10月2日の野菜の学校「飛騨野菜」で、講師をされた、中西文信氏から、メールが届いた。
このたび宿儺( すくな )かぼちゃ研究会が、宿儺かぼちゃと飛騨の文化について理解を深めていただくツアーを企画しましたというのだ。
高山市HPでも全面バックアップのようで観光情報HPにも掲載されている。
岐阜県には、飛騨地方と、美濃地方の伝統野菜が有名だか、今回は飛騨地方( 飛騨市、高山市、白川市、下呂市 )の伝統野菜について、中西文信氏から「飛騨でこんなものも食べています。」の講義を伺った。
講師の中西文信氏は岐阜県飛騨農林事務所農業普及課 技術主査で、近畿大学大学院農学研究科卒業。 2009年飛騨地域農業改良普及センター、2010年より現職。
飛騨では平成14年から「飛騨・美濃伝統野菜」認証制度を設けて、岐阜県で古くから栽培している特徴のある野菜なども認証している。
認証要件は、主に県内で栽培されていること。
岐阜県の気候風土により特性が見られること。
古く(昭和20年以前)から栽培され、地域に定着していること。
「飛騨一本ねぎ」
中国西部またはシベリアの原産とされ、中国で葉ねぎと太ねぎに分化したといわれる。
他のねぎに比べて休眠が深く、寒さにより甘みが強く柔らかい。
古くは夏ネギとして北陸路を経て、飛騨の地に土着したものといわれている。
原産地は上枝村・現高山市で昭和6年から栽培されていた。
飛騨では労をねぎらうという意味や、他で売ってないこともあり、昔から、嫁いでいる娘やよそへいっている者のもとへ送る習慣がある。
「飛騨一本ねぎ」は、2002年度「飛騨・美濃伝統野菜」に認定された。

生、煮る、焼くなど、種類による特長を生かして、いろいろな料理を楽しめる。また地方性があるので、ねぎの種類によって、葉を使う、根を使うなど料理によって使い分けるとよいねぎには特有の刺激臭があるため、料理のアクセント、薬味として使うことが多い。
薬味や白髪ねぎは、切ったものを一度水でさらして使うと、栄養価は少なくなるが、香りがやわらぎ、辛みもとれて食べやすくなる。白髪ねぎは長い時間水につけると丸まる。
煮物、鍋ものにねぎを入れるが、甘みや食感を利用するだけでなく、魚や肉の臭み消しにも利用している。
飛騨一本ネギは甘みがあるので、すき焼きや鍋物、ほうば味噌焼、一本焼など加熱して食べると良い。
古くより7月上旬く土用)頃から収穫できるため「土用ささげ」の名で栽培が続けられてきた在来種。
秋に収穫が本格化し気温の低下とともに其の表面に紫色の縞模様が現れることから「アキシマササゲ」と呼ばれるようになった。

写真をクリックする。 「あきしまささげ」を、飛騨ではアブラエというエゴマを使った和えものであえたアブラエあえが有名。
ゆでてごまあえ、サラダに、煮物、天ぶら、妙め物などにする。
あきしまささげの表面の紫色はゆでると緑色になる。そのため「湯上り美人」という名で売っている。
飛騨紅かぶは扁平で大型のかぶ。果肉はとても緻密でしっとりとした食感
旧高山市・丹生川村を中心に栽培。丹生川村は、古くは八賀郷と呼ばれ、赤紫色の丸かぶ「八賀かぶ」が作られていた。
1918年に「八賀かぶ」の突然変異による紅色のかぶが発見され、その中から形が丸く色鮮やかなものを選抜したものが「飛騨紅かぶ」で、漬物に最適。
「飛騨紅かぶ」は、2002年度「飛騨・美濃伝統野菜」に認定された。

かぶは生でサラダやあえもの、酢の物、漬物にしたり、加熱して煮る、焼く、妙めるなどさまざまな料理に使える。
かぶの煮物をする場合、特に春先のかぶは実が柔らかく、余熱でも柔らかくなり煮崩れしやすくなるので、やや固めの状態で火を止めるとよい。
赤かぶは外側は赤色だが、中は白。その色合いを生かして浅漬けなどで食べるが、時間をかけて漬物にしたり酢漬けにすると中までピンクに染まり、きれいな漬物になる。
飛騨で有名な「赤かぶの漬物」は塩で長期熟成したもので、酸みと深みがあるのが特徴。
葉は「木の芽」、雌雄異株で枝には辣がある。
和名を「ハジカミ」といい、食べると「顔をしかめる」ところから来ているらしい。
中国からショウガが渡来してからは山椒を「和のハジカミ」ショウガを「呉のハジカミ」とよんでいた。

