今年も、古代ハスの「大賀ハス」が羽村の「根がらみ前水田」で花開いた。
大賀ハスは、昭和26年(1951)3月に植物学者の故大賀一郎博士が、千葉市にある東京大学農学部検見川厚生農場の、2000年前の泥炭層から発掘したハスの実3つの内一つが、昭和27年7月に初めて開花したものだ。
当時、敗戦後の世相の中で、世界的なビック・ニュースの一つだったことを、子どもながらに記憶している。
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このハスは20年ほど前に、町田市の大賀藕絲館から蓮根を譲り受けたもので、羽村の農業後継者達が植え付け、守り継いでいる。
6日6時半から、羽村の「根がらみ前水田」で恒例の「観蓮会」が行われると云うので、5時起きで出掛けた。

羽村の田圃は、春先、チューリップの花が咲き乱れる。そして、花が終わると球根を堀り起こし6月には田植えを行う。
水田には大賀ハスと、白蓮のハス田が、「根がらみ前水田」の景観を引き立てている。
8月の第一土曜日に、恒例の観蓮会が行われてきた。
歴史を重ねた観蓮会は、地域の人達にとって、春のチューリップに続く、夏の風物詩として親しまれている。
ハスの茎にはレンコンと同じように穴があいていることから、農業後継者グループがハスの葉を切り取り、葉に穴をあけて茎に流れ込むようにして、鏡割りをした清酒と、飲めない人にはジュースが用意され、葉に注がれた酒等を茎を通して飲むと云うもの。
碧筒杯(へきとうはい)、みどりのストローのお酒と云うことらしいが、長生きするという言い伝えがある。古代の大賀ハスで飲むのだから請け合いだ。
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葉に注いだ酒等は、吸わないと流れてこないらしく、担当者が「吸ってください」と飲み方を指導していた。
私は時間がなかったのでいただけなかったが、酒が茎を通って口に流れ込むとは、風流なものだ。
前の人が終わると、担当が前の人が口をつけて吸った部分を切り落として、次の人に代わるということで、一つの葉で5〜6人が楽しんで、新しい葉に変えていた。
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主催者の羽村市農業後継者クラブ代表、宮川陽一さんは、田んぼに近い羽加美で野菜栽培をしている農業後継者だが、同クラブとして一大イベントの先頭に立って、サービスに勤めていた。
なお、テント内では同時に朝採り野菜の即売もおこなっていた。
また、田んぼの近くでは、野点も行われていた。
この水田には、景観形成植物として白蓮も植栽している。
先日、当ブログで紹介した足立区のハス田は、JA東京グループが実施している『東京「農」の風景・景観コンテスト』に選ばれていると書いたが、当地は、私が現役時代の平成13年度に選ばれている。
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大賀ハスのハス田から稲田をはさんで離れたところに白蓮のハス田がある。
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羽村の「根がらみ前水田」はクリックする。
「根がらみ前水田」の西、「田の上街道」を行くと河岸段丘の上にある、阿蘇神社に、「養蚕の村・羽村」の江戸・東京農業説明板が設置してある。(写真をクリックする)