代表的絵師の喜多川歌麿、東洲斎写楽を世に送り出しているが、
それ以前の話だ。
主人公の武村竹雄は広告代理店勤務だったが、
早期退職を迫られことから、酔って、人生を「やり直してぇなぁ!」
と叫んだ途端、お稲荷さんの怒りに触れて
天明五年にタイムスリップ、吉原で蔦重に助けられるところから。
ストーリーは始まる。
同誌のカバーを見ると、
廣重の「東都名所駿河町之図」に似た絵を背景に、
日本橋の欄干によりかかってスーツ姿の武村が、
スマホで電話をしている。
蔦重は吉原で生まれ、同地で小さな本屋(地本問屋)を開業、
25歳の時に吉原のガイドブック「吉原細見」を発行、
10年足らずで日本橋の通油町に店を構えるまでになる。
主人公の武村は、
蔦重との縁で、売れる前の歌麿、後の写楽(春朗)に巡り合う。

武村は、蔦重の店で歌麿から頼まれて春画のモデルをしたり、
江戸の混浴風呂を体験。花魁の席では恥をかく。
蔦屋の店で奉公して、浮世絵の出版を学ぶ、
廣重や北斎の風景画が人気の出る以前の話になる。
吉原の裏事情も紹介されていて、
色恋沙汰の事件に巻き込まれて・・・・。
武村と共に、蔦重の仕事を通して1785年頃の美人画の世界を学んだ。
面白い!!
巻末に・本書は2014年2月に飛鳥新社より刊行された同名の単行本を加筆修正し、文庫化したものです。とある。