2010年12月07日

第8回「野菜の学校」なにわ(大阪)の伝統野菜・地方野菜


今回は、なにわの野菜だ。
食べ物は何処から来たのか、例えば人参はアフガニスタンが原産地、赤いのがあり、黄色いのがあり、紫のがあり、色のつかないのがあり、これらがヨーロッパからアメリカに伝わった。

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一方、東洋系の人参はシルクロードを経て、中国に伝わり、そして金時ニンジンなどは16世紀ごろに日本に伝わってき人参。大阪では木津、難波に伝わった。





 

講師の森下正博先生のお話は、やさいのがとこから来たのかという、ことから入った。

先生は、農学博士。「大阪府食とみどりの総合技術センター」時代からなにわ伝統野菜復活の中心的な存在で、現在は応援団として活躍。

生産・流通・調理や加工技術など様々な分野に働きかけたり、子どもたちや消費者への食農教育、地域の食文化の復活に貢献している。

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講演は、
「なにわ伝統野菜の復活と今日的意義」

1.なにわの伝統野菜SL号復活
17品目:毛馬胡瓜、天王寺蕪、玉造黒門越瓜、田邊大根、金時人参、勝間南瓜、芽ジソ、高山真菜、高山牛蒡、大阪しろな、鳥飼茄子、服部越瓜、三島独活、吹田慈姑、泉州黄玉葱、守口大根、碓井豌豆。

2.野菜はどこからやってきたのだろうか?

3.今日的意義は?(天王寺蕪を事例にして)

4)伝統野菜で「しんか:真価、深化、進化」しよう
・伝統野菜の石碑建立(玉造稲荷神社、阿倍王寺神社、生根神社、法楽寺)
  歌、劇、絵本、缶バッチ、飴、焼酎、勝間南瓜てん、しおふき天王寺蕪、
  大ちやんパン、毛馬胡瓜シャーベット、勝間南瓜チョコクランチ、せんべい、キーホルダー、黒門白瓜クッキー、箸置き焼き物、クッキー、伝統野菜漬け物(平成13年Eマーク商品)、勝間南瓜ムース、わたがし、ゼリー、創作料理など

ユーモワ溢れる講演は興味深いものであった。


田辺大根

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田辺大根は大阪市東成都田辺地区の特産の白首だいこん。
白あがり京だいこん とねずみだいこんの交雑した後代が土着したのではないかとされている。
田辺大根の肉質は撤密できめ細かく、やわらかくて甘みに富むため主に煮物や、
甘酢漬けによいとされる。

塩鯖の身を取った後の骨や頭を田辺大根といっしょにすまし汁にした「船場汁」は商人の町大阪、船場の食文化だった。
繊維が放射状にくっきりとしており緻密なため、おでんのだいこんのように長時間煮てもカサが減ったり、凹んだりせず、煮崩れも少ない

おろしにすると質がしっかりとし水分が少なくて刺激的な辛味があり、おろしそばなどに使う
菓はふさふさと大きくやわらかいため、青菜のようにゆでても食べやすい>

・葉をつけたままにすると、薫から水分が蒸発し、根の養分や水分が奪われる。スが入る原因にもなるので、葉は買ったらすぐに切って保存するとよい

料理はクリック。 田辺大根の葉は毛じがなく、やわらかく美味しいと云うことで、浅漬けにした。
田辺大根をすったのとあえて、みぞれ和えにした。



大阪しろな

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クリック。大阪しろなは油あげを使った煮びたしにした。

つけ菜で山東菜と体菜、または白菜と体菜の交雑によって出来た品種ではない
かとされている。

暑さ寒さに強く、四季を通じて栽培できる。
早生、中生、晩生の三系統があり、早中生は「天満菜」と称され、年内収穫または春から夏にかけての栽培に適する。

早生種は葉色が淡緑、葉柄と葉脈は鮮明な白で、葉柄は平茎で葉脈の粗い丸葉。中生種には黄葉系と黒菓系があり、葉は倒卵系で葉脈は鮮明な白色で、平軸。晩生系統は「晩白」とよばれ、耐寒性が強く、抽苔が遅いことから、2月から5月の出荷に適する。

アクやクセが少なく、あっさりした味。
しやきしやきっとした歯ごたえと上品な味わいで、庶民の野菜として広く食されている。

おひたし、からし和え、ごま和え、煮物、みそ汁、漬物などにされる。
大正から昭和の初めにかけ、河内には「大阪しろなとさつまいものおつけ」があり、冬の寒い夜に食べると体が温まったといわれている。
「シロナとあげさんのたいたん」は大阪の代表的なおばんさい。



