4月に、アトリエ・グー( 料理教室 )の林幸子先生 (江戸ソバリエ) が、江戸東京野菜を使って、「蕎麦料理研究会」を開催し、目からうろこの料理を作っていただいたのは、当ブログで紹介した。

林幸子先生は、「蕎麦料理研究会」に先だって、雑司ヶ谷ナスが栽培されている大泉の加藤和雄さんの畑を訪ねたが、その様子は最後の追録で紹介する。
まず、雑司ヶ谷ナスを生で、そして揚げたもの、蒸したものを食べ比べたが(写真をクリックする)
皆さんの感想は、「生の物はフルーツのような味わい。アクも強いし、渋みもある等奥深い味わい。」とのこと。
15分蒸したもの、揚げたものは、トロミが出て、生よりは甘みが増した。
寺島なすよりも皮は柔らかいく、蒸したものは特に良い。
肉質が緻密な分、油を吸わない。
伝統野菜のナスは、生育が遅い、色ボケ、肥料が足りないと紫紺に仕上がらない。揃いが悪い等から、交配種に代わっていった歴史がある。

千両ナスではグズ、グズになってしまうが、寺島ナスは肉質が緻密なので、グラタンでも存在感があり、そばがきとの相性もいい。ナスのエグミ等が、辛味に変っていく。
「黄金の昔野菜」のシールが貼ってある小金井産のマクワウリは井上誠一さんが栽培したもの。
完熟すると自然とヘタが取れるが、今回は、完熟前のウリを送ってもらった。
甘みはうっすらで、香りがいい。砂糖は使っていないと云うが、うっすらとした甘みと、マクワウリの熟す前の食感がまた良い。
最後に、スープを飲み干したが、涼やかな大人の味に仕上がっている。(パスタをクリックする)
寺西さんは、マクワウリが気に入ったらしく、小金井経済センター(042-385-3281)と、生産者の井上さんを紹介した。
ダイコンをおろしているのが寺西恭子さん( 社・日本蕎麦協会理事 )。

寺西さんが打ったそばがまた絶品だ。ダイコン下ろし、蒸した雑司ヶ谷ナスと剥いた皮のチップスが香ばしくて、凝縮したナスの匂いを伝えている。
寺西さんが打ってきたそばを、安藤誠さん( 南大塚・小倉庵 )が茹で上げ、林先生が江戸東京野菜の料理に仕上げた。(安藤さんをクリックする)
林先生の話だと、市販の千両ナスなどでこれをやると、ナスが柔らかい分、実かペッチャンコになって繊維質がばかりが目立って、このボリュウム感が出ないという。雑司ヶ谷ナスならではの料理だという。

ここまで食べてくると、大塚でお蕎麦屋さんを経営している、安藤さんは、かつての産地・雑司ヶ谷も近いし、味も魅力的なので 、早速、店に出したいと購入を希望していたし、生産者の畑も訪ねたいとの意向も示された。
林先生のおかげで、雑司ヶ谷ナスの先行きは明るいものとなった。
今回のゲストとして、JA東京あおばの渡邉嘉和常務が参加したが、手土産に現在復活栽培を行っている、東京大越ウリ(とおきょうおおしろうり)を二本持ってきた。(写真をクリックする)
当日、南青山のアトリエ・グーに集まったのは、ほしひかるさん、寺西恭子さん( 社・日本蕎麦協会理事 )、安藤誠さん( 南大塚・小倉庵 )、松本一夫さん( 江戸ソバリエ・ルシック )で、ゲストとしては、JA東京あおばの渡邊常務だった。
雑司ヶ谷ナスは、豊島区立千登世橋中で栽培復活を実施しているが、練馬区大泉の加藤和雄さんは、栽培指導の他、同校のバックヤードとしても協力いただいているので、お二人を畑に案内した。
加藤さんは、前JA東京あおばの副組合長。雑司ヶ谷ナスと交配種の千両ナスを栽培している。

「もぎたてだから、甘いがアクがあり、食べていくとその中で味が変化していく。渋みもある。」と林先生。ホシ先生は「ほっこりとした感じ」だと云う。
その後、隣の畝の「千両ナス」をかじった林先生。(林先生をクリックする)
食べ比べて分かるが、甘さを変わらないが、それ以外味がない。個性がない。
加藤さんのお宅に伺うまで、色々とお話を伺ったが、関西出身の林先生、「関西は軟水だから野菜も沢山水を吸っていて、ナスや玉葱でも炒め物等をすると水分がどんどん出てくる。
東京は硬水だから、野菜があまり水を吸わないから水分が出ない。東京のナス等はイタリアンにぴったりです。」と・・・。
初めて聞きました。