2011年05月17日

「野菜の学校2011」第2回大和「奈良」の伝統野菜・地方野菜


歴史の故郷、奈良の伝統野菜が集められた。
今回は、奈良県農林部マーケテイング課課長補佐の田中久延氏が招かれていた。

講演「奈良県の歴史地理と大和伝統野菜」 
田中氏の講演は、奈良県の歴史から始まり、日本国家の形成を支えた奈良の農業生産について語られ。
奈良県の農地の生産性は高かった歴史から、奈良における農業は、治水、環境からも大切で、飛鳥の棚田風景など、奈良らしい景観の形成を生み出している。
日本文化は農耕文化であり、歴史的にも大和伝統野菜の果たした役割は大きい。
大和伝統野菜は平成17年10月5日に伝統野菜10品目・こだわり野菜4品目を指定したところから、伝統野菜の取り組みは始まった。


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大和伝統野菜は、現在品目、栄養価等を消費者に伝えるべく、他の伝統野菜との比較などマーケッティングの調査を行っている。

奈良県農業のモデルづくりとして、全体戦略、顧客設定、個別戦略、特に京都より古い奈良だからできるブランデイングモデルづくりなど、個々の戦略は効果的だ。

講師 田中久延氏のプロフィール。
1982年奈良県庁入庁、企画課配属。土木行政、福祉行政などを経鹸。2001年からは平城遷都1300年記念事業を担当。2008年、新設された農林部マーケテイング課に配属。地域振興における「食」の重要性、地元食材を使う料理の価値、「大和伝統野菜」の可能性など、各方面からの意見を踏まえ、「大和伝統野菜」を、今後の奈良県農政の成功モデルとすべく、活動している。



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「大和まなの煮びたし・おひたし」
大和まな(真菜) 
アブラナ科アブラナ属、つけ菜の一種。赤茎(右)もある。同様の仲間は「小松菜」。
奈良市、宇陀市、大和高田市などで栽培されている。

収穫が冬の−定時期に限られており、短期間で葉が黄変するため流通に乗りにくかったが、奈良県農業試験場が品種の系統選抜を行って育成したため周年栽培が可能になった。

大和まなは「まな」の愛称で、奈良県で親しまれている野菜。小松菜に大根菓のような切れ込みが入っている。
濃緑色、肉質は柔らかく、甘みに富む。12月以降、霜にあたると柔らかさと独特の風味が増す。

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 大和まなとの食べくらべと試食
  ピンク「大和まな」は、黄色「小松菜」、橙「シントリ菜」、緑「ベカ菜」と食べ比べ。

アブラナ科でつけ菜の食べ比べ。
大和まなは、つけ菜の中でも原種に近い。
大和まなの対極にあるのが小松菜で、選抜育成されてきて、品種改良が進んで大衆受けする味になっている。
それに対して、大和マナは、地方野菜としての存在感がある。

ベカ菜も品種改良が進んでいる。シントリ菜はあまり改良が加えられていない。


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野菜について、松村眞由子さん(写真上)管理栄養士・料理研究家
料理について、領家彰子さん(写真左)フードコーディネーター


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「香りごぼうの土佐煮」

香りごぼう 
キク科ゴボウ属の多年草。ユーラシア大陸原産。
  香りごぼうは「大和こだわり野菜」の1品目。ごぼうは砂地を含んだ水はけのいい土地を好むため、
 吉野川の河岸段丘にある五條市、北宇智地区で水田の裏作として栽培されている。3月下旬〜5月末が収穫期。
 前半は「サラダごぼう」、後半は「山田早生」。いずれも雑草に弱く、冬場も草むしりを必要とする。
普通のごぼうより根の部分が短く20cmほど。柔らかく、香りが強い。


