2007年01月04日

“「江戸・東京 ゆかりの野菜と花」の出版物語”


"江戸・東京 ゆかりの野菜と花" は
企画・発行JA東京中央会、平成4年10月31日農文協から発売した。


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上の画像をクリックすると目次に

発行までの経過だが、

昭和60年(1985)、当時東京都農業協同組合中央会(以後中央会)の教育指導部長を命ぜられていたが、

当時、東京都の経済事務所で農務課長をされていた梅澤幸治氏から、これまで栽培されていた江戸東京の伝統野菜が激減していることを聞いていて、二人で憂いていた。

同じ思いの元東京都で農芸緑生課長を歴任された菱沼圭太郎氏が訪ねて来られ、中央会の加藤源蔵会長に農業団体で、伝統野菜の種の保存と採種を行って欲しいと個人的な意見を述べられた。

菱沼氏は、東京都の現状は作りやすい野菜(F1)の研究普及に向いており、東京都は無理と判断して農業団体に依頼に来たものだった。

加藤会長は、野菜の種を採種する専門家も施設も無いことだし、軽々に受けることは難しいと、断ったが、中央会としてはできることから始めますからと、私に対策を考えるように指示された。

とりあえず、現状を調べ始めたが、平成元年(1989)で、
練馬大根、亀戸大根、高倉大根、東光寺大根、金町コカブ、
小松菜(ごせき晩生)、シントリ菜、馬込三寸ニンジン、
下山千歳白菜、奥多摩ワサビ、ノラボウ菜、東京ウド、
馬込半白キュウリ、滝野川ゴボウ、妻もの、の15種だったが、



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昭和56年に出版した「子供たちに残したい身近な自然」に掲載して、名前だけは知っていた、砂村ネギ、寺島ナス、滝野川大長ニンジン、目黒のタケノコ、三河島菜、谷中ショウガ、千住ネギを探していたが見つからなかった。
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平成2年(1990) 1月 1日付けで営農農政担当副参事を拝命したが、この年の4月に梅澤さんが東京都を定年退職され営農生活担当参与として中央会に入られた。

伝統野菜は、このままでは無くなってしまう。知っている人は亡くなってしまうので、梅澤参与と相談し、伝統野菜の研究をはじめ、かつてあった伝統野菜を本にして残そうと意見一致し、会長の了解を得て、著者の選定が始まった。



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選定には、東京都農林部に在籍した梅澤さんの人脈を生かして、元東京都農業試験場場長、元東京都の西多摩、南多摩、北多摩、中央の各農業改良普及所長などの専門家に集まっていただき、これまで知り得た東京の伝統作物について原稿を書いていただくことの了解をいただいた。


同誌の「まえがき」には、


 江戸に幕府が開かれてから 400年。この間、江戸東京は日本の政治、経済、文化の中心地として大きな役割を果たして来ました。それとともに、江戸・東京が単なる消費都市ではなく、野菜や花の産地を育て、緑と自然の豊かな都市として発展してきたことが忘れられません。

 今では、コンクリートとアスファルトで、覆われ、ビルや住宅のたち並ぶ都内の各地に、肥沃な農地が広がっていました。いまでも、年輩の人の中には、練馬といえば大根、谷中といえば生姜、滝野川といえば人参というように、地名を聞いただけで野菜を思い浮べる人も少なくないでしょう。これらは江戸の昔から名産野菜として知られ全国にも広がっていったものです。

 江戸は人口 130万人もかかえる世界最大の都市に発展しましたが、その人びとを養うために、土地の農民はもちろん、関西方面からきた開拓者も精力的に野菜づくりに取り組みました。

また、徳川幕府のとった参勤交代の制度により、江戸に住む大名達は故郷を懐かしみ、国元から野菜の種を取り寄せ江戸の屋敷で栽培させました。こうして、江戸には数多くの種類の野菜が集まりました。

 また、当時、江戸の人びとは「初物を食べると七十五日長生きする」といって、人よりも早く初物を食べた事を自慢しました。
 このような江戸っ子気質と、ひたむきな篤農家の努力によって、通常の収穫時よりも一日でも早く収穫できる促成栽培の技術をつくりあげ、一方で品種の改良などの技術の研鑽を重ねて次々と優れた品種が生まれたのです。

 そしてこれらの技術は、明治以降も引き継がれ、さらに新しい技術も開発されるなど、東京農業は野菜や花の生産において、我が国の農業技術を常にリードしてきました。

 本会では、単に生鮮野菜の産地としてばかりか、子供達の教育や、自然環境の保全などの重要な役割を担っている東京農業をご理解いただくため、『子供たちに残したい身近な自然』をコンセプトに、「ちびっこ農業教室」や、「学童農園」なども開催しております。

 そして、このたび、東京の農業を支えてきた先人達の足跡を、後世に伝え、改めて東京の農業がはたしてきた役割を、東京に住むすべての人々に伝えたいと、本書の刊行を企画いたしました。

 平成4年は、都市計画法の改正により、農家が今後農業を続けるか、やめるかの判断を迫られた年です。江戸から東京にいたる歴史の中でも、東京農業が初めて大きな、そして厳しい転機を迎えたわけで、この年に、この本が出版できますことに大きな意義を感じているところです。

 本書の出版に当たりまして、支援をいただいた関係機関はもとより、編集、執筆にご協力いただいた多くの農業技術者の方々、貴重な資料等を提供いただいた方々に、厚く御礼を申し上げます。

 江戸から東京への東京農業の歴史には、豊かな地域学習の素材にあふれています。この本が地域に学ぶ児童、生徒の副読本として、また、潤いのある都市環境や豊かな食生活を願う都民のお役に立てば幸いです。
平成4年10月
東京都農業協同組合中央会
                        会長 加藤源蔵


追伸
この本は、都内の小中学校に贈呈されたほか、国会図書館を始め、
都立、都内の図書館に贈呈されました。

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中央会では大英図書館にも贈呈したことから、
礼状が届きました。

posted by 大竹道茂 at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 初期ブログ・フードボイス
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