石薫さんからメールが届いた。
江戸東京野菜のボタニカルアートは、東京都農業試験場が
明治から昭和の初めにかけて、写真を撮ることが難しかった時代に、
ボタニカルアートペインターを採用して、資料(細密画)として
描かれたものがたくさん残っている。
また、今年6月には東京瑞穂町で開催されたイベントで、
群馬直美さんの作品が紹介されていて、
2010年12月から、1年間、「よみがえる江戸野菜十二か月」として
家庭画報の連載されたことから、復活普及が始まった
江戸東京野菜の追い風になった。
石さんには、群馬さんを紹介したので、昭和記念公園で
実施されていた作品展に行かれて話を聞いたようだった。
石さんからのメールは、江戸東京野菜を描きたいので、
一度会って話を聞きたいというものだった。
先日お会いしたことは、深大寺そばの追録で報告している。
石さんをお連れした。
石さんは、ご主人のお仕事で、2013年にボストンに移り住み、
2015年からウェーズリーカレッジの植物画コースで学んでいる。
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卒業作品は、ボストンのあるマサチューセッツ州で日本の野菜を
育てている農家に出会い、「日本の野菜」をテーマに5作品
(かぼちゃ、大根、ねぎ、枝豆、茗荷)を描いたという。
ウェーズリーカレッジ植物園 : 2019卒業アーティスト展
その卒業制作の審査にイギリスの著名なボタニカルアーティストが
参加していたご縁で、この業界では有名で権威ある
RHSのボタニカルペインティングのコンクールに向こう5年以内
の期限付きで挑戦する機会に恵まれたという。
練馬大根、早稲田ミョウガ、千住ネギ、深大寺在来そば、東京うど、
内藤カボチャが候補にあがったことから、
練馬大根、早稲田ミョウカ、千住ネギの栽培をしている
井之口喜實夫さんのお宅にお連れしたもの。
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10月には珍しいこのところに暑さでミョウガの花が開き始めたので、
井之口さんは収穫にいそがしい時だったが、
丁度咲いていた花ミョウガの説明をしてくれた。
早稲田みょうが候補に挙がった理由のひとつに、
石さんが早大OGだったこともあるようだ。
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雑草ひとつない圃場管理に驚いていた。
石さんは、「ボタニカルペインティングは、アートという要素よりも記録の要素が重視される分野です。これまで描かれていない品種を描き貯めて、世界全体で共有していくというボタニカルペインティングは、気候変動が深刻な今日、江戸東京野菜をはじめとする伝統野菜が、
重要な使命を課されているように思います。
この秋にニューヨークボタニカルガーデン主催でアメリカ各地をめぐる展示会でも、在来種をテーマに掲げ、温暖化の今こそ植物の多様性を
守る重要性が増してきていると強調されています。」と語る。