ゆずのサントノーレ(左)

三種の江戸前デセールのマリアージュをお楽しみください。

プチガトー
(東京金胡麻のギモーブ、東京りんごのタタン、東京ミントのマカロン)


金胡麻、りんご、ミント、
すべて東京で穫れた貴重な食材で表現しました。


2020年はオテル・ドゥ・ミクニの35周年。オープン時のスタッフが今も7人いて、10代だった彼らもう50代、みんな白髪になった。僕がいちばん真っ白になったが(笑)これからも一緒に歴史を創り続けていきたいと願っている。

令和元年12月
 オテル・ドゥ・ミクニ
三國清三



posted by 大竹道茂 at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 三國シェフと江戸東京野菜
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