この度、月刊日本橋が座談会をやるというので、東京駅八重洲口から程近い、「日本橋ゆかり」に伺った。

「花の雲 鐘は上野か浅草か ゆかりの色の鉢巻も 江戸紫や伊達姿・・・・」
芝居の花形、浅草花川戸の助六の粋姿を彷彿とさせる名台詞だが、
初代野永喜三郎夫妻が浅草の出身だということもあり、ごひいきの先代・十一代市川團十郎のお家芸「助六由縁(ゆかり)江戸桜」が、店名の「ゆかり」となったという。
そもそもは、野永喜一郎(ゆかり二代目)氏が、京都に京野菜があるように、江戸には江戸野菜があるんじゃないかと、江戸東京野菜を探し始めたことに始まっている。
2006年に野永氏が月刊日本橋に対して、江戸東京野菜の特集をしたらどうかと提案したことが、プロジェクトの原点になっている。

月刊日本橋からは、かつて実家が京橋の大根河岸で卸問屋をやっていたという東京青果鰍フ石川勲社長(江戸東京野菜普及推進連絡協議会会長)と、3人で座談会をやりたいと話があったのでお受けしたもの。

写真左上から野永喜一郎氏、石川勲氏、司会進行の月刊日本橋の齊藤加代子さん、写真右下は上林武人月刊日本橋社長。
「にほんばし江戸東京野菜プロジェクトを振り返って」楽しい会話が弾んだ。
この内容は、9月1日発行の月刊日本橋に掲載される。
お楽しみに・・・
お通
東京枝豆 白和へ・松の実

蓋をすると鉱物の塊のようだが、ふたを開けると、枝豆の白和えに松の実が乗っていた。
この器、陶芸に造詣の深い野永さんの手作りで、お料理と共に作品の器が楽しめる。
新子柿の葉鮨、鶏手ば龍目照り焼、鮎一夜干、
東京わさび酒粕漬、青ト肉づめ揚、

大皿に乗った5品、それぞれの食感が楽しめた。
夏の短い旬に味わえる新子はコハダの子供。料理人の手間をいただく。
東京ワサビは吟醸酒の粕に醤油のもろ味を和えてある。
うずら椀・丸白瓜、青柚子、
金町小蕪すり流し

うずらに丸白ウリと柚子が添えられ、金町コガブのすり流しがベストマッチ。
一膳、一膳、器に描かれた鳥が異なり、器も楽しい。
江戸前 鱚、穴子、蛸洗い、
江戸妻いろいろ

江戸前のキスと穴子、タコの洗いに、江戸妻は、花穂とムラメ。
江戸切子のお皿で涼しげだ。
伊豆大島たかべ姿焼、蓼酢、生姜

伊豆七島のタカベは高級魚。 現役時代に新島や三宅島で食べたのを思い出したが、家庭では中々手に入らない魚。
脂が乗って美味しい。
冷やし鉢 滝川豆腐、車海老、
オクラおろし、生姜

滝川豆腐は、隠し包丁が入っていて、箸を入れると形が崩れて流れる滝川になる。
オクラのねっとりしたおろしと生姜がアクセントになっている。
鰻、寺島茄子、胡麻あん

厚く切った寺島ナスが加熱したことでトロミが出て鰻とのベストマッチ。
賀茂ナスだとサラッとしたものになるが、寺島ナス独特の個性が美味しい。
器はコオロギの絵が描かれている。
釜 深川飯、薬味、 赤だし、もずく
漬物 沢庵、東京キャ別浅漬、白才古

浅蜊の炊き込みご飯・深川飯を釜で炊いて、銘々によそってくれた。
漬物の沢庵は練馬ダイコンの自家製。 野永さん好みの古漬け。白菜も同じく古漬けで、懐かしい漬物だ。

イチジクとシャーベット。甘く煮たイチジクの上に、紅茶で色付けしたシャーベット、アクセントに乾いた紅茶の葉が乗っている。
野永さんが描かれた蓮の絵が、部屋に掛っていた。
店の入り口の水連鉢を描いたという。
陶芸をやられたり、やはり料理人はアーティストだ。
皆さんとの会話と共に、お料理に、器、絵画と楽しみ、満足のひと時でした。