主に高山市(旧上宝村)で栽培。この地域の山椒栽培の歴史は古く、江戸時代後期の飛騨の産物を調査した『斐太後風土記』には、上宝3カ村が山椒の産地として記載されている。
また、江戸時代に飛騨郡代が将軍に山椒を献上した記録もある。
「アサクラサンシヨウ」「ブドウサンシヨウ」など一般的な山椒と比べ、実が小ぶりで深い緑色をしている。
非常に香りが良く、長期保存が可能など、品質の高さが評価されている。
「高原山椒」は、2005年度「飛騨・美濃伝統野菜」に認定された。
「なつめ」
クロウメモドキ科。大きさは10mほど
中国北部原産
発芽が遅く夏に芽をだすのでなつめ(夏芽)と呼ばれる。
日本では生産果実ではなく、ほとんど庭木だが、中国、台湾などではポピュラーな果物。
飛騨のなつめの由来は、7世紀末の壬申の乱で新羅の僧「行心」が大津皇子の謀反にくみし、飛騨の伽藍に流刑された際もたらされたとの言い伝えもあり、奈良の都を思う真情から「奈都女」ともされている。

表面は暗紅色で匂いはほとんど無い。
さくさくした歯ざわりで甘酸っぱい。
生食用には熟れた実のほうがおいしいが、加工用には色つきの少ない実のほうが煮くずれしない。
生で甘露煮、ジャムなど。
干しなつめは煎じて飲む、果実酒など。
一般的には煮詰めなど加工品や乾燥させて漢方薬の原料として使用するが、飛騨地域では生食でも食べられている。
韓国ではサムゲタンに入れたりなつめ茶として、中国では食用、薬用に重要な果実として栽培されている。
食用、油をとるために栽培される。
日本ではごまよりも古い歴史があるといわれている。菜種油が普及する前は、えごま油が一般的であり、灯火にも用いられていた。
東北地方などでは「ジュウネン」「ジュウネ」などといった呼び方もあり、えごまを食べると「10年長生きする」「10年若返る」ことから呼ばれているらしい。

えごま葉、種実を食用にする。・五平餅・おはぎ・アブラエ(エゴマ)味噌だれ。
葉、実ともは韓国料理ではおなじみで、キムチ漬けにしたり、チゲに添えるなど欠かせない食材、
えごまを醤油、粉唐辛子を混ぜた液につけておくと、常備菜になりごはんを包んで食べるとおいしい種実はごまと同様にすってえごま和えにしたり、クッキーやパンにいれることもできる。
飛騨ではえごまの実をすりつぶして味噌を加えたアブラエ味噌としてよく使う。
講師は、若林定夫氏 丹生川宿儺かぽちや研究会会長
岐阜県飛騨美濃特産名人(ほうれんそう)。丹生川蔬菜出荷組合組合長、丹生川宿儺かぼちや研究会会長を歴任。岐阜県指導農業士。2007年から株式会社宿儺さま代表取締役。
宿儺(すくな)かぼちゃは、30年程前に、新潟の杜氏が長いカボチャのタネを持ってきたと云われている。
高山市丹生川町内では自家用野菜で栽培が続けられていたのが、名前もなく、長いカボチャが美味いと誰からも云われていた。
このカボチャは、他品種と交雑しても、出来たカボチャはホクホクした食味になった。
平成13年に「宿儺かぼちゃ」と命名された。
ヘチマのような形をしており、長さは約50cm、重さは1個2.5k9前後で大きな物は重さ5k9程度にもなる。淡い緑色の滑らかな肌に、濃い緑色のまだら模様が入る。果肉は鮮やな黄色で、栗のような甘い味とホクホク感がある。

加熱して食べる
煮る、ソテー、グラタン、サラダなどいろいろな料理に活用できる。
宿儺かぼちやはホクホク感があるので煮物にするほか、サラダなど。甘みをいかしてケーキやスープなどにする。
● 食べくらべ
左「宿儺かぽちや」を中心に、中・日本かぼちや(宮崎産「小菊」)と右・西洋かぼちや(北海道産「九重栗」)を、マッシュとオーブン焼きで食べた。