金時人参

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北区天神橋、木津、今宮が発祥。昭和10年頃には「大阪人参」とも呼ばれた
根が長さ30cmほどで、深紅色。

めでたい赤色の野菜のため、正月の雑煮や煮しめなどのおせち料理には欠かせ
ない。煮崩れしにくく、煮物にも向く。また、紅白なますにすると、ダイコンとのコントラストが美しい



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金時ニンジンは和風煮と、クリックすると金時ニンジンのケーキ




天王寺蕪(てんのうじかぶら)

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天王寺蕪は天王寺付近が発祥とされる。地上部に根身が浮き上がるため「天王寺浮き蕪」とも呼ばれる。

根は平たい球形で皮は白く、甘みがある。葉は丈が約60cmと長く、葉には毛じがない。切れ葉と丸葉がある。
江戸時代の初め、干し蕪が名物となり、中頃には漬物屋さんが粕漬けにして売り出して名物となった。


肉質が撤密でしまっているため、煮崩れしにくい。
生食、漬物のほか、ふろふきなどの煮物やかぶら蒸し、汁物、ステーキなどにも使う。
葉はやわらかく、ゆでたり、煮たりして食べる>

皮、葉を捨てることなく昆布と塩で浅漬けにしたのが「大阪漬け」、「刻み漬け」ともいう。

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天王寺カブのスープ。天王寺カブとお米と少量のタマネギをいれて、ブイヨンで煮た。

クリックすると、生の天王寺カブは刺身風にカルパッチョで食べる。



勝間(こつま)南京

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勝間南京は大阪市西成区玉出町付近(旧勝間村)が発祥のカボチャ。
外観に縦溝と癌のある800〜900g程度の小ぶりのかぼちゃ。粘質の日本カボチャで熟すると皮が茶色になる。
西成区の生根神社では冬至に「こつま南瓜祭」が行われ、小豆と煮た「従姉妹煮」が振舞われる。

完熟すると蒸しただけでも甘く、香りがよい。
皮が比較的やわらかくて切りやすく、甘みは上品で食べやすく、煮る料理に使う。
ムース、ようかん、茶巾しぼりなどのお菓子や焼酎などにも活用されている。



吹田慈姑(すいたくわい)

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クリックする。慈姑は素上げにした。

日本では「芽が出る」縁起の良い食物として、主にお正月のおせち料理として使われる。

日本の植物分類学の大家である牧野富太郎博士によって、吹田くわいの学名が
名づけられ、昔中国から輸入された一般のくわいの1品種ではなく「オモダカ」が日本の肥沃な土地で成長進化したもので、吹田原産であることを明確にされた。

初夏に白く可憐な花を咲かせることから、食用にするだけではなく、鑑賞用としても楽しめる


塊茎は皮をむいて水にさらしたり、米のとぎ汁でゆでてアクを抜いてから調理する。
ユリ根に似たほろ苦さがあり、煮物ではほっくりとした食感が楽しめる。

吹田くわいは一般のくわいに比べると、小さく「まめくわい」、「姫くわい」とも呼ばれ、やわらかく、味がほっくりとして濃く、独特のほろ苦さの中にうまみがある。
煮しめ、田楽、から揚げなどにする>


河内れんこん

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クリックすると、オリーブ油をまぶして焼いて、塩をまぶした。

大阪でのれんこん栽培は門真市大字北島で地バスが付近の池に生えており、こ
れを湿田で栽培するようになったのが始まりといわれる。

その後、大正時代に加賀と備中の2品種が導入されて河内に広がった
赤黒い色をした蓮根


河内れんこんは肉厚で繊維質がきわめて少なく、モチモチとしている。妙め物のキンピラには不向きで、煮たり、すりおろして使うと餅のようにやわらかく、モチモチ感が味わえる。

河内れんこんは、切ったとき「乳」と呼ばれる液体がほとばしり出るほどの新鮮さが身上。切ると糸をひくような粘りがある。
煮物、ステーキ、れんこん饅頭などに向く。



食べくらべ

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 なにわ野菜の「田辺大根」と、青首だいこん、白首だいこんを、生と和風煮で食べ比べた。



posted by 大竹道茂 at 06:51| Comment(0) | TrackBack(0) | 野菜と文化のフォーラム
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