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「大和いものお焼き」

大和いも
 ヤマノイモ科ヤマノイモ属。中国雲南地方の原産。
 葛城山麓地域の御所市、桜井市、天理市などで栽培されている。

 ヤマノイモは古く奈良時代には既に天皇に献上されていた野菜。大和いもは江戸時代から栽培されていた。

 いもが球形をしたものをつくねいも群と称し、表皮が黒皮の大和いも、白皮の伊勢いもとに分かれる。大和いもは形が整って凹凸が少なく肉が撤密で粘度が高い。


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「大和丸なすのオリーブ油焼き」

大和丸なす 
 ナス科ナス属。
  大和丸なすは主に奈良市、大和郡山市、斑鳩町等で作られる。出荷時期は4〜10月。
  ツヤのある紫黒皮の丸形、ヘタに太いトゲがある。
  肉質が撤密でしまっており、煮崩れしにくいため、焼いても煮てもしっかりとした食感。
賀茂なす同様に田楽や揚げ物などに向いている。



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「大和きくなサラダ」アンチョビソース

大和きくな

キク科キク属。原産地は地中海沿岸。室町時代に中国から渡来した。関西では菊菜と呼ばれるが、−般的には春菊と呼ばれることが多く、春に花が咲く。

江戸時代の「和漢三才図会」にも、「春に花を開き、菊に似るが故」と記されており、昔から「菊に似た食べられる葉菜」として認識されていた。

春菊が食用とされるのはアジア地域のみで、ヨーロッパでは観賞用に栽培されている。
春菊の種類には、小葉、中葉、大葉の三種類がある。

 葉が大きい「大葉」はギザギザ(欠刻)が少なく、厚みがあり、香りがやや弱い。主に中国、九州地方で栽培。

 葉の小さい「小葉」はギザギザが深く、香りが強いが収量が少なく、流通量が少ない。

 日本での栽培の中心は中葉種で、主に東日本で栽培され、主枝から伸びる茎葉を順次収穫する
 株立型と、関西で栽培され、細かく枝分かれして株ごと根元から抜き取る株張型の菊菜に分けられる。
 大和きくなは曽爾村、奈良市、天理市などで栽培されている。みずみずしい緑色で、中葉と大葉の中間菓の品種で、厚肉柔軟で香気が柔らか。


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下北春まな
 アブラナ科アブラナ属。つけ菜の−種。同様の仲間は「小松菜」。

 下北山村で古くから自家野菜として栽培されているつけ菜。下北山村は奈良県南部にある大峰山系からの清らかな水に恵まれ、澄み切った空気と温暖な気候の土地。

 9月下旬から10月上旬に蒔き、1〜2月に収穫される。
 大ぶりの丸い葉は切れ込みがない。厳しい冬の寒さにより−層美味しくなる。



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片平あかね 
アブラナ科アブラナ属。
 奈良県の北東部、三重県との県境に位置する山辺郡山添村片平で栽培されている。

 根の先まで赤い蕪。片平集落全体で同じ採種活動を行ってきたので良い系統が交雑し、赤い系統が維持されてきたと考えられる。

 平成18年までは形が日野菜に似ていることから「ひのな」と呼ばれていたが、同年大和野菜を認証するにあたり、この蕪の名前を決めるため、37戸、約140人の片平区民によってあかね色に「片平」の地名を冠した「片平あかね」が選ばれた。全国でも住民全員により名付けられた伝統野菜はめずらしい。


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参考品 野沢菜
収穫の最盛期は冬だから、この時期、野沢菜の本来の姿は見ることはできないが、それでも野沢菜がカブであることはわかる。
収穫時は、金町コカブのより一回り大きいカブのようだが、それも見たいものだ。



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「半白きゆうりのたたき」
半白キュウリは、「大和のこだわり野菜」という位置づけ。

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「サラダなす幸子じょうゆ」
サラダナスは「大和のこだわり野菜」のうちの朝採り野菜という位置づけ。


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カップは「茶がゆ」。

今回も、調理のスタッフが美味しい料理を作ってくれた。
特に領家さんは、奈良の産地に足を運び、生産者や郷土料理の情報を伝えてくれた。


posted by 大竹道茂 at 00:23| Comment(0) | TrackBack(0) | 野菜と文化のフォーラム
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