城南のこの地は江戸の頃から温暖で蔬菜、果樹等の栽培がすすみ、明治41年、地元の篤農家が集まって農地を提供、同校を誘致した歴史もあり、全国に農業高校はあまたある中で花卉園芸・蔬菜・果樹等の園芸の分野に限定した教育をおこなってきた。
東京の農業はもとより、園芸の分野における我が国の農業のリーダーを数多く輩出してきた名門。
正門から本館までの100メートルもあるイチョウ並木は、大正時代に植えられたものとか。
また、三代将軍徳川家光、遺愛の松(盆栽)もシンボルの一つである

春先、同校の2年園芸科担任の横山修一先生が訪ねて来られた。
何でも2年生の学生が、インターネットで江戸東京野菜を知り、栽培したいと希望を持っているので、協力してもらいたいと云うもの。
農業高校生が読んでいる月刊誌「リーダーシップ」1月号で「甦れ!地域の伝統野菜」現在奮闘中。が掲載された。
全国25校が約52品目の伝統野菜に取り組んでいることが紹介されていて、
東京の農業高校でも取り組んでもらいたいものと思っていたが、願ってもない話。
横山先生に紹介された生徒さんは3年生で、採種に取り組む由井君と、地域普及の歌丸さんと磯貝さん。
江戸東京野菜は当ブログ等もチェックしていて生産者の星野さん(三鷹)や宮寺さん(小平)、小坂さん(国分寺)に直接頼んで「寺島ナス」や「馬込半白キュウリ」そして「銀マクワ」の苗や種を取り寄せていた。

城南の地、馬込で生まれた「馬込半白節成キュウリ」は特徴の半白がよく出てきていた。また、「寺島ナス」は今流の仕立てをしていたが、この栽培でのデーターも興味深い。また、「銀マクワ」も定植したものは花が咲いたという。
横山先生と今後の事で話していた時、由井君が初物の寺島ナスを炒めたと、三つに切って持って来てくれた。
横山先生と三人で食べたが。初めて食べた由井君は「美味しい」。これからの栽培に三人の生徒さんも意欲を持ってくれるものと期待したい。

同校には、1916年に、菊池秋雄博士が在職中に、日本梨の在来種を人工交配し、優良新品種の菊水・八雲をつくり、全国的に栽培されるにいたり、のちに、豊水・幸水・新水のもとになった。という記念碑があるが、
城南の地で生まれた「馬込半白キュウリ」は、まだ十分に固定化されていないところもあり、今後、園芸高校として固定化し種苗登録をしてもらいたいものだ。