2022年07月20日

「ベテラン農家は語る」は、檜原村の伝統野菜育成に取り組む鈴木留次郎さん。


ベテラン農家は語る」は、7月16日(土)、
JA東京南新宿ビルで、15時から開催された。

これまで、江戸東京野菜をはじめ地域農業の振興に取り組む方々に
講演を頂いているが、今回の鈴木留次郎さんには2020年に
予定していた。しかし新型コロナの影響で、開催を断念、

鈴木さんも新型コロナの感染者の少ない檜原村から蔓延している、
新宿まで出てくることに不安を感じておられた。

今回は、おいねのつるいもや、白岩ウリ、ルバーブやなつはぜの
ジャムなど、試食用に持ってこられたので、奥様とご一緒に来られた。






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頂いた写真で。パワーポイントを作ったので、進行役を務めた。

写真は、檜原村のメインストリートで、手前の丸が元檜原小学校跡地に
建てた檜原村役場、上の丸は鈴木さんが、おいねのつるいもや、
ルバーブを栽培している斜面の農地。

上の画像をタップする
今月2日には、テレビ朝日の「食彩の王国」、7日にはテレビ東京の
「昼めし旅」と各局で放送された。

鈴木さんは、元檜原村助役をされ、観光協会の事務局長、JAあきがわの
理事を歴任、現在は檜原村じゃがいも栽培組合組合長をされ、
檜原の歴史文化を後世に伝える取り組みを行っている。






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檜原村の白岩ウリ(江戸東京野菜)は、明治以前から檜原村湯久保で
栽培されていたが、先代から引き継いだ峰岸奈津子さんが栽培を続け
藤倉の田倉信子さんにあげたことから田倉さんも栽培している。

上の画像をタップする。
今回持参頂いた白岩ウリは、この時期だから若採りで8月の上旬に
なると、ヘタに近いところが黄色くなり、それが食べごろだとか。







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おいねのつるいもも持参して頂いた。

上の画像をタップする
数馬の生産者小林正江さんにも話を聞いている。

おいねのつるいもには、諸説あるようだが、
鈴木さんの話では、大正時代に山向こうの神奈川県から、おいねさんが
数馬山荘に嫁に来た時に、両親が飢饉対策として芋を持たせた
ことから、地域で栽培が広がり「おいね芋」と呼ばれるようになった。

それ以前数馬では、甲斐の国の代官中井清太夫が普及した清太夫芋が、
都留芋として栽培されていたが、「おいねいも」はつるいもと
同じだったことから、「おいねのつるいも」と呼ばれて栽培された。

鈴木さんは、檜原ジャガイモ栽培組合の組合長をされていて、
男爵やきたあかり、メークインなどを栽培しているが、今年2月に
ジャガイモの焼酎工場が完成したことから、
「ひのはら物語」が販売されている。







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メープルシロップ
鈴木さんは、檜原の産物で「檜原土産」を作っている。
その一つが、メープルシロップで、檜原の山にある、イタヤカエデの
樹液を2月に採ってメープルシロップを作ってている。

上の画像をタップする
ナツハゼのジャムも作っている。
人里の道路沿いに、ナツハゼの栽培地があり、何度か見に行っている。








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ルバーブの栽培。
自宅近くの傾斜地に、鈴木さんの畑があり、そこには、
ジャガイモの他、ルバーブも栽培している。

ルバーブはジャム用に栽培していて、昨年、ジャムの作り方を
教えてもらっていたことから、昨年から東京女子学院高等学校で、
地産地消として鈴木さんのルバーブを使ってジャムづくりを
指導している。







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檜原で昔から「ねんねんぼう」をそばのつなぎに使っていたが、
栽培するまでには至っていなかった。

鈴木さんは、檜原の林道脇に花が咲いていたのを見つけ、何度も
栽培を試みていたが、ようやく栽培に成功した模様。

ねんねんぼうは「おやまぼくち」として、奧信濃の幻の蕎麦処
「富倉そば」は有名で、檜原村でも一時「玄庵」で出していたが
「おやまぼくち」が入手困難で、その後出していなかった。

栽培が可能となったことから村興しに活用出来ないかと、
鈴木さんは模索している。


司会の立場で、会場に見えていた、本会の顧問向笠千恵子先生に
「おやまぼくち」の情報について聞いてみた。

向笠先生が行かれたとして、新潟県下田(ひただ)で笹団子を食べたと、
茨城県大子町の奧のエリアと、長野県飯山で富倉蕎麦を
食べてきたと教えて頂いた。

伝統野菜プロジェクトの草間壽子代表は、島根県出雲に
「宝庫そば」があると云う。
出雲では「キクバオヤマボクチ」を「宝庫」と呼び、
出雲大社のそば屋「山太」で食べたと、紹介を頂いた。

何と「山太」の森山さんは出雲おろち大根を使っていて
よく知っているが、宝庫そばは知らなかった。

後日、草間代表はキクバオヤマボクチの写真を送ってくれた。



追伸

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会場には、江戸ソバリエ協会のほしひかる理事長も見えていて、
鈴木さんは、乾燥したおやまボクチの葉を数馬の岡部勝子さん(88歳)
から頂いていて、そばのつなぎに使うならと、ほし理事長に手渡した。

上の画像をタップする
岡部さんは、一年以上持つからとお茶の大きな缶に入れて保存、
そのおやまぼくちを分けて頂いたという。


追伸
「ベテラン農家は語る」に先立って行われた
「はじめての江戸東京野菜講座」、引き続き「試食会」が行われた。


posted by 大竹道茂 at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | コンシェルジュ協会事業
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