2011年08月16日

「野菜の学校2011」第4回 長野の伝統野菜・地方野菜


夏になると蓼科を拠点に、松本や、上高地、に行っていたので、信州の伝統野菜はなつかしい。

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今回の講師は、塚田元尚先生で、JA長野県営農センター技術審議役の名刺を戴いた。

長野県には、地域の気候風土に育まれ、歴史的な食文化が形成される中で種の保存、改良がなされてきたいわゆる「伝統野菜」が各地で生産されている。

 これら伝統野菜のうち、基準を満たすものを「信州の伝統野菜」としてリスト掲載及び伝承地認定し、風土や歴史を大切にした生産を推進すると共に、地域の人たちに育まれてきた味覚や文化をより多くの人に提供・発信することで、伝統野菜の継承と地域振興を図る。

講師紹介     塚田元尚(つかだもとひさ)氏
信州伝統野菜認定委員、JA長野県営農センター技術審議役、元長野県野菜花き試験場長、信州スローフード協会理事。専門は野菜の遺伝資源、育種、生産のシステム化など。著書に「キャベツの絵本」「レタスの絵本」ほか、共著多数。




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八町きゆうり 

キュウリが日本に導入されたのは6世紀ごろといわれるが、本格的な栽培が始まったのは江戸時代以降。
長野県でも明治から昭和にかけて「横田節成」「小布施節成」などの種類が栽培された。
「八町きゆうり」は、昭和20年代の始めごろ、須坂市上八町(かみはっちょう)の関野正二郎氏が育成したもの。「高甫地域で栽培されていたきゆうりと豊洲地域で栽培されていた門外不出のきゆうりを交配して育成した」とする説と、「長野市のきゆうり栽培農家から種を譲り受け栽培するうちに、地域に適応した品種になった」という説の2説がある。

八町きゆうりは、1。やや短形でずんぐりとした果形、2.皮が薄く、種は少なめ、3.味は良いが、日持ちは短いという特徴をもっている。
須坂市では6月下旬〜9月に収穫される。八町きゆうりと似たきゆうりに木曽開田村の「開田きゆうり」がある。

<基本調理法・料理例>
生で食べるのが一番といわれるが、日持ちが良くないため漬物などに加工される。
浅漬け、味噌漬けなど。



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赤根大根

アブラナ科アブラナ属。赤根大根は名前や形は大根だが、カブの一種。
飛騨地方の「船津蕪」や滋賀県の「大薮蕪」や「彦根蕪」と近縁とされる。来歴は不明だが、江戸時代に木地師(ロクロを使って椀や盆など木工品を作る職人)によって伝えられたとも、質のよいタバコが生産されており、江戸、美濃、大阪にまで行商が行われていたため、持ち込まれた可能性があるともいわれる。

選抜して育成された「清内路あかね」はFl品種登録されている。
葉数は少なくびわ形をして、毛じはまったく無く、葉質は柔らかい。葉の表面にキャベツのようなブルームを発生する。
根部はダイコンのように長形で表面全体に濃紅色を呈する。長系,短系、牛角系があるが、いずれも根部は非常に柔らかい。
阿智村清内路で6月中旬〜7月中旬、10月中旬〜11月中旬ごろ収穫される。


<基本調理法・料理例>
肉質が柔らかく、甘酢漬けやサラダなどに。
特産の清内路きゆうりやミヨウガ、きのこと初冬に漬け、乳酸発酵の進んだ春先から樽から出して食べ始める。




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王滝蕪

王滝蕪は約300年前の古文書に、尾張藩へ年貢としてカブを出した記録があり、また元禄年代には俳人小西凡兆が「木曽の酢茎(すんき)に春もくれつつ」と連句を詠んでいて、この酢茎が王滝蕪の原型ではないかといわれている。

王滝蕪と近縁の品種は遠く離れた山形県庄内地方の「温海蕪」。戦国時代末期に越後の上杉景勝が信濃と庄内の領地をもち、城主のお国替えを行ったことから、どちらがルーツかわからないが、品種のつながりがあるのではと考えられている。

柄は太く、基部まで小葉がつく。草丈はあまり高くならず、カブとの生育量のバランスが優れている。形状は長円形の物が多く、肉質は轍密でやわらかいのが特徴。
根は300gほどにもなり、表皮全体が赤紫色。

<基本調理法・料理例>
すんき漬けの原料。すんき漬けは塩を使わず、乳酸菌の働きで作る木曽特産の漬物。
主な菌はロイコノストック菌という。いたるところにあるが、暑いところでは他の菌に負けてしまうため、木曽の寒さが保存に適している。

すんきに使う乳酸菌は山なし・コナシ・山ぶどう・オオズミなどの実に付着しているため、布に包んでつぶし汁を取り、これを発酵させて作られたとされているが、現在は乾燥して保存したすんきや、冷凍保存したものを種として利用している。
今回は、「王滝かぶ」はサラダで、




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バイリング

ヒラタケ科ヒラタケ属。
バイリングは、中国の新彊ウイグル自治区、天山山脈に自生しているきのこで、中国では菌床で栽培されている。
バイリングの栽培は、1983年中国新彊ウイグルの研究所で開発されたのが始まりで、19鋸年に北京で大規模な生産が行われるようになり、1999年頃からは日本、香港、米国に輸出されるようになった。
日本での栽培は、長野県中野市のきのこ生産者竹内秀治氏が、京都大学のきのこ研究者山中勝次教授からタネを分けてもらって、2002年に栽培に取り組みはじめ、JA中野市との共同研究で、ビンでの栽培を可能にした。

