先に行われた、「2020全国伝統野菜サミットin 秋田湯沢」では多くの方々にお会いして、いろいろと勉強をさせていただいた。
秋田県農業試験場の野菜・花き部、園芸育種・種苗担当・椿信一上席研究員には、親しくお話をさせていただいたが、東京から展示用に持参した「江戸城 濠大根」にも注目していただいた。
江戸で普及していた野菜は、江戸土産としてタネが全国に持ち帰られたが、東京になってからも高倉大根がウイルス病に強いことから山形大根として活用されたと伺った。

椿さんは、資料として「山形県立農業試験場百年史」150頁の研究業績を写真に撮って送っていただいた。
「(4) ダイコンの品種育成
戦後、秋ダイコンのウイルス病が大発生し、その対策について農家の関心が高まった。そこで耐病性品種を育成するため、泉系練馬一号とウイルス抵抗性品種として発表された「高倉大根」の2品種から優良母本を選抜して採種した。その中で、これら2品種が自然交配したと思われる個体の中に、耐病性が強く、根身の優れたものがあったので、この中から優良系統を選抜した。これは昭和30年「山形大根」と命名され普及に移された。」とある。
泉系練馬一号は、練馬区大泉地区で育種されたもののようで、調べてみたい。
「・・・サミットin 秋田湯沢」のパネルディスカッションで、質問をしてくれた鹿児島大学農学部附属農場の技術専門職員の中野八伯さんから電話を貰った。
配布された江戸東京野菜の資料を見ていると鹿児島にも似たような伝統野菜がいくつもあるという。
元鹿児島県農業試験場長の田畑耕作先生に、指宿の山川大根は練馬大根だからと写真をいただいていたが、中野さんは、山川大根を含め鹿児島の伝統野菜として大根を数種類持っているという。

そこで、宇都宮大学で毎年実施している「だいこんサミット」を主催している農学部の房相佑教授に、2020年度の講師として推薦した。
同サミットには、「山形県の在来ダイコンとその利用」を江頭宏昌先生が、「伝統野菜を活かした新品種」として椿さんも講演している。
その後、江戸東京野菜も招いていただいたし、2018年は「三浦大根のコンパクト化を目指した花粉親の改良」を 神奈川県農業技術センター 原 康明課長が講演している。