スタディーは、寺島ナスとアシタバ。
今回の講師は、昨年、第一寺島小学校で寺島ナスの復活を指導した星野直治さん。著書には「おいしい野菜の作り方」(家の光)がある。
ナス栽培の難しさをわかりやすく話してくれた。
★ナスは、収穫期間が長いから、長く楽しめる。
猛暑をくぐりぬけて、涼しい秋、そして霜が降って枯れるまで収穫が出来る。
★それには暑さと乾燥に強い台木に苗を接ぐことで、栽培の難しい季節を乗り越えられる。自根の苗だと暑さと乾燥を乗り切れないことが多い。
★寺島ナスは、卵大の大きさで収穫すると、色ツヤもいいが、少し大きくすると色がボケてつやが無くなり木も疲れてしまう。
しかし、市場では料理店の要望で、大きく作ってくれと、千両並みにしろと頼まれている。
★私の畑では、夏は花が咲いてから15〜6日で収穫できるが、市民農園などで市民が作ると、28日位かかってしまう。そうすると、堅いナスが出来てしまう。
夏場で花が咲いてから、15〜20日、お彼岸頃から25〜27日ぐらいで収穫する。大きさを優先するとボケてしまう。
★水やりも、一日一回とか、一日ニ回とが決めるとナス自体もそれに対応できるが、一回やったり朝昼晩三回やったりでは、ナスにストレスが起こり、生育変調を起してします。
★夏以降は、蔓の先の方に実を付けると、大きくするのに時間がかかるから、幹に近いところで収穫するように仕立てる。
収穫したら葉を一枚残して先を切るようにすると、残した葉の元から蔓を伸ばし、花をつけるから、常に早く大きく成長したやわらかいナスが採れる。
★肥料も根元でなく、生育に合わせて樹から遠いところに施すことで、根が十分に張り、しっかりした樹勢になる。
★減農薬対策として、フェロモンのストラップはもちろんだが、アブラムシ対策としては、飼料作物を畑の周囲に植え、樹液をアブラムシに吸わせるようにすると、ナスには寄ってこない。
など、ナス栽培の極意をたっぷりと話してくれた。

アシタバの物語
アシタバについては、私から紹介した。
かつて、某企業が昭和58年、アシタバをハンの木のもとで栽培すると栄養価のある、品質の良いものが収穫できると特許申請をしたことがあった。
しかし、これは古文書「八丈實記」に記載されていたことから、農業団体の猛反対で差し戻されたと云う話しを報告した。
でも、「なぜハンの木が良いのか」皆さん疑問が残ったままだった。
その時、今回、時間を割いてお見えになっていた、山形在来作物研究会会長の江頭宏昌先生(山形大学准教授)が、ハンの木の疑問を解いて下さった。

「私は、焼畑の研究をしています」と前置きして、
「焼畑の最終年度に植えるのがハンの木です。
一年目は、ヒエ、アワ、ソバなどを蒔き、二年目には大豆などを蒔き、三年目には再びソバなどを蒔く。
そして、四年目の最終年度にハンの木を植えます。
なぜかと云うと、ハンの木はマメ科と同じで、コンリュウ菌がチッソを固定化します。
使ってきた地力を回復して元に戻すので、ハンの木の周囲は土が肥えます。
焼畑は東南アジア一体で行われていて、八丈島や三宅島も焼き畑が行われていたと思います。」と語った。
アシタバ栽培は、理にかなった方法だったのだと、みなさん胸のつかえがとれたようだった。
カフェに続く