農業者の間で前から問題になっているのが、農作業での事故。
一般の交通事故や事件と違って、あまり新聞テレビで報道されないものだから、知られていない。
全国で年間約400名の尊い命が農作業中に失われていて、都内でも、一昨年死亡事故が発生してしまった。

東京都の広域女性農業者組織である「ぎんなんネット」(小坂喜美子会長)が立ち上がったのは、そんなことが背景にあったから。
英国の農作業事故防止のキャンペーンに触発され、東京から農作業安全をアピールしようと、お守り作りを始めたもの。
クリックすると代々伝わるロープの編み方。
英国と違うところは、ロープの端がボサボサにならないように、折り返して、元気に戻ってきてくれるように編み込んでいるのが特徴で、機械に取り付けるタイプと、この運動を広げるために胸に付けるタイプの2種類あることだ。
農作業も機械化の昨今、死亡事故の多くは農業機械で、全体の約7割を占めており、そのうち乗用型トラクターが最も多く、半数を占めている。
舗装された平坦な路面ならともかく、作業前後の段差や斜面など、農作業には危険がいっぱい。
年齢階層別に見ると、65歳以上の高齢者の事故が全体の75%を占めているのも特徴で、
不注意や認識不足から起きている。
今後、農業の高齢化が進む中、高齢者の事故の発生が増えてくることが予想される。
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平成22年4月、「ぎんなんネット」は、女性農業者を対象に農作業事故のアンケート調査を実施した。
その結果、9割近くの人が「けがの経験がある」と回答し、危険と隣り合わせの状況であると判明した。
乗用型や歩行型のトラクターでの事故も多く、次いで刈払機、チェンソーの順で、その他にのこぎりやはさみ、鎌等の器具での事故も起きているのが現状。
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農家の納屋にはクリックするとトラクター以外にもいろいろある
このお守り「東京ハッピーリング」と名付け、作業中にこの「東京ハッピーリング」を見ることで、注意喚起を狙っている。
この活動は、日本農業新聞等で紹介されたことから、全国から問い合わせの電話が来たり、また、指導に呼ばれたりで、農作業上に起こる事故に対する農家の主婦達の不安が改めて明らかになった。
東京ハッピーリングの名付け親は、西東京市の矢ケ崎静代さん、胸に付けるタイプは、グループ名にちなみ、ぎんなんを網の小袋に入れて取り付けているが、これは八王子市の八木喜久代さんが考案したもの。
また、お守り作りの先生は立川市の酪農家・中里和江さんと、会員の英知が結集されたもの。
提唱者の一人、八王子市の浜中洋子さんは、事故で家族を失った仲間を多く見ているだけに「悲しい思いはもうたくさん。東京ハッピーリングの輪が全国に広がってほしい」と語っていた。