バイリングの分類について、(独)森林総合研究所が「バイリングは中国で進化したエリンギ変種であり、バイリングはエリンギの一品目として扱われている。

<基本調理法・料理例>
なめらかな食感で、JA中野市のホームページには「アワビのよう」と表現されている。
クセがなく、和洋中を問わず、幅広く使える。
今回は、「バイリング」はソテーにして




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ルバーブ

タデ科ダイオウ属。ルバーブの和名は「食用大黄」「丸莫大黄」。
ルバーブの原産地はシベリア南部。 起源前3000年ころから栽培されており、最も古い栽培植物の一つ。
ギリシア、ローマで紀元前から薬用、食用として栽培され、中世以降ヨーロッパ各国に広まった。
日本へは明治初期に導入されたが、強い酸味と渋味が好まれず、当時は普及しなかった。

長野にルバーブを持ち込んだのは、避暑地を求めて野尻湖にやってきた外国人宣教師。大正から昭和初期に、ルバーブの栽培を信濃町の農家に依頼したのがはじまりという。
ルバーブの和名は「食用大黄」だが、漢方薬の大黄は近縁種。大黄は中国の四川、青海省など高原地帯に自生する多年草で、生薬として健胃、胃腸炎、消化不良、便秘などに用いられる。

<基本調理法・料理例>
 フキに似た草姿で、細い筋のある葉柄を食用とする。
 生は強い酸みや渋みがあり、砂糖で煮て利用することが多い。
 砂糖で煮てシロップ漬け、ゼリー、ジュースなど。生を薄切りにしてサラダにも。
 ルバーブにも、ダイオウの成分センノシドがわずかに含まれており、大量に食べると下痢をすることがある。





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山葵

真妻・正緑・イシダル
 安曇野の西側には北アルプスが南北に連なっており、北アルプスに降った雨や雪がしみこみ、安曇野の地下をゆっくりと流れている。また安曇野の東側には、東山による断層が地下に続いていて、それによりせき止められた地下水は大量の湧水として安曇野の一番低い位置域で大量にわき出している。
 その豊富な湧水を利用してわさび栽培が盛んに行われている。
 安曇野は気候的にはわさび栽培に不向きである。冬は非常に寒すぎるし、夏の日中は盆地の気候のため非常に暑くなり、通常ならわさびなど栽培できる気候ではないが、北アルプスからの豊富な湧水という恵みにより栽培が可能となっている。
 これらの条件により、【安曇野のわさび】は、非常に風味や辛味の強い良いものができる。

 真妻(赤茎系)はすりおろすと粘りが強く、甘みも感じながら辛さがある。わさびの辛味風味は揮発性で、すりおろしておいておくと徐々に抜けていってしまうが、真妻は10分以上経っても味の変化が緩やかである。良い真妻はその辛味も非常に強く、料亭や寿司屋で大変気に入られて使われている。ただ一部の産地では余り辛くない真妻もできてしまうため、真妻は甘くて辛味が弱いという間違った印象を与えてしまっている場合もある。

 青茎系にはいろいろな種類があり、種類により風味辛味甘味などが違っている。
特にすりおろしたては強い辛味等を感じても、しばらく置くと味がなくなってしまう品種もある。
 正緑(青茎系)は辛味、甘味、粘りが強い種類ではあるが、色が少し薄い特徴がある。
 イシダル(青茎系)は、辛味は強いが、粘り、甘味が少なめである。

 わさびは、必ず目の細かいおろし金ですりおろしてください。
 目の粗いおろし金の場合苦くなったりする場合があります。そのときはすりおろしてしばらくすると苦みが消えます。
 わさびとおかかは非常に相性が良く、温かいご飯におかかとすりおろしたわさびをのせ、醤油を垂らして食べると非常においしい。
 また、すりおろしたわさびを入れたわさび焼酎や日本酒もおいしい。
 また自家製ドレッシングにしてみたり、甘さとも合うので蜂蜜と混ぜても良いので、いろいろ試して頂きたい。




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あんずの他、特産野菜としてレタス、セロリ、アスパラガスを展示。





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食べくらべと試食 

食べくらべのテーマは「八町きゆうり」
 「八町きゆうり」は、「ブルームレスきゆうり」、「ブルームきゆうり」と、生で食べくらべます。

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追録


季節外れのために出品はされなかったが、戴いた資料「oishiineB」によると、



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前坂大根は、練馬大根を改良した品種とも伝えられているという。
主産地の山ノ内町は湯田中の近く。
練馬大根のタネは、中山道のJR巣鴨とJA板橋の間の種屋街道で売られていたから、信州に伝わったのだろう。練馬大根の「秋つまり」が伝わったのだろう




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常盤ゴボウ
天保年間に天領であった飯山市常盤地区に役人の手により、江戸滝野川の「赤茎牛蒡」の種子が導入され、栽培が始まったと云う。

村山早生ゴボウ
昭和22年に須坂市村山町の小平甚兵衛氏が、練馬の鹿島安太郎氏を通じてタネを導入し改良を重ねた品種と云う。別っの資料によるとこの品種、練馬の「中の宮早生ゴボウ」だと云う。


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下栗芋(下栗二度芋)

山梨県北都留郡在来、静岡県井川在来、徳島県東祖谷在来と同品種と推定される。

来歴は不明だが、ヨーロッパ系品種の特長を備えることから、起源は江戸時代にさかのぼると思われる。クリックすると栽培されている急峻な傾斜地の景観が理解できる。



posted by 大竹道茂 at 07:01| Comment(0) | TrackBack(0) | 野菜と文化のフォーラム
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