快晴の熊本は、ホテルからも望める熊本城がその威容を誇っていた。
気分よく目覚め、天守閣にも登って「九州伝統野菜フォーラム」の盛会を祈ってきた。

“新幹線がやってきた!” 「九州伝統野菜フォーラム」は、熊本市 寺崎秀俊副市長を迎え25日、熊本交通センターホテルて開催された。
このフォーラム、ひご野菜の普及推進に取り組んでいる北亜続子さん、園田敬子さん、西麻衣子さんの3人が組織する「くらしマイレージ・alliance」が、九州農政局を動かし、共催として開催したもので、各地域の伝統野菜の普及活動をしている方、伝統野菜に関心のある一般消費者を対象としている。
フォーラムでは、伝統野菜を通して食育活動をしている方々が、野菜の普及・啓発の手法について事例発表が行われ、伝統野菜を通じた食育活動における様々な問題の共有と相互理解、県域を越えた交流を促進していこうと云うことで、基調講演として招いて戴いたもの。
会場は、テーマの話題性から、農林漁業者、行政関係者、消費者等、当日参加者も含め、150名を越える方々が参集された。
第一部“新幹線がやってきた!” 「九州伝統野菜フォーラム」

北さんからは、江戸東京野菜の取組について話してもらいたいとだけ言われていたが、何か参考になることをお話ししようと、江戸東京野菜に取り組んできた中での、幾つかの仕掛けがあったことを、整理して1時間、基調講演として話をさせてもらった。
題して「地産地消の仕掛け人が語る」をサブタイトルとした。
会場には鹿児島の伝統野菜研究家田畑耕作先生も見えていた。先生には野菜の学校で指宿の山川大根の写真をいただいたので、山川大根は練馬大根だと紹介させていただいた。

九州の伝統野菜の事例報告
@ 福岡県(博多野菜の事例)
中山美由紀氏
オーガニック・伝統野菜を応援する野菜ソムリエとして活動。小学校の食育授業講師としても活躍中。
オーガニック野菜を使ったマクロビオティツクの惣菜卸、酒粕クラッカー卸や博多野菜のレシピ開発にも取り組む。
A 熊本県(ひご野菜の事例)
健軍オリーブ会 伝統野菜「ひご野菜」の取組
光永真由美氏
平成21年7月JA熊本市「農業塾」入塾。
平成21年8月農業塾同期生のうち、女性18名で「健軍オリーブ会」設立、現会長。
遊休農地を活用した野菜栽培を行う。平成22年よりひご野菜の栽培に取り組む。春日ぼうぶらを使った漬物、ペーストの加工などを行う。
B 鹿児島県(かごしま伝統野菜の事例)
かごしまの伝統野菜 〜「国分大根」の復活・保存〜
今村広嗣氏
鹿児島県霧島市の国分・隼人・霧島・福山の農業青年をもって「国分地区農業青年クラブ」を組織し代表。
会員相互の親睦をはかり情報交換と技術研鎮につとめ、併せて地域農業の発展と向上を図る目的として昭和56年に国分地区農業青年クラブ連絡協議会を設立。平成4年度には、自らの力で道を拓き未来へはばたく青年農業者像をイメージして、愛称「飛翔クラブ」と命名。主な活動としては、先進地研修、指導農業士農場訪問、定例会など。共同プロジェクトとして、伝統野菜「国分大根」の復活・保存に取り組む。

クリックすると、松嶋正也室長が説明された「ひご野菜」の資料。
長野悦子係長にはお世話になった。メールでのやり取りから、会場での準備まで、ありがとうございました。九州農政局食育情報専門官の中村稔氏、九州農政局消費生活課長補佐の古川達朗氏にもお世話になった。
発表内容については、後日、長野係長がレポートとしてまとめてくれるようなのでそれに譲る。

