恵比寿ガーデンプレイスの一角にある東京写真美術館は10数年前、現役時代に「東京「農」の風景フォトコンテスト」入賞作品の写真展を、この会場でやってからだから久しぶりだ。
高橋淳子さんの作品は「プロフェッショナルの世界」に「我が故郷は三宅島なり」として展示されていた。
(残念ながら会場は撮影禁止なので、その写真の一部は彼女のブログから紹介する)
この作品は島の農業取材中に三宅島で撮影した5枚を組み写真としてまとめたもの。
2000年の三宅島噴火で全島民が一時避難を余儀なくされ、2005年にようやく避難は解除されたが、立ち入り禁止地域は多い。
そんな三宅島でも「我が故郷だ」という島民の気持ちをタイトルにしている。

高橋さんは、写真集「東京近郊農家」(東方出版)。「東京「農」23区」など、東京の農をテーマに撮り続けている写真家として、その作品からお名前は知っていた。
作品には、私でも気がつかないでいた「農」が写しだされていたからだ。
2007年6月に、有楽町の東京銀座富士フォトサロンにて「東京「農」23区」の個展が開かれると云うので見に行った。
その時、初めてお会いした。
立ち話だが、今後の構想について伺ったが、東京の離島の農業を写したいとのことであった。
大切な東京農業の応援団とみて、その後島の友人を紹介したりもした。

今年の2月に「東京「農」離島」(文芸社・税別2,000円)を贈っていただいた。
ひと航海ごとに、島での話を聞かせてもらったが、大島、利島、式根島、新島、神津島、三宅島、御蔵島、八丈島、青ヶ島、小笠原の父島、母島と、人が生活しているところは全部行ったようだ。
この本、一枚一枚の写真からは島の人々の素朴な人情が伝わってくる。
島ごとに歴史があり、島ごとに文化がある。そして離島という厳しい環境の下、島ごとに島民の生活も同じようで違う。
同じ東京、知っておきたい一冊だ。
今後は、島ごとの作品集や、島めぐりの個展なんかも開催してもらえば、改めて島を見直す意味から各島民も喜ぶと思うが。