読売新聞20日の朝刊多摩版に、日本遺産に、東京から初めて「高尾山と桑都 思い結実」が認定された記事と、八王子市で江戸東京野菜を栽培する福島秀史さんの記事が隣り合わせに掲載された。
文化庁では、2020年度の日本遺産として、地域の歴史的魅力や特色を通して、日本の文化・伝統を語るストーリーを、各区市町村から受け付けていたが、今年度は全国から69件の申請があり、21件を認定したと、19日に発表した。
今回、東京からは八王子市が「地域型」として申請して、東京都では初めて日本遺産に認定された。
八王子市では、戦国の武将、北条氏照が養蚕を勧めて、織物を産業化する礎を作ったことや、武運を祈願した高尾山等の、ストーリーが日本遺産として認定された。おめでとうございます。
これまで、当ブログでは、江戸東京野菜を日本遺産にと、情報を伝えてきた。
東京23区の中で、江戸の街を支えた近郊農業地帯に当たる行政区を、練馬区が取りまとめて、江戸東京野菜を加えたストーリーを作り、八王子とは異なるシリアル型で申請していたが、残念な結果となった。
八王子の歴史文化が日本遺産に登録された記事の隣に、
"たま人(tamabito)" で、「八王子固定種守り伝える」として
多摩・八王子江戸東京野菜研究会の福島秀史代表が紹介された。
福島さんが八王子で伝統野菜を栽培するまでのストーリーが紹介されている。
埼玉県所沢市出身で、父親は銀行マン。農家とは無縁の家庭に育ち、大学を卒業後は広告会社に就職、多忙な日々を送る中、安らぎを覚えたのは、家庭菜園で野菜作りを始めてから。
「食べる」ことは人間の根本と、思いを実現させるために2011年に退職し、農と食を仲介する会社を設立。江戸東京野菜の復活普及に取り組む。
現在は八王子市内2か所に生産緑地を借りて、無農薬、有機栽培を行い、その場で直売をしている。
2022年には、都市農業の生産緑地指定制度が満了し、農家は所有農地を継続するか、宅地にするかの判断を迫られることになる。
農業委員会では農業が続けられない農家が、農地の借り手を探すケースも増えることから、福島さんの取り組みが、農地を守る意味でのモデルケースになろうとしている。