平成21年6月から江戸東京野菜の連載をしてくれている都政新聞の平田邦彦社長からお誘いを受けて、半蔵門近くにあるレストランに伺った。
現役時代は、仕事で良く使っていた東条会館のホール、今は建て替えられていたが、その北隣に同社が新たに建てたビルの9階「ARGO」で待ち合わせていた。

同社の津久井美智江編集長が迎えてくれた。
テーブルがセットされるまでの間、平田社長と都政について懇談をしていたが、お話の内容やお人柄から思いきって「もしかして平田東助の縁戚にでも当たるのでは !」と尋ねると、「曾爺さんです」と・・・
まさかと思って伺ったが、我が国、産業組合の生みの親、平田東助翁だったとは、驚いた。
明治33年に成立した産業協同組合法は、当時零細な中小企業を大資本の圧迫から守るためにつくられたもので、現在のJA、生協、信用組合、信用金庫はこの法律がルーツになっている。
昔、平田東助翁の巨大な座像が、千代田区九段南のお堀端、九段会館脇にあったが、今は、町田市相原町のJA全国教育センターに移設してある。そう云えば、似ている。


右上からサーモンマリネ、 サバの燻製をホウレン草の葉で包む、白味噌の泡ソースはマリネに付けて食べた。
真中はメロンで周りが有機トマトのガスパッチョ
左上からピラミディオン(塩の結晶)、ウニと人参ムースのゼリー寄せ、塩の結晶をつぶしていただいた。バラの匂いがする豆乳のムース。


ゼリー状のスープの上に、マシュルームの笠を逆さにして詰めた仔鴨とフォアグラのパテ。各種新鮮野菜が爽やか。
皇居半蔵門の西にあるビルの9階からはスカイツリーも近くに見えた、皇居の森の奥、右に青銅の平べったい屋根は、香淳皇后の還暦を記念して建てられた桃華楽堂。
森の中の四角い煙突が、吹上大宮御所の煙突。


メインディシュは真鯛と鴨肉(クリックする) と、牛肉からチョイス。

何時だったか阿蘇の褐毛和牛を戴いたことがあったが、思い出して熊本県産の褐毛和牛を選んだ。が、柔らかくて、赤ワインのソースが美味しかった。

席を移して、寛いでデザートを戴いた。
デザートは7種類のケーキから一品を選ぶもので、金粉のチョンチョリンが付いたタルトを選んだ。
メレンゲの中にレモンの果肉が詰まっている。
プレートにはグラスショコラとクレームプリュレが添えてある。
テーブル席でご挨拶した東条会館の深尾啓子専務が、ARGOの総料理長山下敦司氏を伴って挨拶に見えたので、美味しい料理を提供頂いたことへの感謝を申し上げた後、江戸東京野菜について聞かれた。
深尾専務は京都出身とかで、京野菜は詳しいようだが江戸東京野菜にも注目されていた。
山下氏も東京の伝統野菜には興味をそそられると語っていた。
例によって、話に夢中になって、お二人の写真を撮るのを忘れてしまった。
平田社長、いい出会いを作ってくれてありがとうございました。

ARGOからの眺望は素晴らしい。北側の窓からは眼下に、駐日イギリス大使館が望める。大使館員の宿舎が敷地内に転々と建てられている。
幕藩体制が崩壊して、諸国大名たちが国元に戻ってしまうと、江戸城を中心とした大名屋敷の殆どが空き家になってしまった。
明治新政府が発足すると、外国の公館が皇居の近くに建てられるようになる。
こうなると、公館周辺には牧場もでき外国人の食生活に欠かせない牛乳の生産が始まっている。
明治政府は1872年に好意の印として、この地をイギリス政府に永遠に賃借した。
当時、麹町五番町17番地では阪川牧場が搾乳を始めていた。