2010年11月07日

第7回「野菜の学校2010」 庄内(山形)の伝統野菜・地方野菜

今回は、先月お邪魔した庄内の野菜だ。

毎回、その地方の野菜の専門家が来てお話をされる。
市場関係者が多いので、どなたかと思っていたら、江頭宏昌先生( 山形在来作物研究会会長・山形大学農学部准教授 )がパワーポイントのセッティングをされていた。
先生の講義を伺うのは初めてだから、素晴らしい機会をいただいたものだ。

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先日伺ったときに「宝谷カブ」のレシシピ集をいただいたが、今回はその中のピザがいただける。






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クリツクすると藤沢カブ


「山形県庄内地方の在来野菜」のパワーポイントは後藤勝利さんの焼畑の写真が写し出された。
この山に雑草のように写っているのが全部藤沢カブです」の説明に、会場から驚きの声が上がった。


講義は「在来野菜とは」の定義から始まった。

世代を越えて栽培者によって種苗の保存が続けられてきた作物をその地域の在来作物と云う。

さらに商業品種(F1)が「用途を満たすモノ的存在」に対して、在来作物は「用途を満たすモノに地域固有の知的財産(歴史・文化・栽培・利用のノウハウ)が付随」「在来作物にはモノとしての側面と情報を伝えるメディアとしての側面がある」と整理された。


庄内のカブと焼畑

藤沢市で行われている焼畑では、宝谷カブ、藤沢カブ、の他、下記写真の温海(あつみ)カブをクリックすると、田川カブ等が栽培されている。

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かぶは飢餓回避の知恵
「飢餓のとき、かぶに穀物を混ぜて煮て食べれば、大そう役に立つ。他の野菜は長期間食べると、菜色といってその人は弱り、体の色まで青くなるものだが、かぶはどんなに多く長期間食べても病気にならず、顔色も変ることがない。かぶの味は穀物に似ていて、色も赤く美しいためという。まして穀物を加えて食べれば、飢餓の年にどれだけ助けになるかはかり知れないと、中国の書物にたいへんほめて書いてある。」と農業全書 宮崎安貞著(1697元禄10年)を紹介して説明された。



平田赤ネギ

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酒田市の旧平田町飛鳥地区で平田赤ネギは栽培されている。最上川と相沢川が合流するあたりの北に赤ネギの畑が広がっている。

昨年の11月にご案内いただき生産者のお話を伺った。
白いネギと比べて葉全体が軟らかく、生では辛味が強いが似ると甘いのが特徴だ。
写真をクリックすると、ビネガーをふって蒸し煮にした平田赤ネギ。


食用菊の「もってのほか」

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面白い名前だ、山形在来作物研究会編の「どこかの畑の片すみで」によると
「あまりにうまいので嫁にくわすのはもってのほか」とか「天皇の御紋の菊の花を食べるのはもってのほか」「食べてみたらもってのほかうまかった」など色々あるようだ。


伝九郎柿

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伝九郎柿は江戸時代に庄内の藤島町長沼に持ち込まれた渋柿で、その後庄内一体に広まった。
果実の品質が優れていることから、渋抜きがしやすい庄内柿「平核無」が品種更新されていったものだ。

渋抜きは焼酎ではうまく渋が抜けないため、お湯を使った「湯ざわし」という方法で渋抜きをされる。
この方法は昔から伝わる方法で、40℃のお湯に塩を入れて、その中に12〜24時間ほど柿を浸けておく。気温や柿自体の硬さなどでお湯や塩の量は若干かわる。


民田ナス

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ナスをクリックするとだだちゃ豆



野良大根(ピリカリ)

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野良ダイコンは鶴岡市の藤島地域で栽培される。
ハマダイコンといれる野生ダイコンの一種。現在はこの大根を「ピリカリダイコン」として、辛味ダイコンが作られている。

ダイコンをクリックすると、「むきそば」に「ピリカリダイコン」をおろして食べたが水分も少なく辛味が強いものだった。


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写真をクリックするとカラトリ芋


野菜の学校の調理スタッフとして活躍の御倉多公子(園芸研究家)さんが、庄内出身ということで、農産物の収集をされたようだが、収集にはご苦労があったようだ。

山形県は日本海に面した庄内地区と最上地方、村山地方、置賜地方の山間部と文化は大きく分かれると云う。
特に対立は無いが庄内と山間部の地域とはお互いあまり知らないと云う話しは面白い。
また、この時期、芋煮会のシーズンで牛肉にこだわった話も面白かった。


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江頭先生と御倉さんとも調理された庄内の野菜について話は弾む。
写真をクリックすると食べ比べで右が生の宝谷カブ、金町コカブ、藤沢カブ。左が焼いたもの

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 庄内野菜を使った料理の試食

宝谷かぶ」は、アル・ケッチアーノ風にピザ。

「からとりいも」は蒸してチーズ焼き。

「平田赤ねぎ」はビネガーをふって蒸し煮。

「もって菊」は辛子じょうゆのおひたし。

このほか、今が季節の「芋煮」、庄内の伝統料理「むきそば」が用意された。

温海かぶ、藤沢かぶ、田川かぶの漬けものや伝九郎柿も味わった




posted by 大竹道茂 at 08:27| Comment(0) | TrackBack(0) | 野菜と文化のフォーラム
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