森鴎外ゆかりの宿、上野の水月ホテル鴎外荘が今月を持って閉館するということを知ったのは、2月末だったか、夕方のテレビで女将の中村みさ子さんが、「新型コロナウイルスの影響から、キャンセルが相次ぎ、体力があるうちに閉館することにした」と語っているのを聞いて、驚いた。
水月ホテルとのご縁は、江戸東京野菜に本格的に取り組み始めた2007年当時から、中村菊吉社長は注目していただいたようで、農協観光が「地産地消こだわりの宿」として紹介してから取り扱いが始まった。
「池波正太郎の世界」の開催にあたっては、中村社長と森山和博総料理長が、寺島ナスを栽培する三鷹の星野直治さんの畑を訪ねてくれたので、寺島ナスの特徴などを紹介させていただいた。
2012年3月には東北と江戸東京野菜として、東北のお客様を迎えてのイベントも開催され、当ブログには皆さんの書き込みに手ごたえを感じたものだった。
特に、鴎外荘は、女将のみさ子さんが、鴎外が舞姫を書いた座敷で、鴎外の物語を語るくだりは、誰もが鴎外の世界に浸り、全国から鴎外ファンが集まるばかりか、新たなファンを開拓していった。
同ホテルは、鴎外の話と、お料理では、森山総料理の後任として、2015年に全国日本調理技能士会連合会常任理事の大河原実氏が総料理長になられ、引き続き江戸東京野菜を使っていただいた。
大河原総料理長は2017年1月に、厚生労働省の現代の名工に選ばれお祝いを、
また、2019年には国家褒章の黄綬褒章を受章されたお祝いの懐石を、江戸東京野菜を使って、頂いている。
先日、日本農業新聞の高梨森香記者から取材を受けたが、27日に掲載された。
江戸東京野菜の普及に貢献してくれた「鴎外荘」か閉館されることの残念な思いを伝えたが、鴎外の居宅を引き継ぐ方が現れるのを祈っている。