2010年06月06日

第三回 [野菜の学校2010] 加賀(石川)の伝統野菜・地方野菜


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昨年2月、久々に訪れた金沢で、土地の産物を求めたいと出掛けた近江町市場。
その青果店には、加賀蓮根(一節350-850円)や五郎島金時など旬の伝統野菜が並んでいた。




第三回 [野菜の学校2010]、加賀野菜の講師は小畑文明氏。

2009年2月に金沢で開催された「伝統野菜サミット」に招かれたが、加賀野菜を代表して説明されたのが、小畑氏だった。
加賀野菜保存懇話会を立ち上げるなど、加賀野菜については第一人者、興味深い話を伺った。

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加賀野菜は小畑氏が個人的に同好の志を集めて平成3年に「加賀野菜保存懇話会」を立ち上げた。

そもそもは、松下種苗の社長が「京野菜があって”加賀野菜”と云う名の野菜がないのはおかしい」と云うことで、京野菜に対抗して加賀野菜のブランド化が始まった。

その後、行政が追いかけてきて、平成7年、金沢市農産物販売促進検討委員会、平成9年に「金沢農産物ブランド協会」を発足した。

加賀野菜は昭和20年以前に金沢市内で栽培されていた野菜だけに付けられたネーミングで15品目ある。

しかし、固定種にはこだわらないとのこと。


加賀野菜


加賀太キュウリと金時草
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「加賀太キュウリ」は藩政時代にシベリア大陸から渡来してきたキュウリで、昭和15年に金沢で作り始めた。

冬瓜のようにして、縦割りにして種を取る。皮を剥いて「あんかけ」にするのが定番。つけもの、酢のものにする。天ぷらにしても美味しい。

金時草(きんじそう)は金沢の家庭では99%酢のもので食べている。加賀野菜としてブランドされてから、料理屋さんでは、天ぷらや炒め物など、新しい食べ方を創造している。

インドネシア原産で、沖縄ではハンダマ、熊本では水前寺菜。
葉だけを取って熱湯の中に入れてしばらくすると、色が変わってきたときに取りだして冷水に入れて絞めると、それが食べどきだと云う。
茎は挿し木にすると、増えるので、挿し木で増やす。

加賀つる豆と加賀れんこん
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加賀つる豆は、名古屋では、形が紀伊国屋文左衛門の千石船に似ているから千石豆、京都へ行くと藤の花に似ているからフジ豆、お公卿さんらしい名前のつけようだ。

これは青臭いので金沢では、油揚げと一緒に炊いて食べている。唐揚げで塩をかけてもビールのつまみになる。

加賀レンコンは、金沢の人が自慢できる産物だ。金沢のレンコンはでんぷん質が多いから。
茶碗蒸しでは、卵の代わりにおろして入れる。または、おろしたものを団子にしてせいろ蒸しにしても美味しい。
人気なのが加賀レンコンのコロッケ。ジャガイモの代わりにレンコンをおろして使う。
ハンバーグもいい。おろしたものをハンバーグの形にして油を引いて焼く。
金沢でレンコンのシーズンになったら、県外産のものは誰も買わない。美味しさを知っているから。


五郎島金時。
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五郎島金時。
大田市場で、鳴門金時と五郎島金時の食べ比べをしたが、温かい時は鳴門金時で二番手が五郎島。

冷めた時は五郎島金時が一番で、温かい時も冷めた時も、他の産地は五郎島以下だったという。

五郎島金時は、収穫後すぐに35-6度で湿度100%の室に3日間入れる。これによって水分が抜ける。
その後12-3度に落とすと、芋が仮死状態になる。皮と実の間にコルク状の保護膜を作る。

これにより金沢で云う「コボコボ」いわゆる「ホクホク」の芋ができる。
五郎島は水分が少ないから腐らずに5月まで置いておける。



加賀太キュウリと比較する野菜
元西キュウリ(秋田県産ブルームレス・上写真の右

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半白キュウリ(左・奈良県産)と干潟白瓜(右・千葉県産)

瓜の仲間


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モーゥイ(左・沖縄県産)と はぐらウリ(右・千葉県産)


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スーヨー(四葉)左・群馬
群馬県きゅうり標準出荷規格表

群馬県の生産者は、作業部屋に「きゅうり標準出荷規格表」張って、この規格で調整する。




食べ比べと試食

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塩もみ(左)と、生(右上)
加賀太キュウリ(皮つきと皮むき)を生と塩もみで、秋田県産ブルームレスキュウリの元西キュウリ、奈良県産半白キュウリ(黒イボ系)、千葉県産干潟白瓜を試食・食べ比べを行った。


加賀野菜を使った料理(指導・領家彰子)

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金時草の自然食(アントシアニン)を生かした金沢の蒲鉾入り酢飯。
ご飯を炊いてムラしている間に、金時草を湯がいて寿し酢にあわせておく。
ムラし終わったら飯台で寿し酢とあわせる。
今回はアクセントに金沢の蒲鉾を入れた。

五郎島金時のオーブン焼き。

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「加賀太キュウリのあんかけ」(左)「金時草の酢のもの」
加賀太キュウリは、金沢では「あんかけ」が定番と云うことで、鶏肉とエノキダケ、しいたけ入りのあんかけにした。
冬瓜に似た食感。

また「金時草」は酢のものが定番と云うことで酢のものにした。茹でて三杯酢で和えただけ。

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「つる豆の味噌煮」「加賀レンコンの炒め煮」
つる豆は油揚げと炊くのが定番と聞いたが、今回は厚揚げにした。
つる豆は、莢に毛が生えておりクタクタに煮るようだが、その癖を知ってもらう意味でクタぐらいにして、金沢の味噌を使ってみた。

加賀レンコンの、モチモチ感を知るには、煮汁を煮立てておいてそこに入れてひたすら炒めたもの、関東では茨城産だがその違いを知ってほしい。

posted by 大竹道茂 at 08:09| Comment(0) | TrackBack(0) | 野菜と文化のフォーラム
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