けんちん汁を供えるために、
塩ビ管栽培の滝野川ゴボウを収穫したと云う話は、紹介したが、
そこで井之口さんのお宅に伝わる荒神様の神事を伺った。
練馬の農家ではどこでもやっているだろうとの話だったので、
練馬区の代表的な大根農家渡戸章さんに電話で話を伺うと、渡戸さんの
地域には荒神様のご神体があり、10月23日(水)は当番だったので、
まだお預かりしていると云うので、見せて頂に伺った。

この辺りは、昔西本村と云い18軒の農家で講を作っている。
暦の上で庚申(かのえさる)の日に、農家の主人が当番の家に集まり、
青面金剛にお参りをすると聞いて分かったが、荒神(こうじん)様と
庚申(こうしん)様の聞き違いだった。
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ご神体の青面金剛をお祀りし、線香をあげて、全員で般若心経を
唱え、終わると酒を酌み交わすのだと云うが、江戸東京野菜を
栽培する渡戸秀行さんも同じ講で、新型コロナの発生以降は
集まっていないと云う。

庚申は、中国より伝来した道教に由来する庚申信仰の事で、
練馬には真言宗豊山派 真言宗智山派があるが、
西本村は豊山派だと云う。
三祖御尊像の、南無専誉僧正、南無大師遍照金剛、南無興教大師を
開いてお参り、
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大正時代の布で大切に包まれていた。
庚申の日は、仕事(農業)は休み、女性は針仕事等行わないで早く
就寝、男衆は深夜まで当番の家で酒を飲んで親交を深めると云う。

庚申の日は、2か月に一度めぐってくるから、年6回実施している。
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ご神体など、仏具はまとめて納めてあり、当番の家が持ち回りとなる。
地域によっては、庚申様は掛け軸(石神井)のこともあるようだ。
石神井地区の井之口家も豊山派だが、庚申信仰は行っていない。

西本村稲荷神社の一画(練馬区平和台4-2-12)には庚申塚が
あると云うので案内して頂いた。
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塚の土台石には「かのえさる」から、見ざる言わざる聞かざるの
三匹の猿が彫られている。
渡戸さん達の講では、荒神様の仕来りは行われていなという。