「江戸東京野菜」は、伝統大蔵大根、品川カブ、伝統小松菜、馬込三寸ニンジン、
亀戸ダイコン、青茎三河島菜を送っておいたので、展示してくれた。
また、納所氏が描いた江戸東京野菜のバツクも展示した。
会場には、熊本県内農業高校の活動や熊本県立農業大学校農学部教授 佛崎智夫先生の伝統野菜の取組がパネル展示された。
佛崎先生は、熊本農高時代に同校が農水大臣賞を受賞した時に、東京でお会いして以来だったが、現在は大学教授をされていて引き続き、ひご野菜に関わっているようで心強い。
私が東京の農業高校に注目するきっかけになったのが、同高校の水前寺もやしの取り組みで、このことは日本農業新聞に書いたりもした。
前日伺った「すきやき 加茂川」の山下みきさんも、約束通り店を抜けて来てくれていたので、北さん、園田さん、西さんの三人に紹介した。私の副題「仕掛け」の実践だ。
第二部「食育アイランド九州」九州交流会(主催:九州農政局)
挨拶をする農林水産省 消費・安全局 消費者情報官 三富則江氏が挨拶をされた。
九州交流会「食育アイランド九州」は、参加団体、地域において食生活改善を推進している食生活改善推進員連絡協議会などの団体や、行政、NPO法人、食育を実践している方、一般消費者を対象として、九州農政局の主催で開催された。

講演は「農山村資源のとらえ方」
〜田舎のビジネスモデル 和歌山県北山村を事例として学ぶ〜
NPO法人「えがおつなげて」理事の杉本淳氏

引き続き「ワークショップ」が、ファシリテーターとして杉本氏が行った。
・九州農政局 消費・安全部長 小林博行氏
・熊本市食生活改善推進協議会 顧問 山ア向子さん
・鹿児島国分地区の農業青年「飛翔クラブ」 若松隆氏
・奈良県 農林部 マーケティング課課長補佐 田中久延氏
・熊本農業高校二年生 ひご野菜プロジェクトの部長 吉田泰平くん
会場で、「日本の伝統食を考える会」の中筋恵子さんから声を掛けられた。
事務局から案内を出してもらったので、来てくれたのだ。
その時、「ごより豆」(正式には「ごまめ」)を戴いた。
大阪・泉州地域の郷土食(漁師料理)。大豆と「ごより」(大阪湾でとれるエビ、ネブト、ハゼなどの雑魚の頭や内臓をとり、天日干しにしたもの)のあめ炊きで、大豆は水に漬けず、すぐに炊く。
出来上がりが固いのが特徴の保存食。おかずに、酒の肴に、おやつにも美味しい。
この豆、同会の看板料理で、各地に行くときにおみやげに持参して、泉州の食文化を伝えていると云うから、筋金入りの伝道者で、伝統野菜を普及推進する上で、参考になるので紹介する。
後日、中筋さんからメールを戴いた。
「先日は「九州伝統野菜フォーラム」ご案内いただき、本当にありがとうございました。九州各地でもあのように地域の伝統野菜を守り、とくに若い人たちをまきこんで発展させようとの取り組みがあることに驚き(こちらが知らなかっただけですが)、励まされました。
これからの当会の活動にもぜひお世話になりたいと思っております。今後ともよろしくお願いいたします。」
中筋さん有難うございました。
会場では色々な方からお声をかけられたが、阿蘇で無肥料・無農薬の健康な作物を育てている青砥勇さん・みどりさんご夫妻。前に、NHKのラジオに出演したのを聞いたと、親しげに語りかけてくれた。
後日戴いたメールには
「先日のご講演たいへんワクワクしました。
私たちもワクワクを伝えられるような人間になりたいな、と願っております。
ありがとうございました。
今日も春日ぼうぶらの入った味噌汁を飲み、練馬大根系の新西町大根のおでんを食べ
伝統野菜の美味しさを生産者としても楽しんでおります。
青砥 勇・みどり」とあった。
勇さん、みどりさんありがとうございました。
さらに、熊本農業高校 園芸・果樹科の宮越和美教諭、「農家応援団たんぽぽ」の藤本世紀氏(東京)、熊本県農業共済組合宇城支所の小山徹氏、くまもと県民テレビの村松正哉記者、ハウス食品鰍フ廣瀬進氏(東京)、野菜ソムリエの持田成子氏(熊本)、食育インストラクターの下鶴容子氏(熊本)の皆さんと新たな出会いがあった。
開会に先立って、昼食をとりながらの打ち合わせが行われたが、主催者の配慮で、細川藩「御家中膳」を戴いた。重をクリックする。
食後、皆さんで記念写真となったが、私のカメラを係りの方にお渡ししたときに、写真をクリックする。露出が狂ってしまった、皆さんごめんなさい。
東京に戻ってきたので、農業名所巡りに行ってきます(^^)