江東区では、平成22年度に東京都教育委員会より「食育研究指定地区」の指定を受け、栄養教諭を中心に様々な取り組みをしてきた。
そこで「平成22年度食育研究指定地区報告会」が 6月23日(木) 深川江戸資料館小劇場で開催された。
江東区は、農地の無い区だか、農業を理解しようと皆さん熱心で、これまで「田んぼの学校」での区民による田植えや、「えこっくる江東」でも江戸東京野菜の栽培が行われている。
教育委員会関係では、小中学校で、伝統野菜の栽培や、味噌作りの活動が行われ、行政としては栄養教諭の配置、食育検討会の設置、児童生徒には食育パンフレットの配布等を行ってきている。
会場は、深川江戸資料館小劇場と、江戸東京野菜の話をするには、申し分の無い会場設定で、事務局の皆さんに感謝いたします。

同区教育委員会、梅田幸司次長のあいさつに続き、学校給食指導担当の馬場紀子係長からは、
江東区の取り組みが報告された。
22年度は「東京都地場産物野菜」をテーマに取り組み、学校栄養職員講習会を行った。
22年度料理講習会では東京都地場産物野菜を活用したメニューとして、トビウオ、アシタバ、小松菜、そして、米粉を活用した。
講習会では、「ベジタブル食育 〜子ども達が野菜好きになるために〜」を
また、学校給食関係者全員を対象とした「学校給食夏期研修会」には、私が招かれた。
さらに、小学生の親子を対象とした親子料理講習会の実施や、第二回食育展も開催されている」

特別講演 『次世代に伝えたい生きた文化財 東京の野菜を知る』
栄養教諭による平成22年度「食に関する指導研究報告」

第五砂町小学校栄養教諭 銭元 真規江先生
学級担任や主事さん等学校と家庭や地域との連携の中で実践してきた内容について報告した。
食育を教育目標と位置づけ、それは健康な子どもの育成を図ることを重点課題として位置づけたとして、1年生から順次学年事に取り組んだ内容を報告された。
特に、4年生については、総合的学習の時間で、地場産物野菜の取り組みとして「砂村一本ネギ」の栽培について報告された。
学年毎の能力に合わせた多彩できめ細かな指導手法は、子供たちにとって理解しやすいもので、食育にかかわる方々にとっては、実践に移しやすく参考になる発表だった。
会場には同校の遠藤朋子校長もお見えになっていた。
小中学校の実践事例発表 『江東区由来の伝統野菜等』

@「亀戸大根」 第二亀戸小学校校長 田中孝宏先生
今回の報告会では、思いもかけない出会いがあった。
現在、私が伝統野菜の復活を、学校で行っているのは平成10年から亀戸地区の小中学校で始まった亀戸ダイコンの栽培事例を参考にしている。
この時に、取り組んでいただいていたのが第二亀戸小では田中先生だったという。
田中先生は平成15年まで亀戸ダイコンに関わり、その後、杉並に転勤され、7年振りに今度は校長として今年4月に第二亀戸小に着任したという。
毎年3月、亀戸香取神社で開催される、亀戸大根の「福分け祭」、今年は震災で中止になってしまったが、10数年歴史を重ねている。
亀戸大根の栽培について、当時の様子を知る人が少ないだけに、先生の話を興味深く伺った。
種から地域の人に、一手間二手間教えてもらいながら、体験活動をすることで、栽培から食するまでの尊さと喜びを実感できた。
作物の育ちには、土や日光の関係だけではなく、作物によって肥料の適正、風向きが関係することを学び、作物の成長の独自性に興味を持った」と締めくくった。
この後、「おまけ」としてイミシンな報告があったが、これはここから紹介する。

A江東区由来の伝統野菜から学ぶ〜指導の実践」
深川第二中学校栄養職員 金子貴美子先生
深川第三中学校栄養職員 小山 敬子先生
江東区立中学校給食部会としての報告は「江戸伝統野菜について」、
江戸野菜を知ろうと、どんな野菜があるのか栄養士が調べ、東京23区の地図に落とした。
特に、江東区の代表的な野菜・亀戸ダイコンに焦点をあてた。
亀戸ダイコンを知るために農業説明板のある香取神社の宮司から、葛飾高砂の農家・鈴木藤一さんを紹介され、亀戸ダイコンについて話を聞く。
亀戸ダイコンを秋の文化祭に展示しようとしたが、間にあわず、栽培の難しさを知る。
給食に亀戸ダイコンを使おうと、資料を作ったり、朝礼で壇上から説明もしている。
生徒たちの反応は、「好きでなかった大根の煮物が好きになった。」「伝統食が食べられて良かった。」と、生徒達にはどれも好評だった。
地元の名前のついたダイコンと云うことで、生徒には受け入れやすかったようだ。
また、大根は和食になりがちだが、洋食のシチュウやグラタンに使えたことが好評に繋がったようだ。
今回の栽培体験を通して、土に親しみ、命を頂いていると云う感謝の気持ちを大切にして、今後も伝統野菜を給食に取り入れ、伝統野菜を身近なものにしたい。と云う。
給食部会の皆さんが、宮司さんや生産者に直接話を聞いたりしながら、江戸東京野菜について調べ上げ、資料を作って生徒の理解を深めるなど、皆さんが努力をされていたことを知り、感銘を受けました。

B「発酵食品を活用した食育の実践」みそ造り
深川第五中学校栄養職員 森田外茂子先生
第四砂町中学校栄養職員 塩入 増子先生
学校全体で取り組んだ味噌作りについて報告された。
総合学習の時間に「食と健康」をテーマに、地元の佐野味噌屋さんの話や、大豆、米粉、塩を使って味噌づくの体験などを行った。
1年から3年までの全生徒か取り組み、出来た味噌を全校生徒が、キュウリに付けて食べたり、味噌パン作りにも挑戦。
日本の伝統食、味噌を作ることにで、日本型食生活に興味や関心を持ってくれ、日本食の特徴を理解してもらえた。
発酵食品は毎日食べていると免疫力を高めてくれることを理解し、健康な体を作ろうとする態度が養われた。としています。
食育検討会で、生徒の食生活の実態調査を行った結果、朝食の野菜不足が明らかになったことから「朝ごはん しっかり 野菜たっぷり!」がテーマとなったもの。
この資料6ページからなるが、肝心の4ページ分は掲載の了解を得ていないので、江東区教育委員会03-3647-9177 か、 江東区保健所 03-3647-5855 までお問い合せください。

以上、平成22年度食育研究指定地区報告会は充実した内容だった。