鴎外荘は「江戸東京野菜、地産地消のこだわりの宿」として4月15日の当ブログでも紹介したが、夏の企画として、江戸料理「池波正太郎の世界」を発売する。
江戸東京野菜と女流講談師の神田蘭・演目「剣客商売」のコラボは、池波正太郎ファンならずとも、「聞いて 食べたい!」というもの。
メニューも決まったと云うので、中村社長からお誘いを受け上野に出掛けた。上野駅不忍口から鴎外荘の送迎バスで向かったが、中村社長は出迎えてくれていた。

総調理長の森山和博氏が「池波正太郎の江戸料理を創る」を参考に考案した、江戸料理の懐石。
・小鉢(写真上)、蛤とわけぎ、木耳の卯の花和江。
ハマグリを、卯の花(おから)の香りを生かして酒と昆布と醤油で炊いている。
わけぎの香りキクラゲの食感もいい。昔の風味が残っている。
・前菜変り(写真下)、豆腐と蒟蒻の冷し田楽。
氷を敷いた上に冷し豆腐は木の芽味噌と、コンニャクは下こしらえで味が染みて、赤味噌にケシの実が乗って冷たいのをいただいた。
・吸物変り(写真上)、生鰹節の冷し汁、針生姜。
味噌でゆがいた寺島ナスとキュウリ、カツオのナマリ節を味噌仕立ての冷汁にしてある。
寺島ナスとキュウリが涼しさを出し、針ショウガがカツオの味を引き立てている。
・造里(写真下)、江戸前三種盛り合わせ、妻種々、山葵。
中トロに、江戸前のハタと、アオリイカ。
つまものはアオダツ(イモの芽のスライス)、ムラメ、奥多摩ワサビ。
お料理一つひとつに「おもてなし」の心が伝わり、料理人との一期一会を感じたものです。

・煮物(写真右)、冷し物、鰊と茄子の煮合わせ、針生姜、葉山椒。
ミガキニシンを蒸し煮にし、寺島ナスを焼き、皮をむいてニシンの煮汁を薄めたものを含ませている。
柔らかく煮えたニシンと寺島ナスを針ショウガと木の芽(葉山椒)が味を引き立てている。
・焼物(写真左)、飛騨コンロによる、栄螺臺焼。
江戸前のサザエは臺焼。
大根おろしを醤油味で煮て、甘みが出たおろしと一緒に焼く。
ミツ葉が添えてある。

揚物、海老の煮出し
クルマエビは江戸料理ではメジャーな料理。
ゴマ油で揚げて、シッポは剥き身にしてあり、大根おろしで食べる。
鬼がらは二度揚げしてあるから、サクサクした食感がたまらない。

・食事(写真左)、蚕豆茶御飯。
新茶、昆布、酒に、ソラマメをゆがいた汁も入れて炊いたご飯にソラマメをのせた、お茶の風味がいい。
・止椀(写真右上)、中具色々。
赤出汁に白身魚と湯葉、ミツ葉が入っている。
香の物、四種盛り合わせ(写真撮り忘れ)
・水菓子(写真右下)、季節の果物。
この日はスイカだった。
皆さんに、お勧めるお料理です。
夏の夜のひと時をお楽しみください。

水月ホテル鴎外荘は、数々の賞を受賞しているが、今年一月、第35回「プロが選ぶ日本のホテル・旅館100選」の料理部門で100選に選ばれている。
帰りには、中村社長と森山総調理長が見送ってくれた。
中村社長、森山総調理長、御馳走様でした。